決戦!多食畜生!! 投稿者: だよだよ星人

『浩平は預かった.返して欲しければ多食畜生の塔までやってこい』

そして私はやってきた.
暗雲が立ち込める空を背景に、そびえ立つ五重の塔.
「ここが...たくちくすの塔ね」
ここに浩平がいる...はやく連れて帰らないと、またダンスホールの時間に間に合わなくなる.
ぐずぐずしている時間はない.

「行くわよ留美っ」
私は塔の重い扉を開け...あれっ?
開かない...横に立て札がある.
『カレーパンで開く』
「ちょっ...ちょっとちょっと」
カレーパンといえば浩平.でも浩平は塔の中.塔に入るにはカレーパンが...でもカレーパンといえば...
「だあああああっ」
だがその時...なんと足元にカレーパンがっ!
「...浩平」
こんなものでもあいつにはかけがえのない食事のはず.それを...私が助けに来ると信じて(涙)
早く持っていってあげなければっっ

だがいくら探しても鍵穴らしきものが見当たらない...
試しにカレーパンを少し食べてみる.
もぐもぐ...ギィイイイイッ
少しだけ開いた.でもまだ入れない.
もぐもぐ...まだだめ...もぐもぐ...まだまだ...もぐもぐ...いやいや...もぐもぐもぐ
...やっと開いた.
「全部食べちゃったわ」
一階に足を踏み入れた.

「やっと来た...待ってたんだよ〜っ」
部屋の中にはたくさんの猫の群れ...100匹はいるだろうか.
その中心で瑞佳がにこっと笑っている.
「ここは『だよもんの間』...私たちを倒さないと、二階の鍵はもらえないんだよ」
なるほど壁の額には『堕世門』と書いてある.
「...通してちょうだい」
「この子達お腹すかせてるんだよ...そういうわけにはいかないもん」
さりげなく恐ろしいセリフを言いながら瑞佳が前に出る.
ちぃっやはりしょうがないか.私は拳を握り締めると構えた.
「いくもんっ」
合図とともに猫たちがいっせいに飛び掛かって来た.
ミャーミャーミャーミャーミャーッ
ぺしぺしぺしぺしぺしっ
私は拳を神業のように繰り出し、猫を叩き落とす.
ミャーミャーミャーミャーミャーッ
ぺしぺしぺしっ
ミャーミャーミャーミャーミャーッ
ぺしぺしぺし...くそっ...きりがない...痛っ...いたたたたっ.
「無駄な抵抗だよ〜」
待てよ?影は8つしかない...そうか...後は幻影だ.
私は気合を入れた.
「喝〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
途端に猫の姿がいっせいに消え、後には8匹が残った.
「あっ...見つかっちゃったみたいだね...」
「スペシャルミーリング...サンダーーーーッ」
シュパパパパパパパッシュパーーーーーンッ
私は一瞬で8連拳を叩き込むと、すべての猫を倒した.
「うううっ」
「さっ..鍵を渡してちょうだいっ」
瑞佳がしぶしぶ出したもの...パタポ屋のクレープだった.
「でも...すごい喝だったね」
「そう?」
「七瀬さん...本当は長瀬っていうんじゃ...」
「そっそれじゃあね...」
逃げるように階段へと向かう.
カンカンカン...


もぐもぐ...
クレープを食べると次の扉が開いた.中には...
『待ったの』
二階にはスケッチブックを持った童女が待っていた.
壁の額にはでっかく『上月澪』と書いてあった...彼女がお習字をしたらしい.元の書はどこへいったのやら.
「子供の相手をしている時間はないんだけど」
『失礼なの』
澪はてとてとと走って来ると...途中でつまずいてこけた.
「......」
『大丈夫なの』
むくっと起き上がる.でも気のせいか、目がうるうるしている.
「おっお姉さん先を急いでいるから...またね」
無視して行こうとすると、一瞬殺気が走った.
「!」
横に跳んで避ける...と熱いスープと麺が...
ばっしゃああああっ
『食べるの』
頭の上に次のどんぶりを抱えている...落ちそうで危なっかしい.
「それが食べろという態度か〜〜っ」
『食べるの』
「わっ!いちいち字を書かなくいい〜っ片手で危ないってば」
じりじりと近づいてくる...しょうがない.これだけは使いたくはなかったが...
「ルミケーン...ボルト〜ッ」
私は飛び上がると、どんぶりに拳を叩き込んだ.
バコオオオオオオオオンッ
すっ飛ぶどんぶり.ぱり〜ん.
泣きはじめた...
えぐえぐっ.
「あ〜よしよし...」
でもなかなか泣き止まない.
「そうだっ笑い話をしてあげる.『パーティーに3人のチアガールが現れた』あはははははっ」
びえええええんっ
...はあ...しょうがないな.
「一杯だけよ?」
ぱっと明るくなった.
『食べるの』
ずるずるずる〜っ
キムチが入っている「...ふっ...せつない思い出ね」
上で扉が開く音がした.
『開いたの』
「そっそう?...ありがと」
澪の頭を撫でてから、三階へと向かった.澪は下で手を振っている...無邪気なものだ.
カンカンカン...


「...あれっ?」
静かな部屋.誰もいない...壁の額には『甘党喫茶』と書かれている.
「!」
間一髪で避ける.
ザクザクザクッ
立っていた場所にワッフルがつきささった.(注:普通はつきささりません)
いつの間に現れたのか、袋をたくさん抱えて立っている女.
袋には「甘くておいしい山葉堂のワッフル」と書いてあった.
「あっ危ないじゃないのっ茜」
「...動かないでください」
「いや動かないでって言われても...」
茜の手がふわっと舞うように動く.
きたっ
ザクザクザクザクッ
「くっ...」頬をかすめた.
たまらずに拳でガードする...が、
「痛いっ」
「...無駄です.このワッフルはあなたの拳を砕きます」
「そんなワッフルが...あるかああああっ」
どうやら...これを使う時がきたようだ.
私は秘密兵器を取り出した.
「カイザーナックルミーッ」
しゃきぃいいいいいいいんっ
ダイヤモンドよりも硬いと言われるカイザーナックルミーで...ワッフルを叩き落とす.
カシカシカシカシカシカシカシィッ
カシカシカシカシカシカシカシィッ
...しばらくするとワッフルが飛んでこなくなった.
部屋の中に甘ったるい匂いがただよっている.
「どうやら尽きたようね...」
「...後は私が食べる分...」
「じゃあ上に行くわ...鍵に1つだけちょうだい」
「...嫌です」
「そっそんなこと言わないでよっ」
「...わかりました」たった1つでとても悲しそうだ.
取返されないうちに食べる...もぐもぐ...扉の開く音...
「げ〜っ...甘ああああああい.甘すぎる」
「...おいしいです」茜は全然気にせず食べている.
四階に上がった.
カンカンカン...


がっこおおおおお〜んっ
扉が閉まると部屋の中は真っ暗になった.何も見えない.
「思ったより早かったね」
みさき先輩の声...どこ?
「なっ何よ?この部屋は」
「くすっ...ごめんね...これ以上行かせるわけには...」
ごおおおおおおおっ
「いかないよ...」
暗闇から突風が!
「!!」
後ろに吹き飛ぶ.壁に叩きつけられた.
「...くっ」
「私が四階にいるということは...100人分強いということなんだよ」
「3人分の間違いでしょ〜っ」
ごおおおおおおおおっ
風で身動きがとれない...壁に体が押し付けられる.
うぐっ...みさき先輩の居場所さえわかれば...だめだっこの暗闇をどうにかしないと...
ん?壁に何かある...こっこの感触は...まさか...いやそんな安直な...
パチッ
思ったとおりスイッチだった.部屋の中がいっぺんに明るくなった.
向こうでは、先輩が落着かない感じで立っている.
手には特大のうちわ.
「えっ...えっとえっとっ」
「...先輩」
「私はいないって言ってね」
「ジェットアルミッパーーーーッ」
グワッシャァアアアアアアンッ
うちわを粉砕する.
「留美ちゃんひどいよ〜っ」
「どっちが!」
「お腹すいたよ〜」ごそごそ「もうカレー食べよ〜っと」
ご飯のお釜が3つ4つに特大のカレーなべ.
「あの〜っ」
「一杯だけって言っておくよ」
「...だれがおかわりなんかするかあっ」
壁の額を見ると『大食漢』と書いてあった.もう部屋の名前じゃない.
ふうふう言いながらカレーを食べる...が、そろそろ胃袋も限界だ.
上で扉の開く音がした.
階段を登る.
「う〜っ苦し〜っ」
カン...カン...カン...ゼエゼエ...ウエップ.


「むっ」
どうやらここが最上階らしい.
壁の額には『てりやき教総本山』と書かれている.
見ると大きな仏像の手の上に浩平が...寝ていた...よだれを垂らして...
「こっこの馬鹿男...起きんかああああああああいっ」
がすっ
仏像を蹴飛ばすと落ちてきた.
どし〜んっ
「ぐああああああっ...せっ背骨がっ」
「ったく...人が助けにきたって言うのに...」

とっその時
「えっ?」
おさげに何かがぶら下がった.
「きゃあああっ」
「みゅ〜っ」
「いったああああああああいっ!!」
「みゅ〜っ」
「離せ〜っ繭の馬鹿ああああっいたたたたたっ」
だがなかなか離そうとしない.捕まえようとするとひらりと逃げて反対側のおさげに.
「はあっはあっ」
食べ過ぎで体が重い.とても繭のスピードについていけない.
「さっさすがはてりやき教の総帥、繭.あの七瀬をもってしても敗れるのか...」
浩平がタオルをほうり込もうとしている...が止めた.
「...七瀬...目が死んでない...いったい」
「みゅ〜(そろそろとどめだ......はっ!!)」
繭がぱっと離れた.
「みゅ〜(なっなんだこの戦慄はっ)」
「みゅ〜(まだ私が恐れるほどの何かが...)」
「みゅ〜(この女に残ってるとでもいうのか?)」
ゆらあ〜と立ち上がる.
「...ふっ天災と言われたこの私が」
「字が違ってるぞ留美」
「たった一つの必殺技をつくるだけに...ぼろぼろになったとでも...思ってるのかあああっ」
「みゅ〜(まっまさか)」
「そうよっこの左手にはもう一つの必殺技が...宿っているのよっ」
「いかん繭っリングの外に逃げろっ」(注:リングはありません)
「みゅ〜(うわあああああああっ)」
「遅いっ...ギャルミティカ...ファントムッッ!!」
ドゴオオオオオオオオオオオンッ
仏像が吹き飛ぶ.

「...わああああああああんっ」
「あ〜うるさい.耳がおかしくなりそうだ.何とかしろっ」
「風圧でちょっと転んだだけなのに...」
壊れた仏像の中になぜかあった、BOSのてりやきバーガーを持たせると、やっと泣き止んだ.
「ひっくひっく...はぐはぐ...」
一件落着だ.
「時間がないのよ.はやく帰りましょう」
私たちは塔の外に出た...とその時.


「待った...留美」
「どうしたの?...まさか...」
「ふっ...そうだ...あの手紙を出したのは」
「とっくに気がついてたわよ.きったない字だったから」
「...そっ...そうか」
「私とダンスに行くのがそんなに嫌なの?」
「べっ別にそういうわけじゃ...」
「残り一つの必殺技を使う相手は...あなたってわけね」
「わっ待てっまだ俺の話が...やめてくれっ」
「...ルーミラン...テリオオオオオオオスッ」
「名前に無理があるーーーーっ」
ドグアアアアアアアアアアアアアアッ!!
浩平は家の方へと飛んでいった.
「先にタキシードに着替えててね〜っ」
「......わ...か...ったあ......」
キラッ
星になった.


さて...私も急がないと...時間に遅れてしまう.

ところが家に帰ってみると
「うぎゃーーーーーーーーっ」
食べ過ぎで太った私には...ドレスが着れなかった.


ちゃんちゃんっ

すいません.久しぶりにリンかけ読んだんです.許してやってください(涙)

感想
まてつやさん>やるな繭...男を振るとはすごいみゅ〜.なんとなくじ〜ん.
雫さん>いやっ...あのっ...感想に感想書かれても(^^;嬉しいけど.そうか次のタイトルは決まりました(爆)
でも染之助、染太郎(笑)どこまで続けるかとはらはらしました.
ここにあるよさん>おおもう次の話が!茜ちゃんスペシャル!!...キャンプに持ってきますかそれをっ

しかし感想...先にまとめて書いといてよかった.