信じてるから 投稿者: 時の影
 私は歩く。誰もいない夕方の廊下・・・・・・・。
今日は卒業式。誰もいない放課後の学校・・・・・・・。
私は歩く。




 「今日は何処へ行こうかな」呟いてみる。
「今日は、公園。うん、そうしよ」
まだ少し肌寒い昼の公園。桜の香りもまだしない。
・・・・・・・あの人と、離れた場所・・・・・・・。

あの時の私には学校しかなかった。学校が世界だった。小さな世界。
子供のころの記憶で綴られた世界。広がる事の無い世界・・・・・。
唯一光っていた場所、私が安心できた場所。
そこだけだった。そこしかなかった、これからもずっとここだけだと思った。

でも・・・・・あの人は、そんな狭かった私の視野を、世界を広げてくれた。
「商店街行こうよ」って、言ってくれた。恐かったけど、大丈夫。
うれしかった。
あの人の温もりが、気持ちが、手を通して伝わってきたから・・・・・・信じれると思った。
いつもと、違う一歩を踏み出して・・・・・・・そして、私の中に入ってきた新しい世界。

あれ以来、私はよく散歩するようになった。目的地は別に無かったけど、すべてが新鮮だった。
毎日違う風に触れて・・・・・・・・・・・・。その風を、匂いを感じると、周りの景色が手に取るようにわかる。
「今日の風はやさしいな・・・・・・」
「あ、焼き立てのパン」
「・・・・・・もうすぐ雨かな」

 そして、公園のベンチに座る。アイスクリームは・・・・・・・まだ売ってないみたい。
・・・・・・・・・・風が体をとおりぬける・・・・・・・・・・
「何があっても、必ず最後には先輩のそばに居る」
ねぇ、あの時の言葉、覚えてる?私は今でも、昨日聞いたみたいに覚えてるよ。
あの言葉があるから、信じてるから寂しくないよ。約束、守ってくれないと怒るよ?
私は馬鹿だから、信じちゃったら途中で止められないんだから・・・・・・。
だから待ってるよ。ずっと。ずっと、あの言葉を信じて。
「最後には・・・・・・だよね・・・・・・・・」




私は歩く。
階段を上る。
とん、とん、とん、とん・・・・
『立ち入り禁止』
看板が立ってる。
また私はここに居る。でも、昔の私じゃない。
もうここは、すべてじゃないんだ。広い世界のたった一握り・・・・・・・・・・。

だけど、大切な場所。あの人と初めて出会った場所。
・・・・・・・・・・・・・・・・・あの人が帰ってくる場所。だから私はここに来た。
あの人に会うために、あの日を感じるために。
       重いドアを開ける。
今日のこの日にしか言えない言葉を・・・・・・・・・・伝えるために
    新しい世界へ・・・・・・・・新しい季節への扉を、開くために。

    


            
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う〜〜〜ん、凝りもせず2度目もやってしまった(^^ゞ
BGMは「雨」・・・・・・・気がついたら、なぜかこれを書いてました。
しかしながら「変わってねーじゃん」って突っ込みが聞こえてくるような・・・・・・。

う・・・・・・・・・・それを言われると辛いんやけど・・・・・また性懲りもなく書くべし〜〜。(笑)
次は・・・・・・・・・瑞佳いってみようか。