好き好き郁未先生! 投稿者: だよだよ星人

住井「すごい美人の教育実習生がくるそうだぞ.知ってるか?」
浩平「え?」

美人と聞いていつのまにか周りに人が集まってきた.

南「なんだなんだ?」
中崎「どうしたんだ」
南森「何があったんだっ」
浩平「毎度ながら情報が早いな.しかしガセネタじゃないのか?」
住井「馬鹿言うな.この俺が職員室に昨日から隠れて手に入れたネタだ.絶対大丈夫さ」
浩平「…そっそうか」

本当にこいつはそんなことまでやっているのか.おまえはすごい奴だ住井.

住井「今日からくるようだぞ…おっ噂をすれば…」
南森「おおっ」
浩平「…顔が髭だらけじゃないか」
住井「馬鹿.その後ろだ」

髭の後ろから入ってきた若い女.おっ
こっこれはっ

男子「おぉーーーーーーーーーーーっ」
髭「んあ〜.早く席につけ.こら机の上で踊るんじゃない.ウエーブもしなくていい…そこのやつ隣の
クラスへ帰れ.前の席の権利を売るな.外で整理券を配るんじゃない…誰だ写真とってるやつはっ」

廊下の窓は全開で、山のような人だかりだ.
しかし…これは本当に美人だ.しかもナイスバディ.体全体から発している大人の色気.
白いスーツがむちゃくちゃ似合っている.おまけにスカートは短いわ、胸元は開いているわ…

瑞佳「浩平.席につきなよ〜」
浩平「あっああ…」

だが俺も他の男達と同じくあんぐりと口を開けたまま永遠の世界へと旅立っていた.
可愛い.いや綺麗だ.いや色っぽい.いや可愛い.いや綺麗だ.いや……可愛さと綺麗さと色っぽさを
全部持っている.清楚な感じがするのに、どこか引きずり込まれるような危ない大人の匂い.
瑞佳が怒って俺を席に引っ張っていくまで俺は立ったままだった.ズルズルズル…

女「天沢郁未です.よろしくお願いします」
男子「よろしくお願いしま〜す」
郁未「あの…(汗)元気なクラスね.嬉しいわ」
男子「うわああああああああああっ」「よっしゃああああああああっ」ドンドンドンドンドンッ
女子「…………」

髭が咳払いをする.

髭「天沢先生には英語を受け持ってもらう.今日は一時間目が英語ということで、このクラスが最初の授業だ」
男子「うわああああああああああっ」「よっしゃああああああああっ」パフパフパフパフパフッ
女子「…………」
髭「じゃあ後はよろしくお願いします…天沢先生」
郁未「はい」

授業が始まった.だが俺たちの目は黒板なんか見てはいなかった.
郁美先生の…顔.胸.背中.腰.足.もうとにかく全部.ビシバシとレーザー光線のように
彼女の一挙一動を追い続ける.先生の体から焦げた匂いがしてきそうだった.

郁未「あっ…」
男子「おっ!!」

ガタガタガタガタガタッ
チョークを落として、しゃがんで拾おうとする先生.
それを見逃さまいといっせいに立ち上がる男子.

郁未「じゃあ…ここ誰に訳してもらおうかしら」
男子「はいはいはいはいっ」「俺だ俺だ俺だ俺だ〜っ」「どけどけどけどけ〜っ」

バタバタバタッ……みんな教卓まで殺到した.
手をあげるだけではだめである…いかにアピールするかが大切だ..
もちろん俺も早かった.だが惜しいところで負けてしまったのだ…ふっ…やるな住井.

住井「わかりませ〜ん」

バタバタバタバタッ
また教卓前に人が殺到した…次の人間に権利が移る.住井の姿はもう見あたらない.
使命を果たしたあいつは、たぶん誰かの足の下で満足げに微笑んでいるのだろう.
しかも先生ときたら全然指名しないので、毎回俺たちは走らなければならなかった.

郁未「…次は」バタバタバタバタッ
郁未「…ここは」バタバタバタバタッ
郁未「…じゃあ」バタバタバタバタッ
郁未「…ええっと」バタバタバタバ…

ゼエゼエゼエッ
すでに教卓前は屍の山になっていた.
だが生き残ったものたちは、先生の素敵な笑顔に闘志を奮い起こして走り続けた.
俺も気がついた時には屍の仲間入りをしていた…が悔いはなかった.

郁未「じゃあ今日はここまでにしましょうね.また明日」
男子「………が……ぐ……」
女子「は〜い」

一度死んだ俺たちも、休み時間になるとゾンビのごとく復活する.

住井「いやあ.久しぶりに燃えた授業だったなあ」
浩平「ふっおまえもなかなかやるじゃないか」
住井「おまえこそ」

ガシッ…腕を交差する…ふりをして殴り合う…ボカボカボカッ.

南「おっ俺は郁未先生となら…死んでもいい」
浩平「おまえ茜はどうするんだ」
南「それはそれ.これはこれだっ」

一瞬遠くで電気がほとばしった……茜……背中を向けてはいるが殺意の波動がぶいぶいに出ている.
南……おまえ……もともとあまりなかった可能性を自分で……
もうおそらく死ぬまで茜に口を聞いてはもらえまい.合掌.

瑞佳「授業がめちゃくちゃだよ〜っ浩平」
浩平「何言ってるんだ.おまえには俺たちのこの燃える思いがわからないのか.長森」
瑞佳「そんなことわからなくてもいいもん」
浩平「ふっ…所詮女子供には話すだけ無駄だな」
瑞佳「う〜っ…次の時は浩平前に行かせないもん.絶対邪魔してやるもんっ」
浩平「こっこら…」

それを聞いた途端に周りの連中の雰囲気が変わった.

住井「そうだ折原.長森さんのいうことを聞いてだなあ」
南森「そうそう.こいつを離しちゃだめだよ.長森さん」
中崎「おまえは長森さんがいるんだから.おとなしくしてろよ」
浩平「お ま え ら はーーーっ」

少しでもライバルを減らそうと…容赦のない連中だ.
おまけに住井のやつ長森と席を変わりやがった.俺の隣に長森.これはまずい.

瑞佳「ふふ〜んっもうどこにも行かせないよ〜っ」
浩平「おまえ馬鹿かっもう今日は英語はないんだぞ」
瑞佳「天沢先生がくる間はずっとここにいるもん」
浩平「マジか?」
瑞佳「マジだよ〜」

くそ〜っ住井のやつめ.

浩平「おまえなあ.せめて明日からにしろ」
瑞佳「だめだよ.浩平は油断できないもんっ」
浩平「………おまえなあ」

そして昼休み…3時限目の後に飯を片づけていた俺たちは、いっせいに立ち上がった.

浩平「……さてと」
瑞佳「あっどこ行くの浩平?」
浩平「トイレ」
瑞佳「じゃあ私も行くよ〜」
浩平「なんでおまえがついてくるんだっ」
瑞佳「だって本当にトイレかどうかあやしいもん」
浩平「………誤解されるだろう」
瑞佳「いいもん誤解されても.私は平気だもん」

いかん.こうなった長森には何を言っても無駄だ.
これから職員室に行こうとしているのを見破られたようだな.

瑞佳「あっ!」

俺は走り出した…いつも掃除をサボる要領だから楽勝だ.許せ長森.
だが…既に職員室の前は大変な人だかりだった.うるさいことうるさいこと.
みんな今は遅しと先生が出て来るのを待ち構えている.
しかしなかなか出てこない.どうやら彼女は中で弁当を食べているらしい.
一番前の連中がドアの隙間から職員室の中を伺っている.

「おおっいたぞ」「卵焼き食べてる」「次はタコウインナーだ」

俺も無理矢理割り込んで隙間から覗いた.おっいたぞ.
…食べてる口元が妙に色っぽい.

浩平「おお〜っこういうのもいいな」
住井「う〜ん.まったくだ」
浩平「おまえいつのまに」
住井「ふっおまえにできて俺にできないと思っているのか?」
浩平「…さすがは相棒だ」

ガラガラガラッ

「うわあっ」「ぐああああっ」

様子に気がついて髭が開けた途端、俺たちは職員室になだれ込んだ.

髭「こらあああああああああっ何やっとるかあああっ」

クモの子を散らすように俺たちは走り去った.

浩平「ふう…次は出て来るのを待つか」
瑞佳「やっぱりここにいた〜っ浩平」
浩平「うっ…しまった」
瑞佳「さあ帰るよ」
浩平「おまえ飯は食ったのか」
瑞佳「浩平が戻ったら食べるもん」
浩平「……そこまでするか」
瑞佳「さあ行くよ.浩平」
浩平「わっ待てっこらっ袖を掴むな」

俺は長森に引っ張られて、また教室まで戻っていった.ズルズルズル…
くそ〜っ こうなったら勝負は放課後だ.

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また馬鹿なもの書いてますが(^^;まあいいか
感想はまた今度まとめて書きます〜っ
ではでは