一発劇場!2 投稿者: 雀バル雀
とても幸せだった・・・
それが日常である事を、時々忘れてしまうほどだった。
そして、ふと感謝する。
ありがとう、と。
そんな幸せな日常に。
水溜りを書けぬけ、そのはねた泥が体につくことだって、それは幸せのかけらの一部だった。
永遠に続くと思っていた。
ずっと水溜りで跳ね回っていられると思っていた。
でも壊れるのは一瞬だった。
永遠なんて、なかったんだ。
知らなかった。そんな、悲しい事を知らなかった。
知らなかったんだ・・・。   

 『激空間プロ野球!』

<放課後・・・教室にて・・>

「ひどいよ七瀬さん!・・・こんな人だなんて思わなかったよ!ううう・・・」
「あたしだって!見損なったわ、瑞佳!」
「二人とも、なにを言い争っているんだ?」
「温厚な長森さんがここまで激高するなんて・・・どうしたの?」
「ううう・・・住井君・・南君・・聞いてよ、七瀬さんたら・・・『今年こそ阪神が優勝よ!』なんて言うんだもん」
「はあ?」
「それのどこが酷いんだ?」
「分からないの?・・・・仙一は今年に全てをかけているんだよ!それを・・」
「ふん!いまどき熱血きどってて馬鹿じゃない?所詮野球は頭脳なの。・・・それにくらべたら我が阪神の野村IDの近代的なコト。」
「馬鹿はそっちだもん。監督が変わったぐらいであのダメ球団が強くなるわけないもん!」
「きいい!言ったわねぇ。ローカル球団の分際で!」
「なによ!そっちだって大阪って言うけど、神戸のはずれじゃないのよ!」
「まあまあ落ち着いて二人とも・・・しょせんどっちも地方球団なんだし・・・」
「そうそう」
「なんですってえ!」
「違うもん!名古屋は日本では地方だけど、世界の中心なんだよ!」
「・・・っていわれても・・なあ、南?」
「そうそう・・・目くそ鼻くそを笑うってヤツだな」
「なにいい!!じゃあ、あんた達は何処のファンなのよ?」
「よくぞ訊いてくれました。日本の首都東京のさらに中心、神宮の杜が野球の聖地!神宮球場を本拠地とするは我らがヤクルトスワローズ!!」
「・・・・ださあ・・」
「・・・・いまどきヤクルトは無いわよ〜〜」
「な、なんだと!」
「住井・・・俺もそう思う・・・」
「南ぃ〜てめえ・・じゃあ、お前はどこのファンなんだ?」
「ふふふ・・・聞いて驚くな、日ハムだ〜〜!!」
「地味すぎ〜〜〜!!!」
「しっ、しっ、パリーグに用はないの」
「お前らしいといえばそうだがな・・・。本拠地だって無いし・・・」
「そ、それを言うなぁ〜〜!!ヤクルトだって神宮借りているだけじゃあねぇか!六大学野球のほう、優先されてたくせに」
「それは昔の話だ!・・・そういう事は、毎年高校野球で締め出されている阪神に言ってやれ!」
「きいい!人が気にしている事をズバリと〜」
「ははは・・・しょせんはヤドカリだもん。そこいくと、ドラゴンズは素晴らしいドーム球場だもん」
「雨漏りするぐらい、素晴らしいドーム球場だよな」
「う〜・・違うもん!」
「だいたいマスコットからしてへぼいのよ。なぁに?あの皮膚病の青いコアラ・・・確か『ドアラ』よね?きゃははは!」
「そっちだって!トラッキーの背番号『1985』ってなによ!いまだにあの時の夢が忘れられないなんて、阪神ファンも愚かだもん。だからグリーンウェルなんてバッタもん掴まされるんだよ!」
「あと、パウエルとか大豊とか」
「ぐはあ!・・・い、言ったわねぇ!」
「住井君!パウちゃんをグリーンウェルなんかと一緒にしないでよ!3年連続首位打者だったんだよ!たとえチャンスにものすごく弱くても・・・守備が下手でも・・・パウちゃんが怪我から回復するまで待ってやれなかった吉田監督が全部悪いんだよ!」
「ムッシュの悪口を言わないで!だいたい中日から来た選手に使えたヤツなんていないじゃない!コールズとか・・・・へぼいのばっかりで。久慈と関川返しなさいよ!」
「醜い争いです・・・・」
「え!?」
「さ、里村さん・・・?」
「・・・選手を自分のチームで育成せずに、安易なトレードで戦力を強化しようとするからそんな目に遭うのです」
「そ、それは・・・」
「正論だもん・・・」
「・・・・それに今年も横浜の連覇はカタイです・・。あきらめたほうがいいです。ヘタに希望をもつとダメージが大きいですよ」
「なんですって!」
「去年は運が良かっただけだもん!・・・佐々木さえいなければ・・・」
「それにしても、ベイスターズファンなんて意外にミーハーなんだな。」
「・・・私は古葉監督の頃からのファンです。」
「と言う事は、大洋ホエールズの頃から・・・」
「はい。・・・ポンセの髭が好きでした」
『懐かしいの』
「あら、澪ちゃん」
『あの頃のカープは強かったの。衣笠、山本浩二、北別府・・・・凄かったの』
「澪ちゃん幾つよ?」
「カープねぇ・・・あそこ、なんか貧乏くさいのよねぇ。」

ばん!<机を叩く音>

『ワレ、カープを馬鹿にするのかコラァ!どこが貧乏くさいんじゃけ!』
「わあ!み、澪ちゃんがキレたよ〜」
「だ、だってホントの事じゃない・・。広島市民球場・・・トイレ臭いし。キャンプだってコザ運動公園でしょう」
『お、おんどりゃあ!カープファン敵に回して無事に済むと思うな!!』

ばしん!<スケッチブックで殴る音>

「うがあ!・・・やったわねー!!」
『やったるわい!、このクソ七瀬!』
「でも、確かにコザの市営球場はボロイもん・・・。ちなみに中日のキャンプは新築の北谷サンセット球場だし、ホテルもムーンビーチだけど。 」
『やかましいわい!その代わり、二軍は宿泊費をケチって*ー*ルホテルだろうが!あんな汚い宿、いまどき使っているのは中日ぐらいじゃあ!』
「あ、あれはハングリー教育の一環なんだよ!予算が足りないからじゃないもん」
「なんか楽しそうだね」
「あれ?こんどはみさき先輩だ」
「・・・みさき・・・この険悪な空気のどこから『楽しい』なんて・・・」
「深山先輩もですか・・・」
「そうだ!二人は好きな野球チームってあります?」
「う〜〜ん・・・あるよ」
「私も・・まあ・・あるわね・・・」
「どこですか?ヤクルト?」
「まさか・・日ハムですよね?」
「ははは・・・違うよ。私が好きなのはダイエーだよ」

「え?」

「・・・・・?どうしたの、雪ちゃん?」
「み、みさき・・・それ本気で言ってたの・・・・どうして・・・どうしてダイエーなんて・・」
「え?え?・・・雪ちゃん・・・雪ちゃんもダイエーファンじゃなかったの?だって昔は・・・」
「・・・・南海が身売りした時・・・私は近鉄ファンに・・・・」
「そんな・・・どうして!?どうしてよ?」
「みさき・・・私は大阪で生まれた女・・・福岡なんて・・・耐えられなかった・・・だから・・」
「嘘!・・だって・・・だって雪ちゃん・・」
「・・・・・・」
「唯の一度だって・・・大阪弁で話した事・・・ないもの・・」
「・・・・・・」
「どうしてそんな嘘をつくの?」
「・・・・だって・・・あのヘルメットのデザイン・・・許せなかったもの」
「そんな!・・・あんなにカッコ良かったのに・・・」

「・・・確かに『ガッチャマン』みたいでダサかったわね・・・あのヘルメット」
「私もそう思うよ・・・七瀬さん」

「ひどいよ雪ちゃん!友達だと思っていたのに!・・・・ううう・・・」
「ごめんね・・みさき。」
「ううう・・・うわああん!!どうしてみんな・・・そんなに王ちゃんが嫌いなの!?」
「いや、別に王監督は関係無・・・」
「世界の王ちゃんなのにぃ・・・みんなどうして王ちゃんを嫌がるの?ううう・・・」
「ごめんね・・・でも、王監督では優勝は無理・・・」

ばしい!

「・・・みさき」
「雪ちゃんの馬鹿!もう知らない!大嫌いよ!」

「・・・でも、私も王さんでは優勝は無理だと思います・・・」
「里村さん・・・。実は私も・・・」
『無理なの』
「岩鬼を一番に起用しているようじゃなあ・・」
「あぶさんもそろそろ引退だろうし」

「ううう・・・みんなひどいよ〜・・・」

「あらら・・・みさき先輩泣いちゃった・・・・って!ぎゃあああああ!!!」
「みゅー♪」
「髪ぃ!!・・あたしの髪があ!ま、繭、やめなさい!!」
「みゅー♪」
「そうだ!繭の好きな球団はどこ?もちろん、ドラゴンズだよね?」
「いたたた!!ち、違うわよ!繭はたぶんトラキチ・・・って、ぎゃああ!髪引っ張らないで〜!」
「いやいや、ヤクルトだと思うぞ」
「馬鹿を言うな!日ハムだよな?」
「・・・・ベイスターズです」
『カープなの』
「ううう〜〜王ちゃ〜ん!!」
「近鉄かも?」

ふるふる

「・・・・らいおんず・・・」
「せ、西武〜!!」
「松坂フィーバーがこんなところにまで・・・」

ふるふる

「・・・豊田と中西が好き・・・」
「西鉄かい!!」
「繭・・・なんでそんなの知ってるのよ?」
「やっほー!遊びにきたよ」
「詩子・・・また来たんですか」
「そうだ、柚木さんは好きな球団ってある?」
「日ハムだよね?」
「違うもん!きっとドラゴンズだよ」
「え?みんなおかしなコト訊くね?・・・私野球なんて興味ないよ」
「・・・・隠さなくてもいいです。詩子はロッテファンです」
「あ、茜〜!!・・・・うう詩子ちゃんの可憐なイメージがぁ」
「そうかぁ?結構似合っている気が・・・」

「みんな、集まって何話してんだよ?」
「浩平!・・・浩平はもちろん竜党だよね?」
「何言ってるの!折原は阪神ファンに決まっているでしょ!」
「折原〜!・・・俺達は友達、スワローズファン同志だろ?」
「馬鹿を言うな!折原こそ日ハムファンに決まっている!」
「・・・浩平・・・ベイスターズですよね?」
『違うの!カープなの!』
「ううう〜〜・・・・ホークスだよね?」
「近鉄よ・・・・きっと」
「ロッテじゃないわよね・・・」
「みゅー?」

「はあ?・・・・・・あはははははは!!」
「浩平?」
「何がおかしいのよ!?」
「ははは・・・だって、野球っていったらジャイアンツにきまってるだろ?」

「え?」

「昔から言うだろ、『野球は巨人、司会は巨泉、男は浩平』って。巨人以外の十一球団なんて、おまけ。まあ、『刺身のツマ』ってやつか・・・・あはははははは・・・・あれ?みんなどうした?」


「折原・・・・正直幻滅したわ・・・」
「へ?」
「そっか・・浩平って・・巨人ファンだったんだね・・・」
「え?え?どうしたんだよ二人とも?」
「茜・・・この人知り合い?」
「いいえ。・・・・浩平・・・貴方の事は忘れます・・・さようなら」
「あ、茜〜!詩子〜!何処行くんだよ!」

「折原、今度逢っても他人のフリしててよね!」
「な、七瀬まで〜!」

『見損なったの』
「み、澪!・・・俺、何か悪い事したのか?」

「浩平君・・・冗談だよね?」
「みさき・・。所詮コイツはそういう男だったのよ!さ、行こ?」
「雪ちゃん・・・うん」
「み、みさき先輩〜!!」

「南、これから俺の家でゲームでもしないか?パワプロの新しいヤツ買ったんだ」
「おう、住井。早く行こうぜ」
「お、おい。お前ら・・・・俺を無視するな?」
「・・・あいつ誰か知ってる?」
「いいや・・・」
「そんな〜〜!!」

「・・・・浩平・・・」
「長森ぃ・・・お前もなのか?」
「・・・・・・・・」
「なあ?」
「・・・・・・・・・」
「『はあ〜』してくれよ〜!『はあ〜』して・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・まさか・・・」
「ごめんね・・・私、巨人だけはダメなんだ・・。さよなら!!」
「長森〜〜!!」

「・・みゅー・・・」
「繭!・・・お前は・・・お前だけは違うよな?」
ふるふる
「・・・・・・」

とたとた・・・


壊れるなんて一瞬だった・・・
永遠なんて・・・無かったんだ・・・


「・・・たかが野球じゃねぇか・・・」

   <おわり>

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「こんばんはです、雀バル雀です。そして・・・・」
「『長森ラストシーンで外を眺めている青髪ポニーテール美少女で〜す。はあ・・・」
「どうしたポニ子?沖田浩之自殺がそんなにショックか?」
「『ポニ子』じゃないもん!・・・・あのさあ確か『一発劇場』って・・・」
「そう!俺が高校の頃書いていたバカSSシリーズだ!一発ネタで強引に書き上げるのがネーミングの由来だよ」
「安直ねぇ・・・それにしても、何故野球?」
「球春到来だからな・・・それを記念して、ね。」
「・・・・ば〜か。」
「まあ、濃いネタばっかり使っているからなぁ、ついて来れない人も多いかも・・・それでは感想です」
>はにゃまろさん『おかし戦記3』
「ぐあっはっはー!こいつは面白いや!みさき団長最高ッスよ!」
「ホント、やなせたかしもビックリね。続きが楽しみ〜♪」
>GOMIMUSIさん『D・S』
「くぅ〜っ・・・かっこいいなぁ。活劇って書くの難しいはずなのに・・・上手だなぁ・・・」
「壮大なお話ですね。中盤のミスティとジュールの対決のシーンは鳥肌モノでした。こちらも続きが楽しみ〜♪」
>火消しの風さん『剣術修行』
「舞台背景などは、まだ全然理解できてないのですが・・・なんかすごいお話になりそう」
「七瀬に挑む挑戦者達の目的とは?・・・続き、楽しみにしてま〜す」
>バルさん『素朴な疑問』
「ほのぼのとしてイイですねぇ・・。こういう雰囲気、好きです」
「『お話、聞きたいの』っていう澪の台詞、可愛らしいですね」
>PELSONAさん『信じるかは・・・』
「た、大変だア・・・早くメールを出さなきゃ!」
「本気にしないでよ・・・・え!?ほ、ホントにメールが?嘘ー!!<←嘘です>」
  『PS版ONEに・・・』
「うははははは!!爆笑〜!!南君哀れだ〜!!」
「・・・あのさ、南君って誰?」
「クラスメートの名前くらい覚えておけ」
>神凪さん『アルテミス』
「・・・・うむう。」
「『セイレーン』の正体はあんたの予想どうりだったわね・・」
「・・・うむ」
「どうする・・・続き、読みたい?」
「読みたい!・・・私は読みたいではあるがなぁ・・・・他の人がどう思うかまでは分からんからな・・」
「しかし、スゴイ話だよねぇ」
「うん。・・・・暗い話はある意味書いていて面白いのだがな、自制していかないと歯止めが効かなくなることがあるんだ。・・・神凪さんも苦悩しているみたいだなぁ・・」
「あんたのは暗い話というよりエログロじゃないの?」
「誤解されるようなコト言うなよ!・・・でも、昔個人で書いていたヤツは確かに、な・・・」
「あと、*ンパンマンの替え歌、笑わせてもらいました」

「WILYOUさんの『空白』面白かったなァ・・・でも、お別れみたいですね」
「残念です。短い間でしたが、いろいろとありがとうございました」

「・・・今回はこんなトコロかな。」
「そういえば、あの『うらごろし』・・続ける気なの?」
「う〜ん・・・続けてみたいのはやまやまなんだがなぁ・・・その場合はいろいろと設定を加えなければならんし・・・」
「今、HP開設準備でけっこう忙しいもんねぇ・・・」
「そうなのだ。・・・次回は多分『茜草記外伝』か『アレ』だと思います・・・」
「『アレ』はやめようよ〜・・・・みっともないから」
「うるさい。私が書いていて楽しければいいのだよ!・・・・それじゃあ、また次回に・・」
「さよなら〜」
<*追記…さて、私.雀バル雀は何処のファンでしょう?……正解の方には……う〜ん、どうしよう?……なんか特典があるかも・…読んでくださってありがとうです!それでは!>