sense of touch  投稿者:雀バル雀


心地よい。

発達のよい胸――その頂を人差し指で撫で続ける。
じんじんと脳髄に届く、痛覚にも似た快感。

「はあ…」

ため息にも似た声が、濡れた唇から漏れる…

「ん…」

目を閉じて
意識を束ねて、夢中で快楽をむさぼる。

頭の中が白く、意識は空白。
体全体が浮くような、無上の感覚。

左手の指は、下半身をなぞる。
いや、“触れる”というべきだろう。

ゆっくりと…指の腹で
腹を、脇を、太ももを
自分の指でありながら、それを意識しない程度の接触。
くすぐったさを越えて、快感へと登ってゆく。

「ん…」

どれくらい時間こうしているのだろう…みさきには分らない。
延々と、この刹那的な快楽に浸っていられたら、どんなに幸せなのだろう。

乳首を弄るのを止め、その指を口元へ――
そして、唾液をすくうと、その指を再び戻す。
今度は反対の指を…
首筋に唾液を塗り、その感触を味わう。
まるで、指で体を味わうかのごとく
あるいは、誰かに舌で愛撫されるような…。


「………」


瞬間、意識が戻る。
ぼんやりと、考える。
手の動きは止まないが。


「………」


自分の指…だ。
そう、どうやってもこれは自分の指。
だから安心して、浸れる。


ゆっくりと目を開く。みさきの世界は変わらない。
暗闇
変わらぬ…闇。


指が止まる。
快感の波が引き…理性が汐のように戻ってくる。


「………」


快感の名残火が…いまさらながら火照りをもたらす。
右の指を、頬に当てる。
指と、頬に同時に感じられる触覚。
冷たさと、温もり。
間違いない、自分の指。


「………」


なのに、求めたのは違う触覚。

“誰かに触れられる”
それに似た感覚を欲する。

だが、どうだろう…
実際に誰かに触られたら…

身震いする。
『恐い』それが本心。

自分の指…だから委ねられる。
その事実が、悲しい。

「………」

ふと、考えが浮かぶ。

『みさき先輩』

少し低めの声。
はっきりと聞こえる。

「………」

1つ年下の少年。
顔は知らない。
ただ、その暖かさだけは、確かだ。

「…こうへい…くん…」

汗の混じった男の芳香。
熱い体温。
逞しい抱擁。

すべて、覚えている。
いまも、この胸に…

「………」

あの時――
屋上で、不意に抱きつかれた時――
不快ではなかった。

同性に触れられることさえ厭う自分が
「心地よい」と感じられた。


すぅ

大きく息を吸う。
冷めた空気が、肺に満ちて行く感覚。


「………」

罪悪感
背徳感
欲情
理性

せめぎあう。

そして…


「………」


そろ
恐る恐る、桜色の頂へと、指を這わせて行く。


「………」


興奮
期待
不安
嫌悪感

すべてを凌駕する
恐怖――。


「ん…」

劣情を満たすために
利用しているといえば、そうかもしれない。


「………」

はあ はあ

吐息が漏れ
息は乱れ
鼓動がうねり
意識が飛ぶ

「ん…」

それでも、知りたかった。
確かめたかった。

この肉体が、まだ人を愛せるという希望を求めて…
身を委ねる喜びを、感じ得る器であることを信じて…

「んん……」

最後の堰
それは自制という名の弱さ。
妥協という名の壁。


その先は
未知の世界。



越える

勇気を振り絞るため…



「こうへい…浩平くんっ」


名を呼ぶ。
強く。
思いを乗せて
弾けるように…




そろ
指が、踊る





「!」




思考が、消える。

それは痛覚より鋭く――
溶けるように甘く――
身を切るほど、切ない――


「あぁ…」


堪え切れず
夢中で探り
枕を掴むと、強く、強く、必死に抱いた。


「はぁ…」


張り裂けそうなほど
熱い、想い。

打ち消したくて

失わないよう

声を殺して

夢中で、腕に力をこめる。



「ん…」


嬉しくて

哀しくて

気がつくと、みさきは泣いていた。


「こうへい…くん」


1度、呼ぶ。


愛する喜び。
得られぬ悲しみ。


温もりを失わないよう
シーツを被る。
その冷たさが、素肌に痛い。


構わない。


このまま
眠れそうだった。


「………」


心の空白を埋めるように
叶わぬ想いを抱きしめて。



せめて、夢の中だけは
許されるはずだから…




ぎゅ

祈りを込めて
握った。



  <了>
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「こんばんは〜。またまた登場の雀バル雀です」
「アシスタントの『長森EDで窓から外を眺めている青髪のポニーテール少女』でーす☆はぁ…」
「はいはい、自慰SSです。ごめんなさい」
「………」
「いや、でもさぁ。書きたかったんだよ。うんうん」
「………」
「次回は茜ー!(嘘です)」
「………」
「うう、そんなに無視しないでもいいじゃん」
「別にHうんぬんより、あたしは「つまんねー」ということのほうが問題なんだけど」
「だって…。女の子のひとりHなんて見たことないもん(笑)そうだ、取材させてー!」
「きゃー!な、なにすんの〜」
「ええやろ?ええやろ?減るもんやないし、な?ポニ子ちゃん」
「ポニ子じゃないもん!このセクハラSS作家が。とぉ!」

ばきぃ

「ひぎゃああああああああああああああああ!」

   (これ以降の描写は残酷につき、カットします。ご了承ください)

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8321/