幸せのお値段 投稿者: 雀バル雀
帰ってきた…

俺は帰ってきた。大好きな彼女のもとに

「あそこ」ではほんの一瞬だった

1年…

長かった…彼女を苦しめるには十分過ぎるほどに

だから俺は誓った

彼女を苦しめた何倍も
彼女から奪った大切な時間の何倍も


幸せにしてみせる、って…


「みさき先輩…今幸せか?」
「…また随分と唐突だね」

俺は知りたかった
春風の舞う公園で見せるその笑顔が
優しい日差しのもとではしゃぐその仕草が…本当なのかどうかを俺は知りたかった

季節は巡っても未だに彼女は『先輩』で俺は『浩平君』のままだ

歳の差は1つだけ
でもそれ以上に感じる。いや1年を隔てたことでもっと広がってしまった気さえする

だから、もし彼女が俺のことを気遣っているだけだったら
いつまでも成長しきれない俺に対する彼女なりの優しさだとしたら

俺は…

「…浩平君は幸せなの?」
「え?」

右腕を掴んでいる手に力が篭るのを感じて思わず目をやると、不安げな表情を浮かべている先輩の顔が見えた

「幸せなの?…」

もう一度呟く先輩
見えないはずの両目をこちらに向けて

だから俺もしっかりと彼女の目を見て答えた

「ああ、幸せだ」

本心だった
実際俺はどうしようもないくらい幸せなんだからな

「…だって、こんなおちゃめで大ボケで大食いでおっちょこちょいでかわいい恋人がいるんだからな」
「あんまり誉め言葉には聞こえないよ〜」

だから不安なんだ
俺だけが幸せになってやしないだろうか?って

だって先輩は強い人だから
心に不安を抱いていても、それを微塵にも感じさせないような人だから

「でもよかったよ。…突然こんなこと言い出すから、もしかしたら浩平君幸せじゃあないのかな?と思っちゃった」
「俺より先輩のほうが気になるよ」

だから知りたいんだ
先輩の本当の気持ちを

「…幼稚で頼りなくて…甲斐性すらない俺じゃあ先輩を…」

留年して未だに高校生やってて
それでもまだ自分の目標すら見つけられない情けない俺

自分のように障害で苦しんでいる人間でも安心して歩めるような社会を創る…
そんな夢を叶えるために必死で勉強を続けている先輩

もし、俺の存在が先輩の重荷になっているんなら…

「あのね、浩平君」

一度瞬きをして…そしてとびっきりの笑顔をこちらに向ける
なにか言う時の先輩のクセだ。

「私はね…そうだね、4000円!それだけあれば簡単に幸せになれるよ」
「…はあ?」

ついマヌケな返答をしてしまう。
…予測のつかない言動が多い先輩だけど、今回のそれはとびっきりだった。

「ホントだよ。…じゃあ今からそれを証明してみせるから」
「おっ、おい!」

先輩が俺の腕をぐいぐい引張りながら進んで行く
通い慣れているいつものデートコースだから自信があるのだろうけど、これじゃあ介添人の立場が無いぞ

やがて歩を右に寄せる
その先には…

     ・
     ・

「おいしいよ〜♪」
「…………」

17個目のダブルボスにかぶりつく先輩
ホントに幸せそうだ

「…ダブルボス20個で消費税込み3990円か…確かに…な」

でも…こんな簡単に幸せになってくれると
なんだか真剣悩んでた自分がアホ臭くなる

「おいしかったぁ」
「もう食っちまったのか…」

けど、悪い気はしないな

「ね?簡単でしょ?」
「…まあ、な」

なにげない日常にこそ存在する喜び。それを先輩は知っている…だからいつも笑っていられる
みさき先輩はやっぱりスゴイ人だ

「でもね…もっともっと幸せになれそうなんだよ」
「ハイハイ、いくらでも食べてどんどん幸せになってくれ」
「うれしいよ〜」

…買いかぶりかな

まあいいや。
『ごちそうさま』って言ってなかったもんな

「今度はボスライスバーガーが食べたいな、浩平君」
「おう、まかせとけ先輩」

まだまだ俺達は『先輩』と『浩平君』
でもいつかは『浩平』って呼ばせてみせるぞ

財布の残りを確認して席を立つ
さあて、幸せを調達してきますか

…と、ふと思い立って振り向く
するとちょうどみさき先輩と目が合った

「…どうしたの?」

目が見えないのに分かっちゃうんだな

だから俺もちゃんと先輩の目を見て答えた

「みさき先輩、行って来ます」

 <おわり>

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結局何が言いたかったんだろうこのSS…(笑)まあいいや
みさき先輩、誕生日おめでとう♪

…それではみなさんおまちかねのバカ後書きSSです(笑)どうぞ〜
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『苺しぇぃく!』その2

*前回まで…日本一のSSを決める『卓手楠賞』に雀バルを挑戦させようとやっきになるポニ子こと『長森EDで窓から外を眺めている青髪のポニーテール少女』。一方山葉堂で苺ワッフルを購入した雀バルは…


<学校の校門前>

「やあ、マィ スィートハニィ♪君の雀バルだよ」

「みゅー」

「ふふ…そんなに私に会えて嬉しいのかい?」

ふるふる

「てれるところがまたかわいいよ、マィラヴァー♪愛しの私とワッフルでも食べながら愛を語らないかい?」

「わっふる…みゅ〜♪」

「ははは、そんなに私とラブトークしたかったのかい?じゃあウォーターフロントでハーブティーでも飲みながらね」

<一方…ポニ子は>

「よろしくお願いします」
「う〜ん…一応預かっとくけどね。長年選考委員やってるけどこんな汚い字ははじめて見るよ。漢字だってほとんど使ってないし、あっても間違いばかり…まあ、期待しないことだね、ポニ子くん」
「…ポニ子じゃ…ないもん……」

  ・
  ・

「…やっぱりムリよねぇ…あたしなにやってるんだろ…」
「…………」
「…やめようかな…アシスタント…」
「……そうだよね。今辞めたらあいつを見捨てたみたいじゃない!そんな寝覚めの悪い真似が出来る訳ないか…はぁ〜…貧乏籤引いちゃったな」

<その頃…河原にて>

「夕日に照らされる君の横顔をずっと眺めていられたら…私は他にはなにもいらない…」

はむはむ <←ワッフルに夢中で聞いてない人>

「私の気持ちを替え歌にして…君に贈るよ…愛しのマドモアゼル」

はむはむ <←ワッフルに夢中で聞いてない人>

ちゃん ちゃか ちゃん♪ (蛇皮線の音)

「すき すき すき すき すき すき あいしてる〜♪」

はむはむ <←ワッフルに夢中で聴いてない人>

「すき すき すき すき すき すき 椎名繭〜♪」

はむはむ <←ワッフルに夢中で聴いてない人>

「うー…のどがかわいた…」

「…………飲み物ならここにあるぞ、うっちん茶」

ずー 

「…うっ…」

ぽい

「…へんなあじがする…」

「そ、そっか?じゃあ、さんぴん茶はどう?」

「…あまいのがいい…ジュース欲しい」

「分かった。じゃあ買ってくるからここで待っててね、マイハニー♪」

とたとたとた

  ・
  ・

「えっと…ジュースといえば普通はDr.ペッ○ーだよな」 (←普通は違います)

がちゃ……ゴトン

「…ん?ありゃりゃ…間違えて苺シェィク買っちまった…しゃーない、戻るか……って!やや、マイハニーに迫る悪の影がぁ!?」

(「さあ、行くわよ繭」)
(「みゅー♪」)

<雀バルにはこう見える…>

「お嬢チャンかわいいねぇ。ひひ…たっぷりかわいがった後に外国に売り飛ばしてやる」
「たすけてみゅ〜!!ダ〜リンみゅ〜!!」
「へへ、呼んだって彼氏は来ねぇよ」

「いかん!すぐに助けなければ」

どたどたどた…

「寄り道しないで帰りなさいって行ったでしょ。ホラ、もう夕飯の時間よ」
「みゅー」

「私の許婚に何をする気だ!?食らえ!『守備妨害アターック!!』」

*守備妨害アタック…ダブルプレーを避けるため、スライディングをする時に両手をバタバタさせて送球を防ごうというアレ。巨人の元木がこれの使い手として有名。この状況でなんの意味があるのかは不明だが…

ばこん!

「ぐはあああ!!」

「繭の帰りが遅いって聞いて探してみれば…最近近所で話題の変質者と巡り会わせとはね。覚悟なさいっ!警察に突き出してやるんだから!」

ばきぃ どが ぐしゃ ばきぃ……

<その頃…『卓手楠賞』一次選考会議>
>はにゃまろさん 『永遠紀行 6』

中盤で笑わされて後半でほろり。はにゃさん緩急自在ですねぇ
ちなみにそのテの本はベッドの下が基本なんですよねぇ(笑)

>奈伊朗さん 『鈴がうたう日 緊急レポート』

こういうノリ好きやねん(笑)裏ワザで自白剤を使うというコマンドがあるらしよ。さすが18禁だね(笑)

>狂税炉さん 『瑞佳とみずかと』エピソード4

早くも4話目、いいペースだね♪
このシリーズは面白いねぇ…いやまじでまじで。「しずまないゆうひ」のくだりは目からうろこが落ちまくりでした。でも、ホント、小さい子は危ないからそんなとこ行っちゃだめだよ。雀バルみたいなのがいるからね(笑)

>WTTSさん 『一方その頃…広瀬』

ポニ子使ってくれてありがとう♪うれしかったよ。(出演の件は了解しました。怒らないでね<笑>)
さて、ついに殺意に目覚めた真希ちゃん(笑)たかが人気投票でどうしてここまで熱心になれるんだろ?ヤキモチかな?やっぱ。次回はどうなるんでしょ?

>佐織 vol.2

を!2作目ですね♪
…佐織ちゃんの苗字ってなんなんでしょ?(笑)なんか意味深でしたねぇ

   <今回はここでタイムアップ。続きは次回にでも>

「以上の作品が一次選考通過です」
「うむ…今回はいつになくレベルが高いな。楽しみだ」
「そうですなぁ…おっ、そうそうバイト君。これらのSSを金庫に保管しておいてくれ」
「わかりました」

   ・
   ・

「ふう…結構な量だぜ。かったるい…って、わああ!!」

どた ぱらぱらぱら

「わ!わ!…ど、どれがどれだか分からなくなっちまったよ。…どうしよう……しゃーない、適当に分けちまえ!」

<雀バルのアパート>

シャアア <揚げ物をしてる音>

「このごろ流行の女の子〜♪後書きアシの女の子〜♪こっちを向いてよポニ〜♪…っと、今夜はフンパツして雀バルの好物のカツ丼よ〜ルンルン♪」

<同時刻…交番>

「私は痴漢なんかやってません〜!信じてくださいよ〜」
「…私が何年警察官をやってると思ってるんだ!犯人は目を見れば一発で分かる!…貴様のその腐った目は間違いなく犯罪者の目だ!…さあ、吐くんだ」
「だからやってないんだよ〜!」
「変質者はみんなそう言うんだ!…白状したらカツ丼食わせてやるから…さあ!」
「うぇ〜ん!!ポニ子助けてぇ〜」

  <続く>

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8321