翔べ!必殺うらごろし? 夏の2時間スペシャル 投稿者: 雀バル雀
二つの眼を閉じてはならぬ。
この世のものとは思われぬ、
この世の出来事みるがいい。
神の怒りか仏の慈悲か、
怨みが呼んだか摩訶不思議。
泣き声見捨てておかりょうか。
一太刀浴びせて一供養 二太刀浴びせて二供養
合点承知の必殺供養。   <ナレーション  藤田まこと>

*登場人物

先生(鹿沼葉子)・・・月を信仰する風阿児教の旅の行者。超能力の持ち主で殺しの前には月光のエネルギーを吸収し、超人的なパワーを得る。(笑)修行にあけくれていたせいで、全く世俗ずれしていない。早い話、常識のない変人。…人を救う為、そして修行の途中で失ってしまった人間性を取り戻すために旅を続ける。

おばさん(椎名華穂)・・・一見、木綿針の行商人だが、記憶を失っている。先生と出会い、その霊視(笑)によって子供を捜していることと、元殺し屋だった事が判明。記憶を取り戻すため先生と旅をともにする。かなりの偽善者。武器は出刃包丁で不意打ち(笑)

乙女(七瀬留美)・・・女流れ者。怪力のため男達から馬鹿にされ、世をすねて旅に出た。自分を一目見て女と認識した(笑)先生に好意を持ち旅をともにする。怪力で相手を撲殺する荒業を使う。


住井(住井護)・・・香具師でグループの押しかけマネージャー、ようするにパシリ。メンバー唯一の常識人。

おみさ(川名みさき)・・・盲目の流れ巫女。熊野権現のお札を売る傍ら、生活のために体を鬻いでいるが頭が弱い為良く分かっていない。寝る事と食べる事以外趣味のない自由人。

 第136話  『手の甲の文字は生まれた時からあった!』

<関所にて…>

「旅の一行…見るからに怪しい風体じゃな。右から順に素性を申してみよ」

「えっと、俺は住井っていいます。チンケなゴロツキです」
「私の名前はおみさっていうんだ。よろしくね」
「ほほほ…華穂と申します。木綿針の行商を営んでおります」
「あたしは乙女よ」

「ほほう…男のくせに乙女とは奇怪な」

「あ、あたしの何処が男じゃああ!!!」

ばっ

「乙女さん落ちついて!」
「暴れちゃダメだよ〜」
「落ちつけ乙女!ここで問題起こしたら牢に入れられちまうぞ」
「は、離しなさいあんたたち〜!あの役人一発殴ってやる〜」
「…修行が足りません…」

「次!…おいそこの行者、お前だ」
「はい?」
「名を名乗れと言っておるんだ」
「……名前……ですか…」

(「そういや先生って何て名前なんだ?」)
(「さあ?出会った時から先生って呼んでましたし…」)
(「あたしも実は知らないのよ」)
(「正体不明だよ〜」)

「…………」
「どうした?…早く答えぬか!」
「…………」

(「だいたい先生って何者なんだ?風阿児の行者という以外全然謎だらけじゃないか」)
(「生態に疑問が多いわよね。酒はおろか薬草以外は食べられない体質といい、『不可視の力』といい…。だいたい風阿児なんて宗教自体、先生に会うまで聞いたこともなかったわよ」)
(「歳は22歳って聞きましたけど…」)

「どうした?口が利けぬわけでもあるまい。…答えぬのなら牢に叩きこむぞ!」
「……名は……捨てました…教義故に……」

「え?」
「捨てた?」

「『教義』だと…そのほうの宗派を申してみよ」
「…風阿児…」
「…な、なんじゃと!風阿児といえばご禁制の宗門!……皆のもの、こいつ等を捕らえよ!」

ざわざわざわざわ

「わ、わ、役人さんが〜」
「ふ、風阿児ってそんな危ない宗教だったんですか!?…きゃあ!」
「ち、ちょっと離しなさいよ〜」
「乙女よせ!いくらお前の怪力でもこの数じゃあ」

「地下牢へ全員放りこんでおけ!沙汰は城に報告した後だ」

        *

<地下牢…>

「う〜おなか空いたよ〜」
「おみさ、あんたはこの状況でもそれしか言えないの!?」
「…修行が足りません」
「元はと言えば全部先生の責任じゃない!…風阿児が禁制だって知ってるんなら伏せておけばよかったじゃないの!」
「…………」
「しかし…これから俺達どうなっちまうんだろ?」
「死刑になるのかな?」
「ひいい!おみさ、恐ろしいこと言わないでよ!」
「…………」

ぎいいいいい!

「あんた達が風阿児の行者ね?」

「え?」
「どなたですか?」
「私はちがうよ〜」
「…これは随分と別嬪さんだなぁ」
「…………」

「ここから出してあげるわ。…ただし!あたしに協力して欲しい」

「協力ですか?」
「お、お姉さんの頼みなら喜んで!!」
「住井…もう〜美人を見るとすぐこれなんだから…」
「わ〜い、ここから出られるんだね。ありがとう」
「…………」

「あたしの名は晴香。この尾根藩を救うために力を貸して欲しいの」

「はいはい、何なりと。あなたの住井護がきっと力に」
「あんたに何が出来るのよ……で、あたし達に何をしろと?」

「…風阿児の魔の手からこの尾根藩を救いたい。…そのためには協力者が必要なの!風阿児の内情を知る者の協力が、ね」

「風阿児の魔の手?…そういや御禁制の宗教って言ってたけど、そんなにヤバイの?」
「そんなに著名な教団でもありませんし…この太平の世にそのような…」
「…………」

「人の世である以上、禍の種が尽きる事なんて無いわよ。むしろ癌のように深く静かに広がって…気が付いたら手遅れね。風阿児に一度でも籍を置いた事のある人間なら連中が如何に危険な存在か知ってるはず…」

「……先生…そうなの?」
「…………」

「いつの頃かははっきりしない。…やつらは貧民層を中心にその勢力を伸ばしていった。そして今ではその勢力はヘタな寺院を上回っているそうよ…」

「…風阿児は昔は密教の流れを汲む小さな宗派でした。自然回帰を標榜とする…多少の荒行はありましたが…」
「せ、先生…」

「昔は、ね。…それが今や『不可視の力』と評した怪しげな術を使って貧民たちをかどわかしているのだから。…貧しさで現世に希望を見出せない彼らにとってはさぞ魅力的に映るのでしょうね。」

「でも、それは彼らをそんな苦境にまで追い込んだ藩にも責任があるんじゃないですの?姫さま」
「え?」
「お、おばさん!…姫って?」

「…どうして分かったのよ」

「私は木綿針を商っておりますから着物にすぐ目がいってしまいますの。…地味な柄ですがそのお召し物はよほどの代物ですわね。それにその立居振舞い…街娘には見えません。私達を牢から出すことが出来るほどの力はあるが、特に後ろ盾があるわけでもない…答えは1つですよ」
「じゃあ、こ、このお姉さん尾根藩のお姫様!?」
「へえ〜私お姫様って初めて見たよ〜…いいなぁ」
「…………」

「…まあ、いずれ正体を明かすつもりだったからいいか。あたしは尾根藩主、巳間良祐が妹晴香よ。…確かにこれは我藩の失政によるものかもしれない。けど、たいして産業も無く土地も痩せたこの山がちの小藩ではどうしようもないことなの。…このまま彼らが暴徒と化せばどうなると思う?島原以来の大一揆よ。かつての一向宗のように国を奪われるか…鎮圧しても御取り潰しは免れないでしょうね」

「でも…そんな大変な事態をなんで姫様自らあたし達なんかに?」

「城の者は信用がおけない。誰が風阿児の信者か知れたものじゃないもの…実際藩の重役がヤツラに毒殺された例もあるからね。怖がってだれも手が下せないのよ。…それに今の藩政は城代に実権を握られていて皆あの男の言いなり…肝心の兄良祐は病気がちの上に城代を信頼しきっている…あたしがこうやって動くしかないのよ」

「それであたし達に何をしろと言うの?…見てのとおりあたしは女ですから荒事は…」
「乙女一人で100人は倒せると思うぜ」
「住井…死にたいの?」
「わ、わ、冗談です!」

「別に戦って欲しいワケじゃあない。…風阿児の実情をあたしに詳しく教えて欲しいの。やつらの規模、教義、修行の実態、教祖や幹部の素性などをね…。そして兄の前で証言して欲しいのよ、『風阿児がいかに危険な連中であるのか』という事をね」

「…………」

「もちろん風阿児の行者であるあなたには嫌な申し出なのかもしれない。…脅迫なんて趣味じゃないけど選択の余地は無いの。このまま一生ここで過ごしたくは無いでしょ?」

「そ、そんな!!」
「ひどいよ〜」
「先生…ここは要求を受け入れるしか…」
「…………」

「承諾してくれたらすぐこの牢から出してあげる。…お願い、藩の命運が懸かってるのよ」

「…お断りします…」
「先生!」
「どうしてよ?先生がこの申し出を受ければ晴香さんも尾根藩も救われるのよ!…人助けはあたし達の使命じゃない」
「…………」

「命よりも信仰を選ぶワケね。…分かった。勝手に殉教なさい!」

すたすたすた…

「怒って行っちゃったよ〜」
「は、晴香さ〜ん!待ってくれ〜!俺は無関係なんだよ〜」
「どーすんのよ!それじゃあ、あたし達ここで野垂れ死になの!?嫌よ、そんなの」
「乙女さん…」
「おばさんも何か言ってやってよ…このままじゃあ……。そんなに風阿児の教義が大切なワケ?みんなの命を犠牲にしてまで守らなければいけないものなの?」
「…………」
「『人を救う為』の行なんでしょ?仲間を犠牲にして何が人助けよ!?」
「…乙女…あなたは彼女の目を見なかったのですか?」
「目?…目がどうしたのよ?」
「……なんでもありません…」

<尾根藩…中崎城>

「おや?…ようやくご帰還ですかな、晴香姫」
「城代…あんたまた良祐にヘンな事吹き込んでたんじゃないでしょうね?今度ヘンな事したらただじゃ済まさないからね!」
「姫君ともあろうお方がはしたないお言葉で…殿も心配しておられましたぞ。『あのようなじゃじゃ馬では嫁の貰い手が無い』とね」
「冗談!あんたみたいな毒蛇がこの城を我が物顔で歩き周ってる以上、良祐を放って嫁げるわけないでしょ。…何を企んでいるのかは知らないけど、このあたしが居る限りは上手くいくとは思わないことね」

すたすたすた…

「………くッ…くくくっ…ホント気の強いお姫様だよ…最高だな…ふははははははは!!」

     *

「良祐…どう?体の具合」
「晴香か…」
「…また城代が来てたでしょ。今度は何を言ってきたの?」
「…………」
「ねぇ?なんであんなやつに藩政を委ねたりしたのよ?どこの馬の骨とも知らないあの男を!…そりゃあ有能だし財政を建て直した功績は認めるけど…あれだってどこから資金を得たのかまるで分かってないじゃない」
「…………」
「もしかして…まだあの考えを捨てきれないの?」
「…晴香…我が巳間家は神君家康公の覚えめでたき由緒ある家柄だ。それがこのような小藩でこのまま燻っているようでは先祖に申し訳がたたない。国替えさえ成功すれば幕府の重鎮への道が開けるかもしれないんだ」
「だからって…そのために幾ら注ぎ込んだと思ってるの!この小藩の財力がいかほどのものか知らないわけじゃあないでしょ?」
「…………」
「良祐の野望の犠牲になるのは領民なのよ!…彼らは風阿児なんてものに救いを求めねばならないほど困窮してるのに…」
「風阿児か…噂は聞いている。しかし…」
「領民たちの間に不穏な空気が高まっているわ。…あいつら藩への不満を吸い上げてどんどん勢力を拡大してるのよ。このままじゃあ…」
「…………」
「城代と風阿児の関係も不審よ。…あいつが風阿児の連中と密会してるのを見たという人間も大勢いるし…」
「…………」
「お願い良祐!目を覚まして」
「……女は…」
「…え?」
「…女は政に口を挟むな」
「りょ…良祐…」
「嫁ぐ身であるお前には藩政などどうでもよい事。童の遊びはもう終いだ…晴香。譜代の奥になる者が下賎の真似事などすれば風聞に傷がつくであろう?」
「…待ってよ!!……お、奥ってどういう…まさか?」
「…伊豆守様の嫡男、直正様との婚礼の約が決まった。易で日取りを占っているがそう先の話ではあるまい」
「…あ、あたしに断りも無く…イヤよ!絶対にイヤ!」
「晴香…お前が姫として生まれついた以上、これは運命なのだ。…権勢を誇る伊豆様ならお前をきっと幸せにしてくださるだろう」
「…………」
「良い伴侶を得ることこそ女の幸せと言うもの…兄としてお前にしてやれる最高の仕事だ」
「…良祐…出世の為には妹までも利用しようというの…?」
「…………」
「そう…それが答えなんだ…。分かった、良祐の好きにすればいい…」
「…晴香…」



<その晩…晴香姫の寝所>


はあ はあ はあ はあ

「…熱い…」

(来いよ)

はあ はあ はあ はあ

「…熱いよ…体が熱いよ…どうして?…」

(来いよ…早くこっちに来いよ)

はあ はあ はああああ

「・・いや…いやあ!…熱いよぉぉぉおお!!…いやああ!!やだあああああ」

(来いよ…クク…来いよ…晴香…)

「いやあ…あああ…りょ、良祐ぇぇ!!!」


<その頃…関所の牢>

ぐ〜 すぴー

「お腹すいたよ〜…むにゃむにゃ」
「ぐー…あたしの…どこが男よ…」
「…乙女ぇ…コレ以上殴ったらぁ…う〜ん…」
「…おしおき…です…」

ふあああ〜

「う〜…眠みぃ〜…ったく、安月給でこんなこき使われるなんて割に合わねぇよ!」

「牢番さん、お勤め大変ですのね」

「ん?…なんだ、まだ起きてたのかよ?…まあこんな場所で眠れる図太い神経をしたお連れさん達のほうが変かもな」

「立ち仕事って重労働でしょう?それを一晩中なんて…頭が下がりますわ」

「しょうがねぇよ。この貧しい国じゃあ食ってけるだけでも感謝しなきゃな…でなきゃ誰がこんな仕事」

「そんなあなたに朗報ですわよ。…ここに50両あります」

「ご、50両!!!ま、マジかよ?」

「ええ。…その代わり私を牢から…」

「へへ、皆まで言うなって!…じゃあ、お仲間さんを早く起こしな」

「結構です…私一人だけなら消えてもごまかせますでしょう?」

「そういやそうだ。…へへ、おばさんも悪党だな」

ぎいいいいい<牢が開く音>

「どうもありがとうございます。これが約束の50両」

「う、うわあ!!すげぇ…一生牢番やっててもこんな大金拝めねぇよ」

「ほほほ…良かったですわねぇ」

「ああ、最高の気分だ。もう死んでもいいくらい…」

「じゃあ遠慮無く死にな!」

「へ?」

ぐさあああああああ!!

「ぎゃあああああああああ!!!」

どさ

「ほほほ…このお金は差し上げますわ。銅鋳の贋金でも三途の川くらいは渡れるでしょうし。……さて、それでは…」

「逃げましょ」
「あいかわらず外道だなぁ…おばさん」
「欲深い人間には天罰が下るものです」

「げえ!み、みなさん起きてらしたんですか?」

「なに動揺してるんですか?…まさか…」

「す、住井君…み、みなさんを見捨てて自分だけ逃げるワケ無いじゃないですか!…おほほほ」

「…だといいけどね。…ホラ、おみさ起きてよ」
「むにゃむにゃ…まだ夜中だよ〜」
「だったらずっとここで暮す?それでもいいなら寝てなさい」

がばあ!

「やだよ!ここのごはん臭いもん。量だって少ないし」
「じゃあさっさと来なさい。…先生も早く!」
「…………」
「先生!!」
「…構わず行って下さい…私は残ります」
「ちょ!…なにバカな事言ってるのよ!!…先生だけ置いて逃げられるワケないじゃないの!?」
「…………」
「何黙ってるのよ!まさか刑罰受けたいの!?」
「…私にはやり残した事があります…それが済むまでは…」

どたどたどた…

「牢から悲鳴が聞こえたぞー!」
「どうしたんだ?」

「やべぇ!気付かれたみてぇだ!…早くしねぇとマジでヤバイぞ!!」
「人がいっぱい来るみたいだよ〜」
「先生!!」

「…………」

「仕方ありません…ここはひとまず…」
「クッ!…分かった。…先生、後で必ず助けに行くから」
「乙女、おばさん、急げ!!」
「わ〜待ってよ〜〜」

どたどたどたどた…


<翌日…尾根城内>

「では、その日取りで。…準備は全て城代、お前に任そう」
「はは!…・このような大役を私めに勤めさせて頂けるとは、感謝の極みにございまする」
「うむ、頼むぞ!この婚姻さえ纏まれば我が巳間家の宿願は果たしたも同然!なんとして……うぐっ!ゴホゴホ…」
「と、殿!…医者を呼べー!!」

   ・
   ・

「…一応病状は落ちつきました。が、思ったよりも病の進行は早い。…おそらくもって半年…」
「そ、そんな!」
「姫…正直に申せば、殿は何時死んでもおかしくない状態。…ただ、気力…いや『執念』ですなぁ…それだけが辛うじて殿を支えている」
「…………」
「今の殿には休養よりも悲願に向けて働いているほうがあるいは…」
「…御典医…この事はあたし以外には口外しないよう…」
「はい…姫の申しつけとあらば…」
「お願いね」

   ・
   ・

「良祐…」

「…………」

「…ねえ…どうしてあたしは女に生まれたんだろうね?」

「…………」

「覚えてる?…子供の頃は剣術も馬術も…木登やかけっこだって、全部あたしのほうが得意だったよね?…髪が短かった頃はよく弟君なんて呼ばれてたの…覚えてる?」

「…………」

「何時からあたしは女になっちゃったんだろうね?子供の頃は一緒だったのに…どうして二人とも…」

「…………」

「あたしが男だったら良かったのかもね。…あたしが家督を継いでたら…良祐をゆっくり休ませてやれたのに…こんなバカげた野望に憑かれることもなく…心安らかに二人で過ごせたかもしれないのにね…」

「…………」

「あたしが男だったら…男だったら…こんな想いに苦しむこともなかったのかなぁ…」

「…………」

「ね?良祐…」



「…そうか…報告ごくろうだったな」
「いえいえ…ですが城代、これからいかがなさいます?…後継ぎも決めぬまま殿が召されては、この尾根藩は御取り潰しに…」
「心配するな。…何の為に苦労して江戸面に働きかけてると思う?」
「では、国替えの運動というのは……いやいや、さすがは城代」
「それにこの藩の現状を見てみろ。大御所の覚えめでたき巳間家の姫君があれではなぁ…ククク」
「確かに…名目さえ立てば猿とて藩主にもなれましょうぞ。ははは」
「わははは、言うじゃねぇか典医よぉ」
「いえいえ・…」


<関所の牢屋にて…>

コツコツコツ

「交代の時間だ」
「おう…しっかり見張れよ、今度脱獄なんかされたら減給じゃあ済まねぇからな」
「まかせとけって。なんかあったら大声で呼ぶから」
「おう!…じゃあ俺は寝るわ」

コツコツコツ…

「…………」

「起きてますか?行者さま」

「…………」

「お助けに参りました。手配は済んでおります…さあ、案内しましょう」

「…何処へ?」

「…我ら風阿児の隠れ里へ!」

   <つづく>
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苺しぇぃく! その5

(前回まで…「起こらないから奇跡って言うんですよ」(笑)…しかし奇跡は起きた。阪神優勝よりも可能性が低いと目されていた雀バルが最終選考進出。さすがは世紀末)

<ひろまる食堂…(笑・・ウチの近所の食堂、安いです)>

がらっ

「いらっしゃーい!おや?雀バルさんじゃないの。それにポニ子ちゃんまで」

「“ポニ子”じゃないもん!…おばちゃん、とんかつ定食とビールちょうだい」
「オリオンビールね」

「ポニ子ちゃんまだ高校生でしょ?それにウチはキ○ンビールしか置いてないよ」

「今日はおめでたい日なの…ね?おねがい」
「ちぇっ…なんで東京にはオリオンないんだよぉ」

「…しょうがないわねぇ…今日だけよ」

「おばちゃんありがとう♪…雀バル、今日はあたしのおごりだからね」

 ・
 ・

「うう…今まで苦労をかけたなぁ…ポニ子」
「雀バル…それは言わない約束でしょ?でも…苦節数ヶ月、あたしもようやく報われるんだからね。礼を言いたいのはこっちのほうよ」
「ポ、ポニ子〜!!」
「きゃー!抱きつかないで〜」

がらっ

「いらっしゃ〜い!」

つかつか…

「君が…雀バル雀君かい?ふ〜むう…なるほど」

「こら、おっさん!人をじろじろ見てんじゃねぇよ」
「…!?…ジ、雀バル!この人…卓手楠賞の審査委員長よ!新聞で見たことがあるもの」
「へ?まじ?」

「来たまえ、これから君を案内したいところがある」

「は、はい!喜んでお供させていただきます!…いくぞ、ポニ子」
「ちょ、ちょっと待ってて」

「ああ、その子には用はないんだ。雀バル君“だけ”ついてきたまえ」

「は、はあ…そういうことだから」
「…ええ…いってらっしゃい…」

 ・
 ・
「…………」

「…ポニ子ちゃん、雀バルさんなんかあったの?…雀バルさんとは対照的に、随分と恰幅のいい人だったけど」

「…おばちゃん…」

「…?」

「…ビール…おかわり」

<その頃…雀バルは>

「ず、ずいぶんと…た、高そうなお店ですねぇ・・あはは」
「まあ、そう緊張しないで…おい、ママ」

「はい」

「今日は貸切だ、一番高級な酒と、店の女の子全員呼んでおくれ」
「え、ええぇ!でも私はジュースを水で薄めて飲むような貧乏人でして…酒もデリカメ○ンとまるたかくらいしか…」
「ははは!若いくせに遠慮なんかするな!…卓手楠大賞の前祝だよ」
「へ?…………ええええええええええええええええええええええええええ!!!」
「君のSS…『女子高生上月澪 「濡れた制服」』…あれは実に見事な作品だったよ。私の推薦があれば大賞は決定したも同然だ」
「…………」
「…どうした?嬉しくないのかね?」
「…………」

ごそごそ (脇を掻いてる)

「…………」

ぷ〜ん(悪臭)

「うわあ!臭せぇ!!…や、やっぱり夢じゃない!ううう…ばんざ〜い!」
「ははは!実に面白い青年だ…私好みだよ」
「あぅ〜っ、おじさまありがとう♪この雀バル一生ついて行きます!!」
「ははは」

「いらっしゃ〜い」
「おじゃましま〜す」

「をを!ムチムチギャルズのお出ましだぁ〜!おのれ、私を悩殺コンボにする気だな?覚悟はできてるぞ」

「きゃはは、この人おもしろ〜い」

「ははは、彼こそ次代のSS界を担う作家だ。今のうちに懇ろにしてもらいなさい。先行投資だよ」

「きゃー!すごーい!」
「ヘンな顔だけどよく見ると素敵ぃ〜♪」

「がはは!遂に時代が私に微笑んだ」

 ・ 
 ・

>ケット・シーさん 『終わらない日常』 〜柚木詩子〜

人は自分に無いモノを求めるそうですからね…詩子の心情は読んでいて新鮮でした。
やっぱり詩子ちゃんも普通の女の子なんですね(笑)
南クンが珍しくいい役ですね。たまにはこんな役もいいよなぁ

>から丸さん 『幻想猫の魔法』 2話

学校でノロシあげちゃあダメだよ(笑)匂いですぐばれるんだから(大笑)
匂い消しにエアーサロンパス使ってるヤツがいたけど、かえって不自然だしね(笑)
だいたい屋上で吸ったらばれるって。吸うんなら体育倉庫だね、匂いも残らないし…逃げ場がないのが欠点だけど…(大笑)

さて感想
住井くんC子ちゃんにふりまわされっぱなしですね。↑のケットさんとは解釈が違っていて興味深い☆
いまだに方向性は見えないんだけど…どう転がってゆくんだろう?

>ケット・シーさん 『終わらない日常』〜南明義〜

南ちゃんかっこいい☆こういう彼も見てみたかったよ〜
しかし、めちゃいいやつだな。私が同じ立場だったらここぞとばかりに…それって卑怯かな?(笑)
茜よりも詩子や南のほうが切なく思える…もし浩平が帰ってきたら、きっと茜は彼らの思い遣りなんて忘れてしまうだろうに…

>WILYOUさん 『みさきロボ』後編

やはりみさき先輩は人間じゃなかったんだ(^^)私の学説は来れで証明されたよ(笑)
おぱいミサイルやってくれなかったのが残念

>北一色さん 『BLUE LEAF 4』

ここで感想書いてもいいんだけど…長くなりそうなんでメールでね♪

>から丸さん 『幻想猫の魔法 』4話

南ちゃんがカワイソウ…住井の分際で目立ちやがってぇ…とまあ、個人的なヨタはさておき(笑)
なんか、から丸作品(笑)らしさ、ってのを感じます。
時に違和感を感じ、時に納得させられる…
時に“え”ト感じたり、時に“ハッ”とさせられる…
すごく魅力的ですよ♪これからも個性を大切にね☆

>由代月さん 『佐織』Vol.3

無視しちゃってもいいと思いますよ(笑)
佐織ちゃんカワイイなぁ…私も乗り換えようかなぁ(笑)
続き頑張ってください

>サクラさん 『七瀬留美 暗殺計画』その3

う○○…うこん、だね(笑)うこんカレーって知ってる?
ちなみに私も剣道やってましたけど、試合で突きなんてやったら外した後が怖いです(笑)相手チームに酷い目に遭わされる事請け負いなし!まあ、七瀬はそうとうな腕前みたいだから大丈夫だろうけど…。
あと防具がボロイと悲惨です。私の篭手なんて綿が抜けてたもん(笑)死ぬほど痛かったなぁ
上手い人程痛くないんですよね。へたっぴ同士だと悲惨(大笑)

>WTTSさん 『一方その頃…広瀬』

感想ありがとうです!
うにゅ〜(意味不明)住井ってアレ、ウケ狙いだったんですか
もっと天然バカと思ってたんだけど…やるな護。
そして、いよいよ真希ちゃんが七瀬に牙を向く(笑)

>狂税炉さん 『瑞佳とみずかと』エピソード5

とりあえず連載お疲れ様でした。まあ、第1部完!ということで
…実は私は「ちびみずか」というキャラを使ったことがない。
理由は特にないけど、これからもギャグ以外では書かないだろうねぇ(^^;
そういう意味でもこのシリーズはいろいろ勉強させてもらうことが多かった
最後のレ○・○ズ連呼も微笑ましいっス。いつか2部が始まる時を期待してま〜す☆

> 『小曲集〜天使達のラブソング』

感想ありがとうございます…苺しぇぃく!にまでわざわざ…感謝です(^^)
う〜ん…いいセンスしてますねぇ。いやいやさすが♪
アイデアといいテンポといい…うみゅー…素晴らしい!
最終楽章が特にお見事でした。また才能の片鱗を見せてくださいな☆

*私信…あの〜、SS神社で言ってた『ポニ子トレカ』って実在するんですか?
もしあるんなら譲っていただけません?お返事ください♪

「…以上の作品は全て、この『天才SS作家』雀バル雀様が書いたんだぞぅ!えへん!」

「きゃ〜!すご〜い」
「じゃあさ、じゃあさ、あの『はぐれ3匹』ってのも燕バルさんが書いたの?」

「“雀バル”だよ!…そうそう、『浩平無用』も『ONE猫』も全部私が書いたんだぞ」

「すっご〜い」
「鳩バルさんサインして〜」

「どれどれ、雀バル様がとっておきのサインをしてあげよう…ウヘヘ」

「や〜ん、烏バルさん何処にサインしてるんですか〜?も〜う、Hなんだからぁ」

「わはは!私はキングじゃあ」
「ははは、愉快な青年だ、ますます気にいったよ」

<その後…帰り道>

(「このクレジットカード、好きに使っても構わんよ。授賞式用に服でも作ってもらいなさい」)
(「いいんですか?」)
(「君と私の仲じゃないか?遠慮なんかせずに」)
(「はあ…じゃあ遠慮無く」)

「気分は上々だなぁ。ふふ、これからはこの天才雀バルの時代だ!そーいやポニ子との『約束』もあったしなぁ、ゲヘヘ…おや?あれは…」


「澪さん、君のぺったんこな胸もちっちゃな背丈も全部大好きです!僕とお付き合いして下さい」

ばしい!

「ぎゃああ!!…み、澪さん」

『幼児体型で悪かったの!キライなの!』

「そ、そんなぁ〜」

「フン、うとんた…お前は振られたんだ。…さ〜て、澪、この俺の気持ちをSSに託すよ」

ビリビリ

「わあああ!!なんで破り捨てるんだよ〜?」

『どうせ澪が不幸になるの。外道SSはキライなの!』

「何故だぁ〜?外道のどこが悪るいんだよ〜」

ぷんぷん

『二人とも大嫌いなの!』

「…………」
「…………」

「ぎゃははははははは!ふ、振られてやがんのぉ!!!!」

「…………」
「…………」

「は、ハラが痛ぇ…ぎゃはははは!」

「…神凪さん」
「ああ…うとんた…やるぞ」

「…ほう?この天才雀バル様に歯向かう気?…言っとくけど今までの私とは違うよ」

「うるさい!雀のクセにぃ!…SS流星拳!」
「毎朝人の名前騙ってふざけたマネしくさってぇ!(←ごめんなさいです<汗>)神凪SS幻魔拳!!」

「…甘いわぁ!…『SSフィールド全開!!』」

ぱきいーーん!

「え?」
「き、効かない…どうして?」

*SSフィールド…『絶対SS領域』とも言う。SS書きあがった直後などの自信過剰状態(ライターズ・ハイ)における「俺って天才」的意識で他のSSの影響を全く受けつけなくなる事。しかし、大抵投稿した後で反作用として「なんじゃこりゃあ?」という事態に陥るはめに…(笑)

「…ふふ…天才に負け犬の技など効かんわぁ!」

「くうう!」
「な、なんて自信過剰な!…負け犬根性の塊だったヤツがどうして?」

「いつまでも幻魔拳が通じると思うなよ!…食らえ新技、『ネックローリング』!!」

「な、なんだその技は!?」
「初登場だぞ」

「…(ぼそり)永遠横断ONEクイズ」 (←どうしたの?<笑>)

「う、うぎゃああああああ!!!」
「うとんたぁ〜!お、おのれ、言ってはならないことを」

「…ふふ…貴様には今まで世話になったからなぁ…覚悟!…(ぼそり)『誰も知らない世界の片隅で』」 (←続き読みたいよ<笑>)

「う、うぐぅ…あれは…あれはぁ」

「とどめだ…(ぼそり)『今にも…』」 (←あれって読みきり?<笑>)

「うわああああ!!!…ア、アルテミスが終わったら…うう」

「がはは!天才に敵なしだぜぇ!」

*ネックローリング…元ネタは「白い戦士ヤマト」から(笑)相手のネック(弱点)を掴んで引き摺りまわす陰湿な技(笑)

がちゃり

「……気にいらんな…」

「?…なんだてめぇ?…貴様もこの天才の餌食になりたいのか?」

「ふん!卓手楠賞の審査委員に取り入って天才気取りとは…つくづく救えんバカモノだ」

「んだとぉ!(本当のことだけど)コレ以上口にするのは許さん!SS流星拳!」

「甘いな…フンッ!」

どがあああ!

「ぐああああ!!…つ、強いぞ…こいつ」

「神凪さん…あ、あの人まさか?」
「ああ…間違い無い。“はぐれSS作家”『3刀流のYOSHI』だ!」

「な、なにぃ!?…れ、連載3本抱えた異例の3刀流作家…クッ、だからと言ってこの天才が負けるわけには…この私の奥義を見せてやる!SSライトニングボルト!!」

*SSライトニングボルト…1日にSS3本以上書きあげる技。「この技使えます」って人は報告してね♪

「…上には上がいるということを教えてやろう…3刀流奥義、『SS三千世界』!!」

*SS三千世界…YOSHIさん報告ありがとう♪3刀流の使い手のみ使用可能な技です

どが! ばき! どご!

「ぎゃあああああ!!!」

ばたり

「…バカ者が…」

「か、かっこいい…」
「…ああ(そういや俺も3刀流じゃあ?)…」

<雀バルのアパート>

「…はぁ〜…」

(もし…あいつが間違えても大賞なんてとったら…あたしは用済みかな?)
(そうだよね…もともと「新入りがヒロインをアシスタントに採用するなんて生意気」って理由だけで採用されたんだし…)
(あいつ…ホントは繭をアシスタントにしたかったんだよね。……はあ〜)

「PELSONAさんとこでもいこうかな。今ならまだ…」

こんこん

「あ、は〜い」

がちゃり

「こんばんは、この人が道に倒れてたんで連れて来ました。酔っ払ってたみたいです」

「え?…わ!雀バル…わざわざすみません」

「いいえ、お安いご用ですよ。それじゃあこれで」

「どうもありがとうございました…あのよろしかったらお名前を」

「YOSHIと申します、ポニ子さん」

「“ポニ子”じゃないもん!……あれ?でもどうしてその名を…?」

「…ずっと寝言を言ってたんですよ。『ポニ子〜、ポニ子〜』って」

「……………」

「それでは失礼します。おやすみなさい」

「…ど、どうもありがとう…YOSHIさん」

 ・
 ・

「ぐ〜」

「寝顔もマヌケよねぇ〜…こいつ」

「ぐ〜…う〜ん…ポニ子〜」

「…………」

「ポニ子〜…約束だぞ〜…う〜ん…」

「…………」


(「今まではパウエルさんの代理、今日から私があんたの正式なアシスタントだからね」)


「…そうだった…わね」

「ぐ〜」

「…卓手楠賞…受賞できたらいいね、雀バル」

  <続く> *このSSはフィクションです。登場するSS作家は実在の作家さんとあんまり関係ありませんので、深く考えないように(笑)
 ↓・ウチのHPの隠しページ。『SS神社』もここから

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8321/newpage68.htm