フレンドシップ 投稿者: トーマス
屋上に一人立っていた。冬の風は厳しく、自分以外にこんなところに
来る物好きはいないだろう。

(彼は、今日ここに来るだろうか?)
わからない。すべては変則的な邂逅にすぎない。
彼が他者と絆を結ぶことが出来ていれば、もう
あう機会はないはずだ。

(だったら何で僕はこんな所にいるんだろう?)
軽く笑ってみる。僕は彼と再び会うことを望んでいるんだ。
だから、ここにいる。彼を待ち続けている。

・・・もう、何時間たっただろう。手足はすっかり冷え切って
いたけれど、熱を持った体にはかえってここちよく感じられた。
空を見上げる。はく白い息ごしに、もう一つの世界が
すぐ身近にみえた。

(もう終わりが近いのは分かっているしね)
そう思った時、激しくせき込んでしまい思わず膝をつきそうに
なった。手すりにもたれて深く息をする。
(いや、永遠の始まりかな)
どちらでも良いことだ。最初からこの世界に未練は全く
なかったのだ。
彼と出会うまでは。

同じ目をしていた。自分と同じ人間だと、すぐに分かった。
しかし彼は、この世界にとどまろうと、無意識に他者に絆を
求めていた。彼を見ていると、この世界もそんなに悪くないんじゃ
ないか、そう思ったんだ。友人と、何気ない日常をすごす。
春、夏、秋、冬、そしてまた春。たわいもない冗談と笑い声。

(もう残された時間はないけれど)

ふと何かを感じて、屋上の扉をみた。かすかに足音が聞こえる。
ノブが回り、扉が開くのを、じっとみつめた。
喜びと、少しの悲しさと共に。

#どうも、トーマスです。ネタばれ必須の、カレのSSです。
#一応日付は限定されないように注意したんですけど、
#ちょっとまずいかも。まあいいや。BGMは山下達郎(<おい)。
#テーマは、待ち続けること。茜も同じですね。と、いうより
#この話の登場人物はみんなそうだよね。・・って住井君もか?
#
>Sealさん
感想書こうとして、椎名って名前なんだったけ?と思ってしまいました。
個人的には、七瀬も名字のほうがしっくり来るのだ。
>紅月夢さん
まるで落語のような、ナイスなおち(笑)。ところでHydrantって、某 牙の塔?
>せらふぃむさん
うーむ、難解すぎる。(<自分の頭がオサルなだけだろーが)
守護霊みたいなもんでしょうか?え、ちがう?
>セリスさん
いいなあ。本命 茜な自分も、このみさき先輩には降参です。ステキ。
>睦月周さん
シンデレラですか。やっぱり七瀬もいいよね・・・っておい!
>時の影さん
絶妙なひらがなとカタカナのバランスに脱帽しました。かっこいい!