茜草記 投稿者: 雀バル雀
 四.

(どうして私は生きてるの・・・・?)

ざわざわざわ・・・
(「落ち武者じゃ・・・哀れよのぅ・・・」)
(「まだ若いのに・・・南無阿弥陀仏・・・南無阿弥陀仏・・・」)

(どうして私だけ生きてるの・・・・・?)

「そんなに磔が珍しいのか?」
「・・・・・・・」

(どうして?)

「敗者は死罪・・・戦国の世の習いだ」
「・・・・・・・」

(みんな死んだのに・・・)

ざわざわざわ・・・
(「可哀相にのぅ・・・まこと侍とは因果なモノよ」)
(「おお・・・見よ・・・あの恨めしそうな瞳・・・」)

(やめて・・・そんな目で見ないで・・・)

「・・・・・・茜・・・」
「・・・・・・・・」

(ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・)

ぐさあ!
「うがああああ!!」

ざわざわざ・・・・
(「きゃああ!!」)
(「ひゃひゃひゃ・・・いいぞ!いいぞ!もっとやれ!」)
(「・・・・可哀相に・・・せめて一思いに殺してやればよいものを・・・」)

(ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・)

ぐさあ!
「うがああ!!・・・た、たのむ・・・はやく殺して・・・ぐあああ・・・」

「・・・・・・いくぞ・・・」
「・・・・はい・・・・」

  五.

「この街も焼けちまったんだな・・・茜?」
「・・・・・・」
「・・・・そうか、お前の故郷も・・・・・」
「・・・はい・・・・あら?」
ばたばたばた・・
「お腹すいた〜」
『恵んで欲しいの』
「・・・・行こうぜ、茜」
「浩平・・・この二人を見捨てるのですか?」
「いちいち物乞いなんぞに構ってたら、キリがない。この時勢、飢えた人間などごまんといる」
「はう〜・・おなかすいたよー」
『お願いなの』
「行くぞ!茜」
「・・・・嫌です」
「・・・勝手にしろ。・・・・だがな、施せるのは一人だけだぞ。それだけしか余裕がないのだからな」
「・・・そんな・・・・」
「選べよ、茜。盲目の女か、唖の女、・・・それとも二人に分けるのか」
「・・・・・・」
「う〜〜ごはん〜〜」
『助けて欲しいの』

(半分にするには少なすぎるし・・・唖の女の子なら自力で生きていけるかもしれないけど・・・・盲目の彼女はおそらく・・・・)

「決めたのか?」
「・・・・はい」

<数日後・・・>

「どうして・・・」
「・・・・・・・」

茜は盲目の女に施しを与えた。だが、その女は異常な程大食いで、結局二人とも飢え死にしてしまった。

「どうして・・・」
「もう気にするな。どうあがいたところで、あの二人が飢え死にするコトは目に見えていたんだ」
「・・・・・・・」
「あれっぽっちの食料じゃ、死期が数日延びただけにすぎないだろうよ。茜が気に病む必要なんてないんだ」
「・・・・・もう1つあったんですよね、選択肢・・・・たぶんそれが・・・・」

(二人とも見捨てる・・・・そうすれば食料も無駄にならない・・・)

「選べたのか?」
「・・・・浩平はそっちを選んだんですよね・・・・・」
「・・・・・・・」
「私・・・・・どうして・・・・どうして・・・・」
「・・・・・・・」

<その日の夜・・・>

「茜・・・・いいかげん寝ろ。明日はこの街をはなれるんだぞ!」
「・・・・・・」
「茜・・・・」
「・・・・・・浩平・・・選択肢、もう1つあったんですよね・・・・」

(自分達の分の食料も与える・・・・・)

「そしたら・・・そしたら・・・・」
「死んだろうよ。・・・あの二人も・・・俺達も・・・」
「でも!」
「もうそんな下らん事考えるな!済んだ事だろ!」
「・・・・・・どうして・・・・なんでみんな・・・」
「・・・・・・・」
「・・・詩子は・・・私の身代わりになりました・・・詩子だけじゃない・・・城のみんなも・・・街の人たちもみんな・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・どうして・・・どうして私だけ生きてるの?・・・・みんな死んだのに・・・どうして?」
「・・・・・・・」
「そうです・・・・どうして私だけ・・・里村の血を残すため?・・・・違う」
「・・・・・・・」
「私が生きたかっから・・・だから見捨てたんです、詩子も、みんなも・・・・あの二人も」
「・・・・・・・」
「・・・・・本当は私が死ぬべきだった・・・・そうですよね、浩平?」
「・・・・・・・」
「・・・・・・そうですよね?・・・だって折原家だって里村が・・・・」
「いいかげんにしろ!!」

ぱしーん!

「・・・・浩平?」
「ああそうさ。全部お前が悪いんだよ、茜!あの二人が死んだのも、里村家が滅んだのも、折原家が滅んだのも、日の本で戦乱が絶えないのも、全部お前が生きてるからだよ!・・・・・・これで気が済んだか?」
「・・・・・・・・」
「もう一発殴って欲しいのか?」
「・・嫌です」
「・・・・もう寝ろ、明日は早いぞ・・・・」
「はい」
 
 六 

<その日の夜半・・・>

「・・・さ・・お・・」
「・・・・・おい!?・・・・みさおおおおお!!!」

がばっ!

(・・・夢?・・・なんで・・いまさら・・・・?)

すー すー すー・・・・・・

(・・・・さっきのことがあったからか?・・・)

すー すー すー・・・・・・

(何故なんだ・・・?)

すー すー すー・・・・・・

(何故俺はあんなことを言ったんだ?・・・・俺は・・・)

すー すー すー・・・・・・

(こいつが苦しむのを見たかったんじゃないのか?・・・それが望みじゃなかったのか?)

すー すー すー・・・・・・

(そうだ!・・・それが俺の復讐・・・なのに・・・・)

すー すー すー・・・・・・

(・・・・・どうしてそんな安らかな顔で眠れるんだよ・・・)

すー すー すー・・・・・・

(・・・・俺はこんなに苦しんでいるのに・・・・こいつの・・・里村のために・・・・)

すー すー すー・・・・・・

(・・・・・・・・・・・)

すー すー すー・・・・・・

がばあ!

(・・・・そうだ・・・こいつは里村の・・・里村の!・・・・くそっ!)

すー すー すー・・・・・・ん?

「浩平・・・・何を・・・?・・・・・え?」

どさあ!

「・・・・浩平・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・あ・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・何故だ?」

「・・・・・・・・・」

「何故、なにも言わない・・・・」

「・・・・・・・・・」

「何で抵抗しないんだよ!・・・・・嫌だろ?・・・」
「浩平・・・」
「・・・・こんな男なんだよ俺は!・・あの時・・お前を慰みモノにする気で助けたんだよ!」
「・・・嘘です」
「嘘じゃねえ!里村の姫様を・・・・行き場の無いお前を陵辱するために・・・・お前を襲っていた野盗どもと同じなんだよ!」

「・・・・嘘です・・・・だって・・・・」

「・・・・・・・・・」

「浩平・・・・泣いてます」

「・・・・・・・・」

(俺が・・・泣いてる・・・?)

「浩平・・・・ごめんなさい・・・里村のせいなんですよね・・」
「・・・・・違う・・・」

(そうか・・・俺はホントは・・・)

「こんなことで許してもらえるなんて・・・思ってないですけど・・」

(復讐なんて・・・もうどうでもよかったんだ・・)

「茜・・・ごめんな」
「どうして浩平が謝るんですか?」
「謝りたかったからだ」

(寂しかったんだよ・・・・同じ境遇の人間を失いたくなかったんだ・・・)

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」

「・・・・いいのか?茜・・・」
「私は嫌だったら、そう言います」
「ふん・・・里村の姫君ともあろうものが、野合とはな」
「・・里村はもう滅んだのです。・・・・やめますか?」
「やる!!」


刈薦の 一重を敷きて さ寝れども
 君とし寝れば 寒けくもなし

    <つづく>
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「こんにちはです、雀バル雀です。そして・・・」
「『長森ラストシーンで外眺めている青髪ポニーテール美少女』です。はあ・・」
「どうしたポニ子?千代大海連敗がそんなにショックか?」
「ポニ子じゃないもん!・・・・ホントにスランプみたいだねぇ・・」
「うう〜・・言い訳はしません。展開に無理がありすぎです。こんなの茜じゃないですよね・・・はあ・・いつも偉そうなコトばかり言ってるクセに・・・」
「・・・やっと自分の未熟さが理解できたみたいね・・。精進なさい」
「はい。・・・それでは感想です・・」
>いけだものさん『めざまし』
「ラストの茜の台詞がもえもえで最高です。はう〜〜」
「里村さんみたいなカワイイ娘に起こしてもらえるなら、あんたも寝坊しないのにね」
>ひささん『終らない休日』
「うわあ、こんないいところで『つづく』とは!・・気になる〜」
「猫ちゃんの飼主は果たして誰なのか?・・・あたしの予想では多分・・」
>ニュー偽善者Rさん『乙女鑑定人』
「ぐわああ!!緒トメさんのセーラー服姿を想像してしまったぁ!」
「ダメ〜ジ大。・・・しかし乙女の道も奥が深いわねぇ・・」
>てやくのさん『世界永遠滞在気』
「はじめましてです。・・・オチが全く読めませんでした(笑)」
「なんか続きそうな気が・・・ところで『瓜子姫』って何ですか?」
>WILYOUさん『空白』
「おお、そういうお話だったのですか・・・うん。面白い」
「でも『浩平』くん・・・なんだかカワイソ。長森さんも辛そうだし・・しかし住井君は何処でそんな技術を?ロケットパンチまでつけちゃったみたいだし」
「それにC子もみのさんに何を相談したのだろう?(笑)続き、楽しみにしてます」

「ん〜〜・・なんか壁にぶつかってるみたいね。この書き方もそろそろ限界じゃないの?」
「うむう・・・確かに上手くいかないなぁ・・まるで今場所の若乃花だ・・」
「他の人のSSをもっと参考にしてみたら?勉強になるよ」
「はい!頑張ります。・・・それでは今回はこのへんで」
「さよなら!」