女子高生 上月澪 『汚されたスケッチブック』 投稿者: 雀バル雀
放課後の教室…

夕日が窓から差す…まるで血のような朱だ

今のこの教室には、その忌まわしい色が相応しいのかもしれない


「…………!」


大きく口を開く澪!だが叫び声が上がることは…ない

彼女は生まれつき話すことが出来なかった…そのことでどれほど彼女は苦しんだことだろう、悲しんだことだろう…

苦しんだ末にやっと手に入れた気持ちを伝える術、緑色のスケッチブック…だが、今はそれすら彼女の手元に無いのだ。


「…………!」


懸命に抵抗する彼女…しかしその非力な腕力ではどうする事も出来ない

ビリ! ビリビリビリ!

一枚…また一枚と破られてゆく…

彼女の大切なものが…破られてゆく…

「やめてなの!」「いやなの!」

心の中でどんなに叫んでも、相手には届かない

澪の目から涙が零れる

…だが、やはり声は出ない。残酷だが、それが現実だった…

ビィリ! ビリ! ビリリ!

やがて相手の手が止まる…邪魔なものは全て破り取られ、目的の「それ」が姿を現したからだ

まだ誰の目にも触れられた事のない「それ」が、今、白日の元に晒された。

「…………!」

澪の目が大きく見開かれる!驚きと悲しみで…

だが、相手はあくまで自分の欲望に忠実だ

笑った

相手のその無邪気な笑みに、澪は恐怖した…

だが、彼女にはどうする事も出来ない…相手を罵ることも、声をあげて泣く事さえ出来ないのだ

そして相手はチャックに手をかけると、一気に開く!

ジイイイ

彼女の最悪の予感が今、的中しようとしている

相手が取り出した親指大の先端が「それ」に近づく…

その赤黒いモノを必死で「それ」に近づけまいとする澪

「お願い!それだけはやめて」涙目で必死に訴えかける澪

だが…声がなければ相手には届かない

むしろ、その行動は相手の意地に火を付けただけだった

澪の手は振り払われ…そして遂に「それ」に接触した

「…………!」

声無き悲鳴が教室内に響く

彼女は今この時ほど自分が喋れない事を恨んだ時は無かった…


どうして?


どうして?どうして?…どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?


どうして私がこんな目に!?


だけどその声無き問いかけに答える者は…無い

そして「それ」が真っ赤に染まる…


嫌だ…


澪の大切な「それ」が…真っ赤に染まっていた


汚された


ずっと大切にしてきたものが…今…


汚されたのだ


相手が笑う…勝ち誇ったかのように…


助けて…


そして右手に持った獲物を「それ」に力任せに押しつける


誰か…助けて!


悪夢はピリオドを知らない…



…だが!


ばこん!

「こら!なんてことするんだお前!?」
「みゅー!」
「『みゅー!』じゃない!…あ〜あ…澪のスケッチブックがマジックで真っ赤じゃねぇか」

えぐえぐ

「よしよし泣くな澪…椎名!どうしてこんな意地悪したんだよ?」
「…おえかきしたかったの…」
「バカ!お前はやっていい事と悪い事の違いも分からないのか?…澪に謝るんだ」
「…………」
「椎名!」
「…ごめんなさい…」
「…ごめんな澪、椎名も謝ってるから許してやってくれ」

えぐえぐ…ぐす

かきかき

『ひどいの…でもしょうがないの』

「…みゅー…」
「とにかく顔を拭け、澪。…おわびに寿司を奢ってやるから」
「おすし!みゅ〜♪」
「椎名はダメだ!澪だけだよ」
「…みゅー…」

『いいの、3人でお寿司食べるの』

「みゅー♪」
「…ごめんな澪。椎名は後で叱っておくから」

『はやく行くの、お寿司』

     <おわり>


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「こんばんはです!“SS界の維新力”こと雀バル雀と…」
「“ONEキャラ軍団の南海竜”こと『長森EDラストで窓から外を眺めている青髪のポニーテール少女』です!はあ…」
「どうしたポニ子?『あるてみす』が完結して気が抜けたのか?」
「『ポニ子』じゃないもん…なによこのSS?」
「…う、うぅ…いや〜、まてつやさんのSS見てどうしても書きたくなって…」
「…二度としないわよね?」
「うん…それじゃ感想です」

>うとんたさん『繭更正計画』

「繭ちゃんの知能レベルってやっぱりその程度だったのかしら…」
「私が小6の時に比べたらはるかに利口だよ。なんせ左右の区別すら出来なかったもん(笑)」
「『漢字も自分の名前ぐらいしかまともに書けなかった』とか言ってたしねぇ」
「大丈夫!私はそれでも立派に成長してるんだから」
「…あんたみたいなダメ人間にだけはなって欲しくないわよ」

>GOMIMUSIさん 『D.S chapter2』 act2

「美沙さんが言うとおり、ミスティさんの名前ってカッコイイわねー」
「『ポニ子』だって十分カッコイイ名前だろ」
「『雀バル雀』といい『ポニ子』といい…あんたのネーミングセンスって最低よね。GOMIさんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいよ」
「うぐぅ(汗)…act3も期待してま〜す」
「あっ、逃げた」

>北一色さん 『ONE英伝6』
「ペーさん、あなたの買被りです(笑)こいつのHNにそんな風雅な由来があるわけないじゃないですか」
「違うぞ!私はフランス革命関連の書籍は…」
「嘘おっしゃい。…実はこいつの故郷に実在した雀荘が由来なんです。バカですよねぇ」
「ううぅ…」
「反乱軍の旗艦名もバラエティに富んでますよねぇ、毎回こちらも楽しませていただいてま〜す」
「『オザワ・イチロウ』とか『サダム・フセイン』とかも出るのかなぁ?」

>狂税炉さん『瑞佳とみずかと』エピソード2

「今回は状況説明でしたね。みずかちゃんをみーちゃんと呼ぶ長森さんとか、500円でお弁当売りつける浩平君とか…微笑ましくてよかったです」
「次回も期待してますよ」

>WTTSさん 『実ははじめての…』
「替え歌といえばWTTSさんだよね♪」
「うん。…でもpart1しか元歌知らないのが残念(泣)今度私も替え歌に兆戦してみるつもりなんで、参考にさせてもらいます」

>由代月さん『佐織 vol.1』

「はじめましてです!雀バル雀&ポニ子です。よろしく♪」
「『ポニ子』じゃないもん!…ついに佐織ちゃんシナリオ出現ですか…いいなぁ」
「安心しろ、お前を主役にしたSSを今書いてるとこだから」
「そ、そうなの?…ありがとう雀バル…」
「さて感想ですが、はじめて佐織ちゃんの容姿が描かれましたね。…そばかすかァ…いいかも」
「浩平君と佐織ちゃん、らぶらぶになれるのでしょうか?…次回も楽しみにしてます」

>から丸さん 『楽園』

「から丸さんまた長森SSだよ」
「今回も唸らされたなァ…『失楽園』とは…渡辺○一のほうなら読んだ事あるけどね(大笑)」
「…でも、長森さんのひたむきさが痛いほど伝わってくるわねぇ」
「うん、文体も面白かった。…こういう描写で書く方法もあるんだな…勉強になります」

>WILYOUさん 『無限遊歩』

「おかえりなさいWILYOUさん…ずっと待ってたんだよ(笑)」
「ほんとお久しぶりです。赤上さんも♪」
「名も無いアシスタント同士、仲良くしなきゃなぁ…ポニ子」
「『ポニ子』じゃないもん!!」
「ファンタジック!(大笑)…文章もリズムがあってスラスラ読めました♪」
「他のみんなの夢も書いてくださいよ。期待してま〜す」

>変身動物ポン太さん  『う・わ・ぎ』

(ポン太さんにはメールを送ろうと思ってたのですが・・・メアド無いんですか?もしあるのならお教え願えませんか?…感想やタレコミのお礼が言いたいので☆)

「ふにゃ〜ん(意味不明)オモシロかったよ〜」
「ご謙遜なされてますけど、かなり笑えました♪」
「澪が悪人で素敵♪…しかし真希ちゃんやっぱり美少女だったんだね(笑)」
「次回こそ雪ちゃんSSですよね?期待してます」

「今回はここまで!…それから「うらごろし2」も「グレートミオは喋らない」も公開延期にあいなりました。ご容赦下さいな(泣)」
「それではみなさんさようなら〜」
「さよならです!」

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8321