「よし澪、日本の歴代総理大臣を言ってみろ」
パクパクパク
口は動いているが、声が出ることはない。
今、浩平と澪は何をやっているのかというと、<発声練習>をしているのだ。浩平ではなく、澪が。
なぜ澪がそんな事をしているのかというと、突然今日、
『しゃべるための練習に付き合ってほしいの』
と、浩平に頼んできたのだ。いくら理由を聞いても答えてくれないし、澪が一生懸命に頼んでくるので断れなかった。
そして、その練習の真っ最中なのだ。
「う〜ん、やはり無理か。まぁ、こんな事で声が出たら苦労しないけどな」
パクパクパク・・・・・・
澪はまだやっていた。
「いつまでやってぬんだ?もう終わっていいんだぞ」
はぅ〜〜〜
疲れたようだった。
「しょうがない、この『禁じ手』は使いたくなかったが澪のためだ」
?????
「俺のこの手が光って唸るー!澪をしゃべらせろと輝き叫ぶー!砕けッ!!必殺!!浩平フィンガーッ!!!」
説明しよう。『浩平フィンガー』とは、ただ浩平がこしょばすだけである。
コチョコチョコチョ・・・
〜〜〜〜〜
澪は笑っている。・・・・声を出さずに。
しかし、さすが演劇部とゆう所か、体全体で表現している。
第三者から見ると踊っているようにしか見えないが・・・・・
コチョコチョコチョコチョコチョ・・・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
澪がとても苦しそうなので、浩平は『指』を止めた。
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、
肩で息をしているが、息使いが聞こえない。
『いきなりなんなの』
「いやぁ〜、笑う時に声が出るかなぁ〜と思って」
『死ぬかと思ったの』
「すまん、すまん。それよりまだやるのか?」
『もちろんなの』
その後、<発声練習>は一週間続いた。
しかし、澪の声が出ることはなかった。当たり前だけど。
「やっぱりでないな、声」
『一週間もありがとうなの』
『でも、もういいの』
「そうか・・・・・、澪、いきなり発声練習をし始めた理由を聞いても言いか?」
・・・・・・・・
「言いたくないなら別にいいけど」
『迷惑かけたくなかったの』
「・・・・・俺にか?」
こくこく
「・・・・バカ、誰が迷惑なんて言った。しゃべれなくても、世界中で一番お前を愛しているぞ」
ぽろぽろ・・・・・
澪は涙を見せた。
「ありがとう」
浩平には、はっきりと澪の声が聞こえた。
___________________________
どうも、二回目の投稿です。
結局、澪はしゃべったのか、浩平の心の耳で聞いたのか分かりませんね〜。まぁ、皆さんの想像にお任せします。
今日は澪の誕生日。と言う事で、
澪ちゃんお誕生日おめでとう。
そして、こんなSSを読んでくれた皆さん、どうもありがとうございます。