時は戦国…
童ありき 名は折原浩平
その童 やんごとなき出自なれど 家を失い氏も絶えん
故に 仏門に帰依す
童 後の世に聞こえし 一窮禅師 浩平なり。
<登場人物>
・一窮さん…後の世で“屁理屈和尚・一窮さん”として皆に親しまれる彼。高貴な出自らしいがそれを微塵にも感じさせてくれない(笑)頭はいいがその使い方に問題がありすぎ。天敵は七瀬和尚。趣味は長森虐待(笑)
・七瀬和尚…中崎寺13代目の住職。その性、狂暴にして無謀(笑)元は武士だったらしい。『菩薩のような僧侶』になるのが夢なんだそうだ。
・長森…薄幸のヒロイン(笑)小僧連中ではみさき先輩の次に古株なのだが、現在は一窮のオモチャ。
・みさき先輩…盲目。小僧連中では一番の古株。寝る事と食べる事と修行をサボることが彼女の生活の全て。検校になって大金持ちになるのが将来の夢。
・澪…唖の小僧。泣き虫でおっちょこちょい。掃除の時いつもヘマをして怒られている。中崎寺のマスコット的な存在で、皆に(いろんな意味で…特にみさき先輩には)可愛がられている。
・里村将軍…おね幕府の8代将軍。諸種の事情により中崎寺をなにかと目にかけてくれるありがたいお方。その権勢と甘党ぶりは天下に知らぬものは無い。
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『七瀬和尚の憂鬱、の巻』
「いくぞ長森!一窮バスターだ!!」
「いやああ!!やめてえええ!!」
『一窮、長森を肩に担いだの。この態勢は…一窮の18番、『一窮バスター』なの』
「いやああ!!み、みさき先輩!澪ちゃん!見てないで助けて〜!!」
「ごめんね…私レフリーなんだ」
『同じく実況なの』
「これじゃあ前回と同じ展開だよ〜!!……って、きゃああああああああ!!!!」
どしいいいん!!!
ばき!
『すごい威力なの。長森ぴくりとも動かないの。』
「わははは!正義は勝つのだ!」
『レフリー、カウントを始めたの』
「1・2・3…・7・8・9・10!」
ぽくぽくぽくぽく <ゴング代わりに木魚を鳴らす音>
『一窮の猛攻の前に、長森またまたKOなの。負け犬街道一直線なの』
「勝者!一窮〜〜!!」
『それでは勝利者インタビューなの。この試合の感想を聞かせて欲しいの』
「いや〜、相手が弱いんで助かりました」
『これで、対長森戦10連勝なの』
「こうなったら行けるところまで行きます!…双葉山の69連勝を抜いて見せますよ」
『最後に一言なの』
「屁のつっぱりは、いらんですよ」
『言葉の意味はよく分からないけど、とにかくすごい自信なの』
「うう…ひどいよ一窮〜」
「文句があるなら強くなれ、長森」
「うう…わたしって不幸だよ…」
「泣き言ばかり言いやがって。なんならもう一回俺様が鍛えなおして……って、ぐあああ!!!」
ぎちぎち
「一窮、またあんた瑞佳を苛めて!!」
「ぐああああ!!痛い痛いヤメテ〜!!」
『突然乱入してきた七瀬和尚のヘッドロックががっちり決まってるの』
「ぐあああ!!…み、みさき先輩!、澪〜!見てないで助けてくれ〜」
「ごめんね一窮君…私レフリーなんだ」
『同じく実況なの』
「そ、そんなぁ〜」
「一窮!あんたはどうしていつも瑞佳を苛めるの!?」
「いだだ!…遊んでただけです〜!本気の一窮バスターの威力はこんなもんじゃあ…って、ぎゃああああ!!」
どがあああん!!
ごきい!
『七瀬和尚のエースクラッシャー炸裂なの』
「うるさい!いつもいつも屁理屈ばかり言いやがってぇ〜。今日こそ、その性根を叩きなおしてやる!」
<夜…本堂にて…>
「はぁ〜…仏様、あたしがいったいどんな悪さをしたというのですか?なんの報いであんなクソガキどものお守をせにゃあならんのです?」
「うう…出家してから精進に精進を重ねて頑張ったというのに…。その結果がこれだなんて…。本当なら…」
「質素だけど清潔で格調高い寺で…素直で勤勉な小僧達に囲まれて…私も菩薩のように慈悲深い和尚になるのが夢だったのに…」
「現実は、質素なだけでボロくて檀家の少ない寺で…」
「なにより小僧どもよ!…食事にだけは意欲的なみさき…カワイイけどまるで使えない澪…瑞佳はまあ及第として……そして、あのクソ一窮!!」
「うう…あのバカガキさえいなければまだ救えるのにぃ!…さりとて追い出すワケにもいかないし…」
「挙句に寺の経営は苦しいし…こんな生活じゃあ菩薩のような僧侶になんて夢のまた夢…」
「………」
「…いや、せめてあたしだけでも理想を追いつづけてみせる!」
「あきらめてなるもんですか!お師匠様も仰っておられたわ、『どんな険しい道であろうとも、いつか必ず拓ける』と。」
「そうよ、これは試練なのよ!あの小僧どもも、きっと改心させてみせるわ!!」
現状を変える決意を固めた七瀬和尚。
さっそく自室に篭り、今後の方針を練った。
「え〜と…あったあった。修行僧時代の教本なんてよく残ってたわねぇ…懐かしいな」
「おっと!…感慨に耽ってる場合じゃなかった。…え〜と、『楽しい仏教』、『三日でマスターできる般若心経』、『仏法V』、『臨済宗資料年間』
……あった!『愛される僧侶〜末法の世を慈悲で照らそう〜 頑爺禅師.著』…この本に感銘を受けて『慈悲あふれる僧侶になる』って誓ったのよねぇ。迷った時は基本に帰るのが一番よ」
「どれどれ…『…僧侶とはいかなる時でも御仏の弟子としての心構えを失ってはならない。事態の解決に暴力による制裁を用いるなど全くもって恥ずべき行為である』…まあ、あたしの場合はそこらへんは気をつけているしね」
「『…弟子は師匠の鏡である。もし、小僧の態度が不遜なものであれば、それはすべからく和尚の不徳のなすものであると肝に銘じておかねばならない』………そ、そうなの…」
「『…小僧が怠惰であればそれは和尚の本質も怠惰であるという証!小僧が乱暴であればそれは和尚の性が乱暴である証…』……そうだったの…どこでどうやって育て方を間違えたらあんな小僧になるの?と思ってたら…原因はこんな所にあったわけね…」
「…………」
「…落ちこんではいられないわ!…それならあたし自身が変われば済む問題じゃない!な〜んだ、よく考えたら簡単なことじゃないの」
「よし!今日からあたし生まれ変わるわ!…見ててね下さいね、頑爺先生!」
現実に立ち向かうべく、生まれ変わる決意をした七瀬和尚。
はたして彼女は世界の殻を破れるのだろうか?
<翌朝…>
ご〜ん(鐘の音)
「わあ!起きてよ一窮!…お勤めが始まっちゃうよ」
「う〜ん…あと三回忌だけ寝かせてくれ〜」
「誰の三回忌だよ?…あ〜ん、寝坊したら今度こそ七瀬和尚に殺されるよ」
「そんな物騒なこと言うもんじゃありません」
「え!?…な、七瀬和尚!!!!!」
がばあ!
「お、和尚…いや〜俺は起きるつもりだったのに長森の奴が無理やり寝床に押さえつけて…」
「違うもん違うもん」
「い、いや〜和尚が来てくれなかったら危うく操を奪われるところでした!…よって全ての責任はコイツにあります、殴るんならご自由に…」
「わあ!ひどいよ一窮」
「おほほ…二人とも朝から元気ねぇ。うん!子供はそうでなくっちゃ。…さあ、顔でも洗っておいで。」
「へ?」
「はあ?」
「二人とも、なに間抜けな顔してるのよ?…早くしないと朝餉に遅れるわよ」
とたとたとた
「…………」
「…………」
「な、長森…俺…まだ寝てるのかな?」
「たぶん起きてると思うよ…一窮…」
<同刻…食堂にて>
くんくん
「今朝もカロリーメイトだね」
『そうなの』
「ここんところ毎日だね」
『そうなの』
「もう飽きたよね」
『そうなの』
「…じゃあ、私が代わりに澪ちゃんのぶんまで食べてあげるよ!」
ばっ ぼりぼりぼりぼり
ふるふる
『食べちゃだめなの』
「え?…でももう全部食べちゃったよ」
『ひどいの』
えぐえぐ
『おなかすいたの』
「そうは言っても、もう食べちゃったんだから。…夕飯まで我慢してね」
とたとたとた
「あら?…澪、どうしたの?」
「な、七瀬和尚!…澪ちゃんおなか空いたって…カロリーメイトだけじゃ足りないみたい。ね?澪ちゃん」
ふるふる
『ちがうの!みさき先輩が』
「あらそう…だったら粥でも作って食べなさい」
「へ?」
『?』
「育ち盛りなんだからあれだけじゃ足りないのは当然よ。…修行も大切だけど栄養のことも考えてやらなきゃね」
「…………」
『……』
<その日の晩…本堂にて>
「ふふ…みんな驚いてたわね。さすがにストレスは溜まるけど…なぁに、あの小僧どもが改心してくれるなら安いもんよ」
「今日はやけに、みんなおとなしかったし…はやくも効果が現れたのかしら?」
「さすがは頑爺先生。…これであたしの人生も少しはマシになるかも…」
<同時刻…小僧の部屋>
「え〜と、これより中崎寺小僧組合・特別集会を開催する!…長森」
「はい!…今回の議題は『七瀬和尚態度急変の真相解明並びに今後の対策』だよ。…意見のある人は手を上げて」
「はい。一窮君」
「今は一窮じゃなくて議長!」
「そうだったね。…う〜んと、とにかく今日の七瀬和尚はあまりにもヘンでした。ご飯いくら食べても怒らないんだ」
『お掃除でヘマしても怒らないの』
「うむ。…俺がいくら長森を苛めても『二人とも、あいかわらず仲がいいわね』って笑ってるんだよ。…ある意味すんげえ怖かったぞ」
「うう…おかげでわたし何回気絶させられたことか…」
「なにか悪いものでも食べたんじゃないかな?…人間あんな急には変われないよ」
『まるで別人なの』
「そうだよなぁ」
「もしかしたら誰かとすり替わってるんじゃあ…」
「みさき先輩…それは非現実的だ」
「そんなに深刻に考えることないんじゃないかな?…ホラ、前から和尚って『菩薩のような僧侶になりたい』って口癖のように言ってたし…」
「お前は黙ってろ!…これは俺の考えなんだがな…」
「うう…ひどいよ一窮…」
「…人間死を目前にすると急に優しくなる、って話聞いたことないか?」
「え?…じゃ、じゃあ七瀬和尚は!?…嘘!?」
『まさかなの』
「考えすぎじゃないのかな…」
「しかし、それ以外に武闘派として知られるあの和尚がここまで温厚になる理由がどこにある!」
「た、確かに…」
『和尚…死んじゃうの』
「そんな大げさな…」
「みんな、思い当たるフシはないか?」
「そういえば…最近よく本堂に篭ってるし。…なんか深刻に悩んでいるみたいだったね…」
『ため息も多かったの』
「別にそんな様子は…」
「この前の水あめだって…あんな劇薬を毎晩飲んでいたということからしてオカシイじゃないか。殺しても死なないような和尚だぞ!」
「そういえば…そうだね」
『そんな』
「…………」 ←さっきから無視されてるので拗ねている長森
「間違いない…和尚は病気で……死期を悟ってるんだ…」
「七瀬和尚…」
えぐえぐ
『かわいそうなの』
「澪ちゃん…泣かないで、ね?…ぐすっ…」
「…くっ…思えば俺達は和尚に迷惑かけっぱなしだったなぁ・・・。なぁ、せめて和尚がこの世を去るまでは心を入れ替えて真面目になろうぜ」
七瀬和尚の思惑とは予想外の展開に転がり出した事態。
さて、どうなるのことやら…
<1ヶ月後…>
ご〜ん
がばあ
「ふあ〜…もう朝かぁ。…さあて、起きるか」
・
・
「ごちそうさま」
「?…みさき、あんた体調でも悪いの?あんたがおかわり要求しないなんて…」
「これも修行ですから」
・
・
『おそうじ終ったの』
「澪…最近ヘマしなくなったわね…」
『昔とは違うの』
・
・
「ふ〜…」
「和尚、肩でも叩きましょうか?」
「え?…う、うん…じゃあ、一窮お願いね」
とんとんとん
「……ねえ、一窮…あんた達最近どうしたの?」
「なにがですか?」
「いや…なんでもない…」
(そうよね…この子達は改心してくれたのよね・…)
<夜…本堂にて…>
「…なのに!どうしてこうもスッキリしないのかしら?」
「みさきは大食いをしなくなった…、澪はヘマをしなくなった…、そしてあの一窮まで…あいかわらず瑞佳は苛めてるけどそれ以外は…屁理屈まで言わなくなったし…」
「……………」
「…理想…どうりよね。…素直で可愛い小僧に囲まれてあたしは菩薩のように慈悲あふるる僧侶に…」
「……………」
「…あたし…なに考えてるの?」
「…あの子達が何か企んでいる、そう疑っているんだ!……はあ〜…あたしってなんて女なんだろう…」
トントントン
「和尚ー!居ますかー?」
「ん?…どしたの、一窮?」
「ちょっときて下さい」
「?」
・
・
・
「こ、これは!……ど、どうしたのよ…いったい!?」
『パーティなの』
「わたし達からの感謝の気持ちです」
「え!?え!?」
「和尚…いままでお世話になりました。今日はみんなでそのお礼をと思って…」
「一窮…」
「七瀬和尚、いままでどうもありがとう」
「瑞佳…」
「ごちそういっぱい用意したよ、遠慮無く食べてね」
「みさき…」
ぐすっ
『和尚』
「ほら、澪ちゃん…泣いちゃだめでしょ」
「笑顔で、ね」
こくこく
『いっぱいありがとう』
「み、澪……ぐすっ」
「…およばれしてます。七瀬和尚」
「さ、里村将軍まで!」
「へへ…俺が招待したんですよ」
「…事情を聞いて…。和尚、いいお弟子さんを持ちましたね」
「…ぐすっ…は、はい!…最高の子供達です!」
(あたし…あたし…あたし……世界一の幸せ者だ!……この子達を疑ってたなんて…あたしは…)
「みんな…ご、ごめんね…グスッ…あたし……な、何言ったらいいんだろう」
(「一窮…わたし和尚が泣いたの…はじめて見たよ…ぐす…」)
(「ああ、俺もだ。…お前ももらい泣きするんじゃないぞ、泣くのはまだ先だ…」)
(「うん…笑顔でいれてるかな、わたし…」)
「こ、こんな…こんな…ううう…」
「さあ、今日は楽しくやりましょう!和尚も涙を拭いてください」
「一窮……う、うん!今日は盛大にやりましょう」
・
・
・
「さあ、遠慮しないで和尚。キムチラーメンですよ」
「山葉堂のワッフルもあります」
「え、ええ…でもさすがにもうおなか一杯で…」
(「ねえ、一窮。…そろそろ」)
(「そうだな。もういい頃かな…おーい!澪、みさき先輩」)
(「わかったよ。持ってくるね」)
「和尚ー!」
「どうしたの、一窮?」
「実はですね…俺達和尚にプレゼントを用意したんですよ」
「え?…あ、あたしに…」
「はい、わたし達の感謝の気持ちです。受け取ってください」
がらがらがら
「台車で運んでくるなんて…随分と重そうですね」
「へへへ…そりゃそうですよ、里村将軍。なんせコイツは石でできてるんで」
「へえ…」
「じゃ、いきますよ!…パンパカパ〜ン」
バッ <カバーを取る音>
「こ、これは!?……」
「へへへ…どうです?」
「………」
「?…感動のあまり声もでませんか」
「あ、あのさぁ…これって……墓石に見えるんだけど…あたし、目がオカシクなったのかな?」
「……何言ってるんですか?…どう見ても墓石に決まってるじゃないですか」
「え!?」
「俺達からの最後の贈り物です!どうか受け取ってください」
「みんなでお金を出し合って買ったんだよ」
「ホントは仁徳天皇陵みたいなでっかいお墓を建てたかったんですけど…大理石が精一杯だったよ」
『みんなの気持ちなの』
「……」
「ほら、見てくださいこの碑文。長森が彫っただけあって達筆でしょ?」
「…なんて書いてあるの?」
『史上最強の僧侶、七瀬留美、ここに眠る。って書いてあるの』
「ふうん…ぴったしだね」
「……」
「和尚、死後の事は安心して俺達に任せてください」
「わたし…きっと和尚みたいな立派な僧侶になります」
「ごめん…感謝の気持ちがいっぱいで…言葉にならないよ…」
「みさき先輩…」
えぐえぐ
『が…がんばるの』
「澪ちゃん…」
「七瀬和尚…素晴らしいお弟子さん達ですね。…私がこの子達の後見人として一人前に成長するまで責任をもって面倒みますから、安心して下さいね」
「……」
すたすたすた
「…これが…あんた達の気持ちってワケね…」
「はい」
『受けとって欲しいの』
「安心して入滅して下さい」
「…そう…わーい!うれしいな♪……って!言うとでも思ってるの!!!!」
ばごおおおおおおん!!!
ぱらぱらぱらぱら…
「は、墓石が…和尚の一撃で…」
「…粉々に…なってしまいました…」
「な、なにするんですか!?…俺達の感謝の気持ちを…」
「『感謝の気持ち』だぁ〜?…そうか…あんた達、そんなにあたしに死んで欲しかったワケね?』
「い、一窮君…和尚の様子がおかしいよ〜」
「ど、どうしたんだ七瀬和尚?」
『怒ってるの』
「…ふふふ…そうね…これが現実よね…。ありがとう、アンタ達のおかげで目が覚めたわ」
「お、和尚〜…とにかく落ちついて、話を聞いてくれ」
「うるさい!」
どがああ!
「ぐは!」
「い、一窮〜」
「ひどいよ和尚!…一窮君は和尚に安心して逝ってもらおうと一生懸命だったのに、それを…」
『あんまりなの』
「じゃかましい!死ねって言われて喜ぶヤツが何処に居る!?」
「え?」
「な、なんか勘違いしてるみたいだよ…」
「ふふふ…しょせんあたしは修羅の道しか歩めないのね。…頑爺先生、ごめんなさい…。あたし不殺の誓いを破ります!……どりゃああああ!!」
ばきい! どご! ぐしゃあ!
「うぎゃああ!!」
「きゃあああ!…い、一窮の耳から血があ!!」
ふるふる
『やめてなの』
ばきい!
『ふぐぅ、なの』
「み、澪ちゃん…わあああ和尚、やめてええ」
がきっ
「え?え?え?…首を抱え込むこの態勢はまさかDDT?…お、和尚、冗談だよね・・……ってきゃああああ!!!」
どぐぉ!
「……」
「み、みさき先輩ー!!いやああああああ!!!」
・
・
里村将軍の必死の説得により七瀬和尚が正気を取り戻した時には、一窮達の顔形は原形をとどめてなかったという…
<数週間後…>
「そこから動くなよ、長森!…とぁー!」
「きゃああ!!一窮やめてー!!」
どがん
「ぐあ」
「わあ!一窮大丈夫?」
ばこん
「いた〜い…一窮なんで殴るのよ〜?」
「うるさい!なんで俺のフライングボディプレスを避けるんだよ?」
「だって当たったら痛いもん」
ばこん
「きゃあ」
「それはお前の受身がヘタだからだ!…今度はニードロップだからな、避けるなよ」
「イヤだもん!一窮のばか!」
・
・
「今日もカロリーメイトだね」
『そうなの』
「もう飽きたよね?」
『でもあげないの』
「…ごめん!字が見えない!」
ばっ もぐもぐもぐもぐ
ふるふる
『ひどいの』
・
・
「はぁー…結局元どうりか…所詮理想は理想というわけね…」
「……ボロい寺に問題だらけの小僧達。…あたしも菩薩のような慈悲深い住職には程遠いし…」
「……………」
「でもまあ…これがあたしには一番似合ってるのかもね…」
慌しい日常の中に身を置きながらも、これはこれで結構自分の境遇に満足していたりする七瀬和尚であった…
<続く…だろうな>
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さあて、次回の一窮さんは?
「長森瑞佳です。蔵のお掃除をして以来一窮の様子が変なんだよ。いったいなにがあったんだろう?妙に大人しいんで気味が悪いよ〜。……次回“一窮さん その五”『恐怖!呪いの巻物』だよ。乞うご期待!」
「……どうせまた、わたしが酷い目にあうんだよ…。ほんとにヒロインなのかな?……」
(これはあくまで予定<笑>変更になる可能性もあります)
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あるてみす5 『ポニーテールは振り向かない 後編』
(前回まで…ポニ子に襲いかかる雀バル!貧弱なはずのコイツがやけに強い、何故だ?)
「はあ はあ はあ」
「無駄だよ、ポニ子さん。…『トール』はまだその実力の半分しか出しちゃいない。」
「『ポニ子』じゃないもん!!『長森EDのラストシーンで外を眺めている青髪のポニーテール美少女』なの!」
「ターゲット『ポニ子』…抹殺…抹殺」
「はあ はあ …ジ、雀バル…のくせにぃ…どうして…」
「ふふ…人間とはこれほどの可能性を皆秘めているというのに、自分で自分を縛っている。愚かな生き物だよ」
ピコン ピコン ピコン
「え?…まさかもう!?」
「エネルギーも限界のようだね、ポニ子…いや、キューティポニー…どうだい?大人しく投降してもらえないかな?悪いようにはしないさ、何故ならキミは…」
「寝言は寝てから言ってよね!!…し、勝負は…まだついてないんだから」
「へえ…結構しぶといね」
「当然!そうでもなきゃ雀バルのアシスタントなんてやってらんないわよ!」
「ふうん…なら本気を出しても構わないね。…『トール』!!」
「了解!!」
「え?え?……きゃああああああ!!!!!」
「へへへ!!ええやろ?ええやろ?減るもんやないし、な?」
「いやああああ!!」
「ふふ…『トール』の性欲は半端じゃないからね。ポニ子さん一人で満足させられるかな?」
「へへへ…ここがええんか?どや?」
「いやあああ!!…やめんかい!こ、このセクハラ野郎が!!」
ごきい!
「ぐうあああ!!…お、俺の○んこがああああ!!」
「なんて容赦ない攻撃…くそっ!撤退!」
*
「しっかりしてよ〜雀バル」
「ううう…ええやろ…ええ…や……ろ」
「どうしよう…そうだ!ラグナログ本部の由依さんなら」
*
「あんまり気が進まないですねぇ。この人もFARGOも私達にとってはどちらも迷惑…」
「そんなこと言わないでよ由依さん。一応コイツだってSS作家なんだからさぁ」
「しょうがないですねぇ。…じゃあ、診てみましょう」
*
「…これは…精神が分裂しかかってます。相当の負荷がかかってたんですねぇ」
「ぶ、分裂!!」
「FARGOに捕らえられた人間にたまにこういう症状がみられるという報告があります。…どんどん剥離が進行してますね」
「じゃあ、雀バルは!?」
「定期的に精神に負荷をかけることでこの状態を維持させているみたいですね…今はかなり不安定な状態ですから早めに処置せねば人格が崩壊してしまいます。…これが処方箋です。意識が戻ったら彼に読ませてください」
「なんですか?コレ」
「愛と希望と勇気と感動の結晶です」
*
「へへへ…エロエロ…」
「雀バル…しっかりしてよ!…ほら、これ読んで」
「なあに?エロ本……え?…こ、これは」
『SSかんそうぶん』
>はにゃまろさん『お・か・し戦記4』
前回は本の紹介までして下さりありがとうです。あの本とはにゃまろさんのおかげで、なんとかスランプ脱出のきっかけが掴めました。感謝です。
うわあああはははは!!大爆笑です。今回のが一番おもろかった。
・繭パパ…ばがー!(笑)だっと いず あすりーとだったわけですか、ニッセイさんのおかげですかな。
・FARGO印…まずそー
…なんか意味わかんないこといてますけどね(汗)そんくらい面白かったんで
>GOMIMUSHIさん 『D.S』2章 2話
感想ありがとうです(島塩、あかまるそーは数年前まで使ってましたよ、私<笑>)
みんな重い過去を持ってますね。
個人的にはミグ王子には頑張ってほしいな。
次回も期待してますよ
>PELSONAさん 『innocent world』 W
久しぶりのイノセントですね
…あの、質問?まなみとまさきってPELSONAさんのオリジナルなんですか?
あらすじだけでこれだけ書けるのもすごいと思いますよ。
なんせPELSONAさんには100話書いてもらわなきゃ(笑)
(与田・森田…昔の中日の新人王、二人とも仙一の酷使で1年で潰れた<笑>ごめんなさい!こんな連中と一緒にされたら迷惑ですよね<汗>PELさんには寺尾のように末永く頑張ってもらわにゃ)
>バルさん『スケッチブックの要らない日』
お!再び”おんぶおばけ”こと澪ちゃんのとうじょうだ(笑…あのSS好きなんで)
言葉なんかなくても分かりあえる…気持ちさえあれば…いいなぁ
うとんたさんの「ふれあい」とはまた違った形のスキンシップですね(笑)
澪ちゃん可愛かったです☆
>北一色『ONE英雄伝説W』
ペーさん博識ですねぇ(汗)めちゃめちゃ勉強になります。
どうやら本格的なスペースオペラと化してきましたね♪田中●樹もびっくりだよ
しかし、反乱軍の旗艦名って悪人ばっか(ビリーは好きだなぁ、ヤングガンは最高でした)
しかし…この調子じゃあナガモリ、浩平をかばって暗殺されたりするのかな?
>いけだものさん 『いざっ お見舞いへ(後編)』
感想ありがとうございます。…私はまだ全然若いんですけどね(笑…大学生)何故か知ってるんです。もちろん港のよ〜こ♪も知ってますよ(笑)
…さて、感想・。
らぶらぶ〜(笑)ごちそうさまです
オチもきちんちとつきましたね。茜ちゃんの出番が少なかったけどね
>狂絶炉さん『ずるいみずか』
はじめましてです。
う〜…だから永遠の世界から帰ってくるのに1年もかかったのか(笑)
策士やなぁ
>うとんたさん 『おねおね動物ランド 2ND』
着ぐるみなどではない!中に人などいないんです。
浦安にいるあの巨大ネズミ(生理的にあいつら大ッ嫌い)はああいう生き物なんです!
…東京ディ●ニーランドに電話に電話したらそう答えるそうですよ(笑)
<その時…奇跡が起こった!>
「……………SSSSSSSSS!!!!」
「わあ!」
「雀バル雀!ふっかーーーつ!!」
「…良かった……よかったよ〜」
「ははは!泣くなポニ子」
「『ポニ子』じゃ……ないもん!」
<続く>
(追伸…『ポニ子ファンクラブ』会員大募集!申しこみは↓で)http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8321