こっちの世界 投稿者: だよだよ星人
あっちの世界の続きです


......
オレは冷たい雨にさらされながら、街をさまよっていた<中略>
間違いなく、今日、オレはこの世界から<中略>
最後に消える場所を求めて...

「中略よっ中略っ」
七瀬さんが叫ぶ 
「いきなりいたわっ」
「お手柄だね繭」撫でてあげる「♪〜」
「無事でよかったね、浩平君」
「何一人でぶつぶつ言ってたの?浩平っ」
「だめだよっ私たちが誰かわかってないもん」
「しょうがないわね〜」
詩子さんがとりあえず学校まで運ぼうというので、私たちは裏山から浩平を引っ張り出すと、
そのまま校庭の方へと降りていった
フェンスにはいつの間にか大きな穴があいていて、浩平を運び込むのにちょうど良かった
「七瀬さん...さすがだねっ」
「あたしがあけたんじゃないっ!」
「そんな照れなくても...」「みゅ〜っ」
「違う〜っ」

手近な教室に入って待っていると、詩子さんがその知人とやらを連れてきた
「とりあえず、彼女のことは『郁未さん』とだけ紹介しておくわ」
「あっあははははっ」「...はっはじめまして」みんな表情が硬い
それもそうだ...私たちが彼女を知っていることは秘密なのだから
この業界も市民権を得てきたとはいえ、まだまだ普通の女子高生が胸を張って話せる状況では...
『MOON.なの』
がくっ
「みゅ〜っ(おっきなハムスターが好き〜)」
「あっあんたたちっ...」

私たちは挨拶もそこそこに木偶のような浩平を引き合わせる
「これは...もうすっかり『下水道で膝を抱えている』状態ね...」
「じゃあ汚れたぬいぐるみが必要だね」「...そっそうなの??」
「それなら丁度いいものがここに...」
繭があちこち引きずって、すっかり原形をとどめていない物体...
「こっこれは...」苦笑する郁美さん
「私がもらったあれと良い勝負だわ」
とりあえずそれを浩平に持たせる...が、単に情けなさが増幅されただけだった
気がつくと郁未さんが浩平の手に落書きをしている
「...さっできたわっ...浩平君はT−8ね」
「だあっ」こけた
「早速MINMESに入れましょうね」「まじっ?」
「食堂の方に向かって左側、手前の部屋で待ってるわ」
「だからどこよそれはっっ」
「昼食をとったら、午後はELPODね」
「もう夕方だよ〜っ」

ところが教室の一つに入ると、本当に床が光っているではないか
しかもそこには......
「こんにちは、葉子さん」
「...こんにちは」
「って何やってるのよ、茜」
「...違います」
『髪型変えてるの』
「みゅ〜」
「...違います.私は葉子です」
「じゃあちょっとその髪おさげにして見せてよ」
「...嫌です」
「......」
「...嫌です」
「やっぱり茜だわ」
「...違います」
とか言っているうちに機械が動き出した
がこん...がこん...がこん...
まるで古いジェットコースターみたいな音が不安をかきたてる
「第一段階終了、お疲れ様でした」「第二段階終了、お疲れ様でした」
............「第三六五段階終了、お疲れ様でした」
あっという間に1年が経ってしまった
浩平も戻ってめでたしめでたし...♪チャッチャッチャ〜チャラ〜...

「かっ『輝く季節へ』だわっ」
「誰が流してるのっ?」
......詩子さんだった
「あっまずかった?」
「あたりまえじゃ〜っ」

実際は数時間しか過ぎていないのだが、郁美さんが例の力で加速しているのか、
かなりの段階を終了しているようだった
「..精神に負荷をかけて鍛えるって聞いたけど...」
浩平は滝のように涙を流しながら、「永遠はあるよ〜ここにあるよ〜」とつぶやいている
「鍛えられる前にロストしそうなんだけど...」
「...『遠いまなざし』が似合いそうな雰囲気だね」
「流そうか?」
「やめてちょうだいっ」

MINMESが止まった後も、浩平はぼんやりとしたままだった
「ん〜これはやはり浩平さんがこちらへ戻って来たくなるようなきっかけが必要だと思います」
「へっ?]「あなたは...」
「たとえば...そうですね..例のスケッチブックなんかどうでしょう?永遠の盟約をする前の
約束ですから、責任感にかられてかなり有効かもしれませんよ?スケッチブックを持たせて
MINMESに入った主人公は、幼い時に守らなかった約束...少女を待たせてしまったつらい
記憶を思い出して、こちらの世界に帰ってこようという気持ちが強くなるのではないでしょうか」
「もしもし?」
「MINMESから出た途端、大事なスケッチブックはさらにぼろぼろになって崩れてしまうんです」
「......」
「でも少女はやさしく微笑みます...長い間大事に守ってきたものがその役目を終えた...
元気になった主人公に駆けよる少女....清々しいラストですよね」
「...由依...いつの間に来たの?」

しかしその肝心の少女とやらは、とうとう葉子さんにぶら下がって、髪をおさげにしはじめていた
『やっぱりなの』
にこにこしながら
『茜さんなの』
「...はい」
観念したようだ...
でもどこか嬉しそうに見えた


......
...
気が付くとオレは教室にいた
まわりによく知った顔ばかり見える
(...なんだこれは?...)
しかしオレの...なぜか鋭くなっていた野生の勘が、口を開くのをためらわせた
どうもこの場所の雰囲気はおかしい
みんな俺を不思議なものでも見るような目で眺めている
いや...哀れむような、あるいは面白がっているような感じにも見える
だいいち手に持っているこれはなんだ?
右手にはスケッチブック、左手にはわけのわからない物体...
......
これはしばらく様子を伺って、隙を見て逃げ出すに限る
知らない顔もあったが、まあ気にしないでおこう
だいたい「こっちの世界」はうるさいばかりだ.........

「あ〜っ浩平がっ」
「探すのよっ」
「見つけたものが浩平を手に入れるってのは?」
「...いいわね...受けてたつわ」
「ってなんで郁美さんまで...」
「うふふ...」

走りながら私は思った
まあ何とかなるだろう
「こっちの世界」では
まだエピローグまでの時間はたっぷりあるのだから


おしまい


ってこんな終わりかたでいいんか〜(--;
SS書いたの始めてなもので、つたない点はお許しを〜

あっ風林火山さんっ感想ありがとうございました
すいませんこんなもの書いて(^^;地獄に落ちるかも
「あのひと....」未来のお話ですね
続き楽しみにしてます
それでは