スケッチブック 投稿者: シン
「でもさあ、スケッチブックなんて、どれもおんなじだよ」
「そうね、だったら浩平が使いやすいと思うものを選べばいいわ」
「うんっ」
…まあ、確かに一緒だけどね
「じゃあ、これにするよ」
へえ、僕を選ぶとは、まだちびのくせに見る目があるなぁ
「あら、緑色ね、じゃあ、大事に使うのよ」
「うん、わかった、約束するよ」
そうそう、大事につかえよ


キィーーーーーー
ん!この音は、ブランコか?
キィーーーーーー

「よっ、お前なにやってるんだ?」
ふーん、こいつ、優しいんだ
「これ、お前に貸してやる」
ちょっとちょっと、大事にするんじゃなかったの
「…あ、そうだ」
なに?、まだなにかあるの
「いいかっ、そのスケッチブックは貸すだけだからなっ」
要するにちゃんと返せってことだね
『一週間』
一週間か、それまで、何を書いてくれるんだろ?このお嬢ちゃんは
もっとも、世界中で誰よりも有意義に使ってくれそうだけどね

…遅いな、って〜か、もう来ないんじゃないの
…………
聞いてる?お嬢ちゃん、
このまま待ってても風邪引くだけだよ、見なよ、雨まで降ってきちゃった
……………
あ〜もう、浩平の奴はなにしてやがんだぁ
『ちょっと静かにしてて』
へ?僕に言ったの?…仕方ないなぁ、じゃあ黙ってるよ、でも、僕の声が聞こえるなんて
不思議な子だね、君
…………

来ないね
うん
……
帰らない?
うん
……
でも、寒いでしょ?
うん
……
「澪っ、なんでいつまでもこんな所にいるのっ」
びくっ
お母さん来ちゃったよ、もう帰ろうよ、浩平今日は来ないよ
……
「さあ、帰るわよ」
はぁ
今日は、もう来ないよ、だから帰ろう
「さあ、澪」
…うん


キィーーーーーー
……
泣いてるの?
……
きっとまた会えるよ
……
だから元気を出そうよ
……
(しかたないなぁ、奥の手使うか)
お前、なにやってるんだ?
びくっ…きょろきょろ
はぁ、重症だね
『今度やったら本気で怒るの』
ごめんよ、でも元気くらいは出しなよ。じゃないとあの馬鹿も謝りにくいと思うよ
今、見てるかもしれないんだし、な
……うん


………

あれから何年経ったか、僕の声はもう彼女には届かなくなり、
目の前に浩平の馬鹿が来ても、伝えられなくなった、
だけど、あいつは変になった。人の目はごまかせても、僕の目はごまかせない
なにかが、

「これで、あいつへの足かせも解けるな。」
ほんとに足かせだったぞ
「約束守れなくてごめんなっと、これでいい」
…あきれた、それでほんとに足かせが外れたと思ってんのか?
「さて、見つかる前に逃げるかな」
おい、浩平、澪がお前をどんな想いで…

……

やっぱり、消えたか。
あの馬鹿、戻ってくんのか?
まあ、来なかったら俺が連れ戻してやるけどな

……

遅いな、もう1年にもなるぞ、
そろそろ連れ戻しに行くか?

「ただいま〜」
…来た!…澪は?
『おじゃましますなの』
…いるようだな、ようやく願いがかなったわけだ、
鈍感な王子様だったけど、お幸せにな。
うんっ
「どうした?急にうなずいて」
『お幸せにって言ってくれたの』
「誰が?」
『わからないの、でも、ずっとそばにいた気がするの』
「そうか、あんがい、そこのスケッチブックだったりしてな…
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うっわ〜、(ちょっと私物化)いぢゅさんごめんよ〜前の消えちゃってるし〜

さてっと、後書きです。
「いきなり友人だますような真似だね」
ぐはぁ、(精神的ダメージ大=瀕死)
『先輩、それより』
「うん、説明だね。これは見ての通り澪ちゃんのスケッチブックが
 意思を持っていたという設定だよ」
『ちょっと今までのより異質なの』
「なかだるみになってて気に食わないんだよ」
『空白の数年のところなの、最悪なの』
う、打ち切りっ