Juvenile K−5− 投稿者: ゾロGL91【感想メールのみ】
穏かな風になびく緑色の絨毯が広がる。少年はその優しく頬を撫でる風を心地よく受けつつ、目の前の光景を眺めていた。

(地平線の向こうには何があるのかな?)

―草原だよ。ずーっと、途切れることなく続く草原だよ

(永遠に続く草原・・・・・)

―そう、永遠に続く草原だよ

(そこには何があるのかな?)

少年は振り向いて、自分の後ろにいた少女に問い掛けた。ただ、ふと心に湧いたことだった。だが、少女はそれを拒否することなく口を開いた。

―永遠に続く向こう、そこにあるのは虚無

(・・・・・本当に?)

―確かめてみる?

(いや、いい・・・それよりも今はこうしていたい)

少年は再び前を向いて風を受けることに没頭した。こうしているだけで、少年は心が安らいでいく。

(でも、僕は見つけなければならない、・・・・・真実を)



EPISODE5「Queen Of Seventy−Seven」



翌朝、目覚しの音に起こされた七瀬は、重く響き渡るような衝撃を頭に受けた。反射的にこめかみの辺りを右手で抑える一方で、左手は目覚しを探り当て、そのスイッチを押した。
「ふぁーぁ・・・・何よ、今日は日曜日じゃない・・・・・誰よ、目覚し入れたの・・・・・」
時刻はいつもよりとちょっと遅い時間を示していたが、もちろんセットしたのは七瀬だ。しかし、昨晩の騒ぎがたたり、起き上がることができずに枕に突っ伏してしまった。
(何かすることがあった気がするけど・・・、いいや、寝ちゃえ)
まだ眠気はたっぷりと残っていた。それをかき集め、再び心地よい世界へと身を委ねようとした七瀬だが、その安らぎは閉ざされることになる。
「お・き・ろーっ!」
「うぐっ・・・!」
昨日、七瀬自身が与えた同じ台詞、同じ衝撃が走った。顔まで布団に潜っていた七瀬だが、胸を潰されるような重みにうめきながら首をもたげた。
「おはよう」
七瀬の上に、浩平がのしかかっている。無邪気な笑顔で七瀬を起こしているつもりなのだが、彼の体重を考えれば七瀬にとって十分な責め苦である。
「お、おはようじゃないわよ・・・っ、早く退きなさいっ!」
七瀬の顔が真っ赤なことに気づき、浩平はベッドを降りた。
咳き込みつつも七瀬は体を起こす。そして、落ち着きを取り戻すとすぐに怒りを露に浩平に食って掛かった。
「朝っぱらから、何の騒ぎよっ!?」
「だって、お姉さんがこの時間に起こしてくれって・・・・・」
「え?そんなこと言ったけ?」
二日酔いで重たい頭を振り絞り、記憶を辿っていく。すると、昨夜の言葉がぼやけながらも思い出された。今日の日曜日、近くのデパートがバーゲンなのだ。
(ああ、それでこいつに頼んだんだ)
二日酔いを見越していた七瀬だが、今の気分を考えれば後悔をしていた。しかし、浩平はその手を掴むとベッドの中から出そうとしている。
「ほら、早く行こうよ」
(しまった、こいつに昼をおごる約束だったんだ・・・・・)
「ほらーっ」
「はいはい・・・」
子供らしく急かす浩平に七瀬はあきらめたように笑った。


(ぐ・・・そ、そろそろやばいかも・・・・)
「ふんふん、ふふーん♪次はあの店ね。・・・ちょっとぉ、遅れてるわよーっ」
「お、重たすぎだよー」
嬉しそうに前を行く七瀬を浩平は必死についていた。その両手は大漁と言わんばかりの買い物袋が下がっている。いわゆる荷物持ちである。
ブティックや小物屋の並ぶアーケード街を二人は練り歩いていた。久々にショッピングを楽しむ七瀬の買う量は、浩平の限界に達しようとしている。すでに両手の指先は痺れはじめ、二の腕は痙攣を始めていた。そんな浩平とは対照的に、おでかけ用のお気に入りのスカートとニットを着込んだ七瀬はご機嫌だった。
「お姉さん、まだなのー?」
「何言ってるのよ、後6軒は回るわよ」
「うえーっ」
朝とは立場が逆転している二人だったが、この穏やかな休日に笑顔が見えることが多かった。しかし、そんな二人をビルの狭間から鋭い視線で観察する者がいた。一人だけではない、いくつかの間隔を置いて男達が目を光らせている。もちろん、二人が気づくはずもない。
そして、一人の男が対岸にいた別の観察者に目配せすると、通り過ぎた浩平と七瀬を追いかけるように動きはじめた。
「うー、もう疲れたよー」
「仕方ないわね、それじゃあ、あの喫茶店で一休みしましょう」
「やったーっ♪」
二人が立ち並ぶ商店の一軒の喫茶店に近づいた時、突如、人波の中から3人の男達が浩平達を取り囲んだ。一様にばらばらのスーツを着ているが、そのいかついガタイだけは共通している。
「折原浩平だな・・・・」
「え・・・?そうだけど・・・おじさん誰?」
男の一人が低い声で浩平の名を呼んだ。しかし、浩平は彼らに覚えがなく戸惑いの表情を浮かべた。
「誰?こいつのこと知ってるの?」
「・・・・・お前には関係ないことだ。来てもらうぞ」
「うわっ!」
浩平よりも背の高い男に強く手を引かれたため、浩平は荷物を落としてしまった。中には割れ物も含まれていたのか、ガシャン!と甲高い音も響く。
「あーっ!?あのクリスタルの置物高かったのにぃ!」
「安物ごときでわめくな」
「何ですってーっ!?」
七瀬の言葉を無視し、男はなおも浩平を連れて行こうとする。その態度に七瀬の血管が切れた。
「謝りなさいよーっ!」
「ぐおっ!?」
言葉よりも先に七瀬の怒りの鉄拳が、浩平を引っ張った男の顔面に炸裂した。男は鼻柱を叩き割られ、後ろへ倒壊する。
「抵抗するかっ!?」
「ならば、お前にも一緒に来てもらうぞっ!」
「できるもんならやってみなさいっ!」
事態を掴めない浩平を置いて、七瀬と男達は対峙する。そして、二人の男は同時に襲い掛かった。
「ふん・・・!」
殴り掛かってくる一方の男の拳を背をかがめ、するりと抜ける。がら空きになった男の腹へと強烈なボディブロー。
「・・・うぐっ!」
「おのれーっ!」
残る一人が七瀬の動きを止めようと迫り来る。しかし、七瀬は焦ることなく右足を軽くひいた。そして、勢いよく飛び込んでくる男に合わせて、思いっきり足を振り上げた。
「うぎゃぁっ!」
七瀬の振り上げた足は唸りをあげて、男の股間へとめり込み、男は情けない悲鳴と共に崩れ落ちた。
「は・・・っ、乙女をなめないでよ」
倒れ付す男達を見下ろす七瀬だったが、不意に注目される視線に顔を上げた。
「ぐあ・・・」
周りはいつの間にやら群集で埋め尽くされていた。真っ昼間に繁華街で行われたストリートファイトに、人が集まるのもやむを得ない。
「ほー、すげえ姉ちゃんだなー」
「やーねー、野蛮な女は・・・」
群集の中からは羨望の声だけでなく、ひそひそと話す声も聞こえてくる。
「ま、まずい・・・逃げるわよっ!」
「え、ええ・・・っ!?」
落とした荷物もそのままに、その場にいずらくなった七瀬は浩平の腕を引いて、群集の間をかき分け始める。その間に倒れていた男達も起き上がりはじめた。
「くそ・・・逃がすものかっ!」
「しっつこいっ!」
ふらつきながらも追いかけてくる男達に舌打ちしながらも七瀬は走る。浩平も不平を言わずに七瀬に続いた。逃げる一方で、七瀬は突然の出来事に頭を巡らせていた。
男達は確かに浩平のことを知っている。間違いなく浩平の正体を知る者なのだが、状況は厄介なものになっていた。一度手を出してしまったのだ、彼らの口振りからしてただですむようには思えない。
「待てーっ!」
後ろからは男達の怒鳴り声が響く。それらを完全に無視して、七瀬は走った。大通りを抜け、道脇の路地裏を通る。淀んだ湿っぽい空気が鼻を打つ。
「はぁ、はぁ、はぁ、何よあれ・・・?あんたの知り合い?」
逃げ込んだ路地裏。ビルとビルの隙間から覗く街並みは、商店街から外れ危険な香りをもった風俗街へと入っている。普段は来ることのない地区に、七瀬はちょっと不安になった。
「あんたのことを知ってるようだから、関係はあるはずよね」
「僕、あんな人達知らないよ」
「それよりも、この状況はまずいわよ。どう考えても、危ないもん」
そう言って、明るい方へと足を向けた時、複数の駆け込んでくる足音と怒鳴り声が響き渡った。
「いたぞっ!」
「やばっ!」
慌てて浩平を手を引き、背を向けて路地の奥へと走る。先ほどの男の一人が路地に入ってくる。
「わ、わっ、追いかけてくるよっ!」
「ああっ!行き止まりだわっ!?」
七瀬は愕然として目の前にそびえる灰色の壁を見上げた。すぐそこまで迫った男の気配に、身構えつつ素早く振り返った。しかし、その表情を凍り付くことになる。
「言っておくが、玩具じゃないぞ」
七瀬の視線は男の手に握られた拳銃へと注がれていた。薄暗い路地裏にあってそれは、狂暴な黒光りを見せている。
「あんた達、何者なの・・・?こいつと何の関係があるの?」
「話す義務はない。さあ、来るんだ」
「くっ・・・」
恐怖と焦りに七瀬の背を冷たいものが伝った。浩平は七瀬の後ろで震えている。そして、男が一歩踏み出した時。
「うああっ!!」
「え?」
突如、体をくねらせた男はどさりと地面に倒れた。男はぴくりともせず気絶している。一体何が起こったのかわからず、七瀬は目を白黒させた。
「大丈夫でしたか?」
「え・・・?」
前を見るとそこには一人の七瀬よりは幾分か年上の女が立っていた。少し厚めの化粧が、わずかに風俗の雰囲気を醸し出している。手には防犯用のスタンガンが握られている。どうやら、これで男を気絶させたらしい。
女はわけがわからないという浩平と七瀬に、含み笑いを浮かべて口を開いた。
「ご安心ください。わたしはあなた方が追われているのを、お姉様に命じられて助けたんです。ふふ・・・かわいい女の子を襲う男は、皆私達の敵ですから・・・」
「え?」
「いえいえ、おきになさらずに・・・」
女の意味ありげな笑いに何故か七瀬は不安を感じていた。
「ここにいるのは危険です。お姉様の所にいらしてください。是非、おもてなしをさせて頂くわ」
「あ、あの・・・」
「ご安心を、これは善意の行動ですから・・・・・」
終始怪しい言動だったが、先を行く女に釘をさされ二人はついていくしかなかった。追手が心配なせいもあった。
女に連れられ、二人は風俗街へと出た。昼間のせいか、まだ開いている店もなく電飾は静まったままである。しかし、道を通る人々はそれほど閑散としていなかった。おかげで別の男達に見つかることもなく、女の行き先ま来ることができた。
「こ、これは・・・・」
その店を見た時、七瀬の不安は膨れ上がった。風俗店の並びでも一際敷地を取っているその店は、ネオンで象られた店名にこう掲げられていた。”C−LAND”
遠い記憶が警鐘を鳴らす。しかし、それも間に合わず女に先導され、裏口らしき狭い地下への階段を降りていった。どうやらこの店は地上の正面入り口とは別に、地下に何かあるらしい。そして、七瀬がその意味を知る時はもうすぐそこまで来ていた。
「さあ、どうぞ」
地上とは打って変わって粗末なスチール製のドア。それが余計に不安を募らせる。そして、女がドアを開け開いた向こうの光景は・・・・・。
「なっ!何なの、ここっ!?」
「うわー、すごい所だねーっ」
そこはまさに宮殿と称するのがふさわしい場所だった。分厚い高級カーペットが広い室内に敷き詰められ、壁はエキゾチックな装飾がなされている。垂れ下がる薄いカーテンも、妖しさを倍増させていた。最も目を引くのは、部屋の中央に置かれた主のいない玉座だった。
何よりも室内には十数人の美女達が、露出度の高い艶やかな衣装で揃っているのが妖しすぎる。その時点で、七瀬はここがどこかに気づいた。
ネオ中崎の随一と言われるレズ御用達の風俗店、それが”CーLAND”だった。
(ひーっ!何で、こんな所に来ちゃったのよーっ!」
「あ、あのわたしはやめとこ・・・」
「さあさあ遠慮なさらずにっ」
女は七瀬の後ろに回り中へと押しやた。そして、無情にもドアの鍵をかけてしまった。
「お姉様が奥でお待ちしております」
「ちょ、ちょっと何、やめてーっ!」
いつの間にか、女達が七瀬を取り囲んでいた。抵抗も空しく、七瀬の体は川を流される木の葉のように、奥にある豪奢な扉の向こうへと流されていった。
「あれ、あれれ?」
浩平は潮が引いたような室内で一人取り残された。


「では、ごゆっくりー」
「きゃあっ!」
七瀬の体は部屋の半分以上を占める巨大なベッドへと投げ出された。押さえ切れない不安を抱えつつ、部屋を見回した。先ほどとは違い、青を基調とした落ち着いた雰囲気が漂う。このベッドを除けばの話だが。
「ご機嫌はいかが?」
「誰っ!?」
部屋の隅、ごく薄のカーテンがかかった向こうからそんな声が聞こえてきた。
「わたしはこの”CーLAND”のオーナー、柚木詩子、よろしくね」
「は、はぁ・・・」
カーテンの向こうから姿を現したのは、随分と小柄な少女だった。青いドレスが艶めかしい、というよりもかわいらしく映している。高校生ほどにしか見えない彼女は、自らをここの主と称した。そのことに七瀬は戸惑いを覚える。
『ピッピピッ!!』
『キュッ!キュキュッ!!』
詩子の周りを2体の球体が浮かんでいる。これは”F・B(フォースボール)”と呼ばれている、ペット兼ボディーガードの役割を果たすものだ。それぞれ黄色と白銀のボディの中央に線が横に走り、ピンク色のモノアイが素早く左右に振られている。
「あ、あの一体何々ですか、これは?」
「うふふ、あなたがあまりにもかわいいから、助けてあげたの。ここはわたしが気に入った女の子しか入れないVIPルーム。ところで・・・あなたのお名前は?」
「な、七瀬留美です」
怪しい目つきと笑みを浮かべて近づく詩子に、ベッドの上で後ずさりながら七瀬は答えた。
「七瀬さんね・・・うん、ぴったりなかわいい名前」
「そ、そろそろ帰らないといけないんですけど・・・・・・」
「だ・め・・・、まだ危ない男達があなたを狙ってるわ。だから、ほとぼりが冷めるまで・・・・・」
「それまで・・・・・?」
「わたしと遊びましょうっ♪」
「きゃあああーーーっ!」
七瀬に圧し掛かるように詩子がダイブする。その機敏な動きに七瀬はたちまち組み敷かれてしまった。もがく七瀬の手足を押さえつける詩子の腕が伸びる。その詩子の手の平にむにゅ、と弾力のある七瀬の胸を掴んだ。
「きゃあああーーーっ!!!きゃあっ!きゃあっ!」
必死の抵抗に詩子の体は弾き飛ばされる。自由を取り戻した七瀬は、詩子めがけて鋭い右フックを放った。
「わっ!」
「え・・・!?」
しかし、必殺の一撃は身をかかげた詩子に軽々と躱されてしまった。空を切った七瀬はよろめく。自信があっただけに七瀬に驚愕が走る。
「ふふ、かわいがり甲斐がありそうね・・・・」
(た、助けて・・・・っ!)
「お姉さんをいじめるなーっ!」
七瀬の貞操の危機が迫った時、けたたましい音と共に扉が勢いよく開かれた。現れたのは、何故か衣服の乱れた浩平だった。
「わ、男だっ!」
「今だっ!」
「きゃっ!?」
突然の浩平の登場に気を取られた詩子を七瀬は突き飛ばした。その間に浩平の元に駆け寄る。
「あんた、どうしたのその格好?」
「何か、お姉さん達が僕の服を脱がそうとしたんだよ。でも、お姉さんの悲鳴が聞こえたから・・・・・」
「そう、ありがとう。でも、今は早く逃げるわよっ!」
浩平の手を掴んで扉へと走る。しかし、そこは控えていた女達が立ちふさがった。
「だめよ、坊や。男は気が進まないけど、せっかく可愛がってあげようとしたのに」
「そこをどきなさいっ!」
しかし、女達は退かない。二人は再び詩子のいる部屋へと押し込められる。そして、背後には妖艶な笑みを浮かべる詩子が待っていた。
「これならあいつらに捕まっていた方がましだったわね・・・」
「そんなのだめだよ、わたしと遊んだ方が絶対気持ちよくなれるよ」
「わたしはノーマルなのっ!」
近づく詩子に向けて鋭い視線は外さないが、どんどん壁の方に追いやられていく。そして、ついに二人の背中は壁へとついた。
「お姉さん・・・、僕がおとりになるからお姉さんだけでも逃げて・・・・!」
小声で浩平が七瀬に耳打ちをした。
「何言ってるのよ・・・・!」
「お姉さんには、色々迷惑かけちゃったから・・・、それに僕は男の子だからっ!」
「待ちなさい、折原っ!」
七瀬が止めるのも聞かず、浩平は両腕を振り回しながら床を蹴った。雄たけびを上げつつ、浩平は詩子へと打ち掛かる。詩子は浩平が飛び込んで来るのに、迷いの表情を見せていた。
「お・・・りはら・・・・・?」
「うわあああーーーっ!」
そこに浩平が殴り掛かる。だが、詩子は咄嗟に身を翻すと、浩平の体は空を仰いだ。体勢を崩した浩平は女達の懐に飛び込み、たちまち囚われの身となってしまった。
「折原っ!」
「待ちなさいっ!」
浩平を助け出そうと飛び出した七瀬だが、それは詩子の強い言葉に足を止めてしまった。それだけでなく、浩平を押え込んでいた女達も戸惑ったように詩子を見上げている。詩子は今までとは違う真剣な眼差しで浩平を見た。
「あなたの名前は?」
「・・・・・折原浩平」
感情のない声に浩平は低い声で呟くように答えた。
「そう・・・そうなの・・・・・・」
詩子は一人何かを考えるように呟いている。周りの者は皆、詩子の様子に戸惑いを覚えた。
「この人達を解放してあげなさい」
「え?でも、お姉様・・・」
「これは命令よ。それにこの部屋から出て行きなさい」
女達は詩子の真意を掴めないでいたが、うなずいてそれに従った。
ほどなくして部屋には浩平と七瀬、詩子の3人が残った。
「ごめんなさい、こんなことをしてしまって。かわいい女の子を見ると、つい、ね」
「え?あ、いえ、別に気にしてませんから」
突然、態度の変わった詩子に七瀬は慌ててそう答えるしかなかった。
「すぐに帰りの車を用意します。あの男達に見つかっては大変だから・・・」
「そこまでしていただかなくても・・・・・」
しかし、詩子は七瀬の言葉を聞かずベッドの横にあった呼び鈴を鳴らした。すぐに扉をから控えの女が顔を覗かす。
「この二人を家まで送ってあげて」
「はい」
詩子の突然の変化が浩平にあるのだと気づき、七瀬はそのことを聞いてみようと思い立った。
「あの・・・・こいつ、折原のこと知ってるんですか?こいつ今、ちょっと・・・何ていうか記憶を無くしているというか、自分を忘れてて・・・・・」
「・・・・・・・」
詩子は答えない。沈黙が室内を支配していた時、再び扉が開いて女が顔を覗かせた。
「お車の用意が出来ました」
「そう、それじゃあお願いするね」
「あ・・・折原のこと・・・!」
「こちらです」
しかし、女が強く七瀬の腕を引くので質問を続けることはできなかった。
「折原君」
「え?」
七瀬の後に続いて、浩平も部屋を出ようとした時、詩子が呼び止めた。
「また会おうね」
「え、あ、うん」
今までとは違った少女らしい詩子の笑みに、誘われるかのように浩平はうなずいていた。


詩子が用意したのは高級外車だった。それを詩子付きの運転手の女が運転する。次はないかもしれないこの乗り心地を堪能しつつ、七瀬は色々なことを考えていた。
(スーツの男達・・・、詩子という女・・・、みんな折原のことを何か知っているのね)
隣の浩平に目をやると、彼はふかふかのシーツにはしゃいでいる。相変わらず緊張感のないその様子に溜め息をつきつつも、七瀬はどこか安らぐ思いがした。
(でも、2度とあの店には行きたくない・・・・・・)


CーLAND、照明の消したVIPルーム。詩子はベッドに仰向けになりながら、天井に広がるプラネタリウムを見つめていた。2体のF・Bはぷかぷかと星の合間を漂っている。
物思いにふけるその表情は、少女とは思えない大人びたものがある。もしかしたら、それが詩子の本当の顔なのかもしれない。
「ふふ・・・長い間待っていたわ。”彼”が動くのを」
詩子はその唇を三日月のように歪めて、微笑んだ。






====================================
J・Kの部屋
今日はブーツが渋く決まっている5回目の投稿の、ゾロGL91です。そして、アシスタントの覆面の幼子・・・じゃないっ!?
ライダー永遠少年「おっす、レイバンが美しく決まった永遠少年、キラーOとでも呼んでくれ」
いつもの幼子はどうしたんだ!?
ライダー永遠少年「あまりに出番がないから、いじけて出てこないんだ」
くそ・・・どうしてこんなことに・・・・
ライダー永遠少年「まあ、お前がこんなつまらん作品を書くのが悪いんだ」
う・・・所詮は素人さ・・・・
ライダー永遠少年「確かにお前は”素人”だけれだれども、並みの素人に比べたら大したことない。何せ”ド素人”だからな、お前は。なあ”ド素人”!」
ムカッ(ーー#)
SE(ビシッ!)
ライダー永遠少年「何だぁ?やる気かぁ!?」
うるさい!長々と後記するのも面倒だから、今日ははこれで勘弁してやろうじゃないか!
ライダー永遠少年「あっ!逃げる気か!?」
ではではーっ!
ライダー永遠少年「結局何がしたかったんだーっ!?」


お断り:本編中の詩子はトレカの設定により”身長152cm/B77”で通させてもらいます(笑)

おまけ:後記ネタがわかった人、ご一報を(^^)

感想というか何というか(汗)
GOMIMUSIさん:D・S
最初に言っておきますね(汗)GOMIMUSIさんの作品は読んでます。名作です、間違いなく。ですが!感想はメールで送ります(汗汗)メールの方が書きやすいんですよ(汗汗汗)しかも、連載終了を待つ気です(笑)
そんなわけでがんばってください。応援してます。