『罰』 投稿者: 雀バル雀
 
誰もいない




いまは…それだけが救いだった





今日はなにかあったのだろうか?





おかあさん?





おとうさん?





…………





頭が…


何も考えたくない






ただ…




この体を洗い流したいだけ





服を脱ぐ





全部脱ぐ






体は見たくない




わたしを見たくない





…………




どうして…




こんなところに鏡がついてるんだろ?





見たくないのに





わたしがいる




綺麗な体








汚れた体







蛇口を捻る







わたしも蛇口を捻る







髪をすくう








わたしも髪をすくう







ねぇ


あなたも傷ついたの?






わたしはね




(わたしはね)






傷ついたんだよ








(傷ついたんだよ)










お湯はいや







(どうして?)







暖かいのは耐えられない







(冷たくないの?)






冷たい…




でも気持ちいいよ




ホントだよ





痛いほど…冷たくて




(痛かったの?)





痛かったよ






(痛いの?)







痛いよ




…胸が…痛いよ





(どうして?)





傷付けられたから


体を…心を傷つけられたから




裏切られたんだよ…わたし





(だれに?)




信じてた人に、裏切られたんだよ

信じてたんだよ





ホントに…信じてたんだよ



今でも信じてるんだよ




(嘘つき)



信じてるんだよ



(うそつき)



信じてるんだよ



(うそつき)



信じてるんだよ



(うそつき)



信じてるんだよ



(うそつき)



信じてるんだよ




あれは…あれはきっと…

きっと…浩平は悪くないよ




なにかあったんだよ



脅されたとか




だって…あのときの浩平




わたしの知ってる浩平じゃなかったような気がするもん




なにかあったんだよ




(うそつき)



嘘じゃないよ…



(うそつき)



嘘じゃないよ…



(うそつき)



嘘じゃないよ



(うそつき)



嘘じゃないよ



(うそつき)



嘘じゃないよぉ!
嘘じゃない!嘘じゃない!嘘じゃない!嘘じゃない!嘘じゃない!嘘じゃない!




嘘なんかじゃない!



(クスクス…うそつき)



嘘じゃないよ!

だって!…だって浩平がそんなこと!…こうへいが…



(知ってたくせに)



え?



(知ってたくせに)



なにを…



(知ってたくせに)



なにをよぉ…なにを



(知ってたんでしょ?オカシイと思ってたんだよね?…浩平がわたしにした仕打ち…あの日から…わたしの知ってる浩平じゃなかったでしょ?)



違う…あれは…



(知ってたくせに)



違う…違うよ



(ヘンだと思ってたんでしょ?…普通分かるじゃない。浩平だって男の子なんだよ)



違う…

浩平は違うよ



(知ってたんでしょ?…男と女が夜に教室でパーティ?どうなるか分かってたんでしょ?だってわたしは…)



知らない!

知らないよぉ!



(もう…子供じゃないんだから)



やめて!



(…夢だったじゃない)



違う



(夢見てたじゃない)



違う

ちがう…ちがう



(何時だった?ねぇ)



知らない!

やめて



(そうそう…たしかあなたの好きだったドラマの…すごかったもんね)



違う…

もうやめて



(わたしは、あのドラマの主人公に自分を置き換えて…相手の彼が浩平で)



違う

違う違う違う違う違う違う違う違う



(気持ち良かったよね…あんな気持ち良いことがあるなんて知らなかったもん)



違う!



(でもそのあと凄く後悔して…そりゃそうだよ、幼なじみを自分の欲望の捌け口にして)



違う!そんなんじゃない!そんなんじゃないよ!

欲望の捌け口なんかじゃない!





あれは…ホントに好きだったから




(…ホラ、認めた)




…………




(ホントに後悔してたの?)



…………



(…そうじゃないよね。後悔してたつもりになって自分をごまかしていたのかな?)



違う



(うそつき)



嘘じゃない!



(じゃあ何で一回で止めなかったの?後悔してたんでしょ)



違う



(なにが違うの?)



違う



(なにも違わないよ。…いいじゃない、みんなしてる事だよ)



違う



(あんなに気持ち良いんだから。…みんなやってるんだよ、佐織も七瀬さんも住井君も…クラスのみんながやってることだよ)



違う



(何が違うの?…みんな誰かを欲望の捌け口にしてるんだから。…もちろん)



違う



(浩平だって)



違う!



(違わないよ…だってわたしは知ってたんだから)



違う!




(あの教室で…わたしが夢見てたように…浩平に抱かれるんだって)



違う!



(どんなに気持ちいいだろう?ってドキドキしてた)



違う!



(夢想したようなふしだらなことを、浩平とするんだって…興奮もするよ、だって幼なじみが相手なんだから)



違う!



(いいじゃない…浩平だってわたしを欲情の捌け口にしてたはずだよ)



違う!



(わたしを空想で何度も犯してたはずだよ)



違う!



(わたしはそれを知ってた…それでより興奮して)



違う!



(でも…わたしと浩平は違う…だって浩平は…)



違う!

違う!違う!違う!違う!違う!



(わたしのこと…好きじゃなかったんだから)



違う!

絶対に違う!



(知ってたんでしょ…いいじゃないの、だって…)



やめて

もうやめて



(わたしも…別に浩平じゃなくてもよかったんだから)



違う!



違う!



違う!



違う!




(うそつき)




嘘じゃない!




(うそつき)




嘘じゃないよぉ!




(…じゃあ、どうしてわたしは感じたの?)




…………




違う





(浩平じゃなかったのに…)




違う




(痛かったよね)




うん



とても痛かった




(けど気持ちよかったんだよね)




違う




(初めてであんなに感じたんだよね)




違う




(自分から動いてたじゃない?)





違う




(あの時…なんて言ったか覚えてる)




知らない




(知ってるの。ただ…思い出したくないだけ)




違う




(あの時ね…こう言ったんだ)




やめて




(「中で出してもいいよ」って…どこで憶えたの、そんなセリフ)




違う!




(知ってたんでしょ…相手が浩平じゃないって)




…知らなかった



(喘ぎ声とかで気が付かなかったの?)



…気付かなかった



(幼なじみよ?…それとも夢想していたのと一緒だったから?)



違う



(わたしは知ってたんだよ)



違う



(知ってたんだよ)



違う



(知ってたんだよ…でも気持ち良かったから…だから気が付かない振りをしてたんだよ)



ちがう



(罰なんだよ)



ちがう…



(卑しいわたしには相応しい罰なんだよ)



ちがう…




(見てごらん…相手に注ぎこまれた精液が零れてる)








だって



さっき全部洗い流したのに…



…………



…………




(消えないよ…そう簡単には洗い落とせないんだよ)



…………



…………




(わたしは汚れてるんだから)



…………



…………



…違う




(わたしが悪いんだ)



違う




(罰なんだよ)




違う




(…………)




違う





(…ねぇ、まだ自分が被害者とか思ってるの?)




…………




わたしは





痛いよ





(うそつき)





痛いよ





(うそつき)






痛いよ








(うそつき)










痛いよ










(うそつき)












痛いよ



嘘じゃない






(クスクス…)







嘘じゃない






(うそだよ。…ホントはそれを掬って匂いを嗅いでみたくて堪らないクセに)




違う





(ホントはそれを全身に塗り捲りたいくせに)





違う






(ホントはそれを舐めてみたいくせに)





ちがう





(違わない)





ちがう





(違わない)





ちがう






(違わない)










ちがう!








(…違わないよ…だってわたしは…)





パリン!






はあ はあ はあ はあ はあ……



…………



…………



違う



違う



違うよ



…………



罰なの?





これは…罰なの?







わたしが悪いの?







ねぇ





冷たいよ







ねぇ


だけど






気持ちいいよ







痛いほど…




 了.

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あははは…(汗)こんにちは、『長森EDで窓から外を眺めている青髪のポニーテール少女』です。
雀バルのバカは苺しぇぃく!も書かずにこんなSSを書いてました。
ヤツのコメントです。

「某作家さんが大丈夫と言うので投稿してみます。じゃね(^^;」

…だそうです。
では、次回「うらごろしスペシャル完結篇」でお会いしましょうね。
さ、さよなら〜!

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8321