一窮さん そのニ 投稿者: 雀バル雀
時は戦国・・・
童ありき 名は折原浩平 
その童 やんごとなき出自なれど 家を失い氏も絶えん
故に 仏門に帰依す
童 後の世に聞こえし 一窮禅師 浩平なり

  『さらばだよもん・・・長森最後の日?、の巻』

<深夜・・・・・>

「みさおーーーー!!!」

がばあ!

はあはあはあ・・・・

「・・・・・夢か?・・・・ったく、・・・・もう一回寝よう」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・もう!・・・目が冴えて眠れやしねぇ。退屈だし・・・・しゃあない・・・長森、起きろ!」

ぐうぐうぐうぐう・・・・

「・・・ちっ!・・・オイコラ、起きろ!」

ゆさゆさ・・・

「う〜ん・・・・ひどいよ一窮・・・・どうして意地悪ばかりするの・・・・・」
「・・・・・生意気にも俺様の夢を見ているのか・・・・」
「ぐ〜〜・・・・屁理屈ばかり言って・・・・違うもん・・・・そんなんじゃないもん・・・」
「・・・・夢の中まで俺様に苛められるとは・・・・つくづく・・・哀れなヤツ・・・・」
「ぐ〜〜・・・ん〜〜・・・一窮〜〜・・・・」
「・・・・・・・・・・(しかし・・・・カワイイ寝顔だなぁ・・・長森のくせに)」
「ぐ〜〜・・・・すぴ〜〜〜・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・ぐ〜〜〜」
「・・・・ハッ!・・いかんいかん!コイツに欲情するなんて、俺様のプライドが許さん。・・・・変な気を起こす前に便所にでも行こう」

とたとたとた・・・がら

<数分後・・・・七瀬和尚の部屋の前にて>

「ふう〜・・・・すっきりした。・・・ん?・・・・和尚、まだ起きてるのか?」

ぴちゃぴちゃぴちゃ・・・・・

「ん?・・・・何の音だ」

ぴちゃぴちゃぴちゃ・・・・・

「何か、ねちゃねちゃとした音が・・・・・まさか!」

<一窮の想像・・・>

うふふ・・・今夜のあたしはHな気分。
若い子達に囲まれて、欲情しないほうが不自然よ。
やだ・・・なんか火照ってる・・・・やん・・・・ダメ・・・・気持ちイイ・・
彼の事を・・・一窮のコトを考えると指が勝手に・・・あん・・・一窮・・・・濡れてきちゃった・・・


「そうか・・・・和尚が俺に冷たくあたるのも、実は愛情の裏返しなんだ。ふふふ・・・カワイイ奴。どれ・・そのあられもない姿を、あこがれの俺様が覗いてやろう・・・うしし・・・」

プス (障子に穴を開ける)

ぴちゃぴちゃぴちゃ・・・・・

(「ああ・・・美味しい・・・・・・甘いものを夜中に食べるって最高よね・・・・」)

「なんだ・・・水あめを舐めてるのか。・・・・寝る前にそんなもの食べてたら太るぞ、和尚」

ぴちゃぴちゃぴちゃ・・・・・

(「・・・しかし、小僧どもには見つからないようにしなくっちゃ。・・・・特にあの一窮に見つかったらえらいコトに・・」)

がらっ

「何がえらいコトなんですか、和尚?」
「ひい!・・・・い、一窮!?・・・・何故あんたがココに・・・・」
「和尚・・・独り占めはよくないっスよ。・・・・・みんなには黙っててやるから、俺にも水あめ食わせてくれよ」
「『水あめ』?・・・・さ、さあ、なんのこと?」
「・・・和尚が背中に隠しているソレだよ。とぼけても無駄だって」
「こ、これはね・・・・そう・・・そうよ、お薬よ。昔痛めた腰の痛みが酷くって・・・」
「ふ〜ん。・・・・俺も貰っていいか?毎日和尚に殴られている頭が痛むんで」
「だめだめだめだめだーめ。これは子供には強すぎて毒になるの!ヘタしたら死んじゃうんだから・・・・それより、もう寝なさい。明日も早いのよ」
「え〜〜そんな〜〜〜」
「ほら、はやく部屋に帰りなさい。・・・・明日も寝坊したら、かんべんしないからね」
「ちぇ・・・(ヘタな嘘だな・・・・まあいいさ。また機会があるだろう)」

<数日後・・・>

ご〜ん(鐘の音)

「・・・それじゃあ、法事に行ってくるわね。くれぐれも留守を頼むわよ・・・・特に一窮、またバカなことするんじゃないわよ」
「そんなに信用おけないのか、俺は?」
「もちろんよ!・・・・それから、私の部屋にある人形は大切なモノだからね。絶対に触らない事!・・・なにかあったらぶっ殺すわよ」
「御仏に仕える者とは思えない台詞ですね・・・」
「あたしだって言いたかないわよ。はあ〜・・あんた達みたいな問題児を抱えてなければ、私も菩薩のような僧侶でいられるのにぃ・・・・・じゃあね」

がちゃん

「いってらっしゃ〜い」
「いってらっしゃい」
『気をつけてなの』
「もう戻ってくるなよ〜〜!・・・・・ふふふ・・・晩までは戻ってこないみたいだし。鬼のいぬまに洗濯だー!」
「だめだよ、一窮。お掃除しなきゃ」
「ううう〜持病のシャクが〜〜・・・・長森、俺は休んでるから後頼むぜ」
「ちょ、ちょっと〜〜」
「おなかかが痛いんだよね?・・・じゃあ一窮君のお昼、私が食べちゃおっと。・・・いいよね?」
「・・・・分かったよ・・・掃除すりゃあイイんでしょ?・・・(みさき先輩には敵わないなぁ)」
『がんばるの』
「ふふふ・・・みんな、お掃除がんばろうね」

<数十分後・・・・>

「いくぞ〜〜長森!一窮ドライバー99’だ〜〜!!」
「きゃあああ!!!やめて〜〜〜〜!!」

どかん

「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・長森?」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・おい?・・・・長森〜〜!!・・・・まさか!?」
「・・・・・・・・・・・・」 <←ぴくり、とも動かない・・・>
「・・・・一窮君が、殺した〜〜」
「こ、これは事故なんだ!みさき先輩・・・たのむ!誰にも話さないでくれ!・・・昼飯おごるから」
「でも、死体はどうするの?」
「なんとか自然死に見せかけるんだ。・・・・そうだ!階段から転げ落ちたということで」
「この寺、階段無いでしょ」
「・・・・・なら屋根から転げ落ちたということで・・」
「それも不自然だよ・・・・いっそのコト誰かに罪をなすりつけるとか」
「みさき先輩・・・いくらなんでもそれはちょっと・・・」
「冗談だよ。・・・・・でもどうする気?検非違使に自首する?」
「う〜〜〜ん(こんなことで人生捨てたくないしなぁ。・・・・裏山にでも捨てるか)」

どしん!・・・・どかどかどかどか・・・・

「きゃあ」
「こ、今度はなんだ?」
「・・・・七瀬和尚の部屋よ。一窮君、行ってみよう」

<七瀬和尚の部屋・・・>

「・・・うわああ何?、この部屋・・・澪、どうしたんだ?」
えぐえぐ
「澪ちゃん泣かないで。・・・何があったの?」
えぐえぐ
『あのね』
「うんうん」
『あのね』
「だから何だよ!」
「落ち着いて、澪ちゃん。・・・お掃除してたんだよね?」
こくこく
『がんばったの』
「・・・それで・・・・どうしてこんなに部屋が散らかってるんだ?」
『棚を拭いてたら、倒れちゃったの』
「あ〜あ〜・・・こりゃ片付け大変だな・・・・・・・ん?・・・み、澪!・・・その人形は!」
『壊れちゃったの』
「それで泣いていたんだ?」
こくこく・・・えぐえぐ
「浩平君・・・・どうしよう?」
「う〜〜ん・・・こうなったらしかたがない」

一窮さんピンチ!
長森は死ぬわ人形は壊れるわ・・・・・追い詰められた一窮さん!
七瀬和尚帰還まであと数刻。
だが、僕ら一窮さんは慌てない。こんな時こそ「あれ」がある!
そう、・・・『屁理屈』だ!!

ぽくぽくぽくぽく・・・・・・・ち〜ん!<ひらめいた!>

「・・・・みさき先輩・・・・澪・・・覚悟を決めてくれ!」
『何をなの?』
「私は関係無いよ〜〜」
「ここまでした以上、和尚が無事で済ますとは思えない。殺されるぐらいならいっそ・・・」
『自殺なんて嫌なの』
「私は関係無いよ〜〜」
「そんなバカなコトするかよ!・・・昔の人は言いました、『毒食らわば皿まで』!人間開き直りが大切だよ、な?二人とも」
『どうするの』
「私は関係無いよ〜〜」
「まあ見てなって!」

<数分後・・・>

ずりずりずり・・・

「うんしょ、よいしょっと・・・ふう・・・けっこう重いなコイツ」
「それって・・・・長森さんの死体?・・・・一窮君、何をする気?」
『嘘・・死んでるの・・』
「ふふふ・・・バカと長森は使いよう。・・・・こうするんだよ!・・・『こんな人形なんかぶっ壊してやるもん!』」

びき ばき びり

「わあ!何するんだ長森?・・『うるさいもん!一窮止めないで欲しいもん!ついでに和尚の部屋もぶっ壊してやるもん!』」

どがし ぼき ばり がちゃん

「やめるんだぁ長森!・・・『嫌だもん!私の大事な一窮を殴る和尚なんて大嫌いだもん!・・・どうして邪魔するんだよ?』」

ぱしい・・・・どたん

「『一窮・・殴るなんて・・どうしてだよ・・』・・・バカ野郎!殴った俺だって痛いんだ!・・拳も・・・心もな。長森・・・なんてバカなことをしたんだ!・・・『だって・・・だって七瀬和尚も一窮のコトが・・・・私・・・一窮を取られたくないもん』・・・・・・・長森・・・・」

「・・・・長森さんに罪をなすりつける気なんだね・・・一窮君の長森さんの口真似、気色悪いよ〜〜」
『それに随分と都合のいい展開なの』

「『ごめんなさいだもん。・・・私一窮に嫌われたくないもん・・・・毒を飲んで死ぬわ!』・・・・・わあ!その壷は和尚が隠し持っていた薬じゃないか!やめろ!・・・・『さようならだよもん、一窮。・・・・今度生まれてくる時は猫に・・・・うぐう・・・』・・・・長森ぃ!?・・・・」

ばたん <←一窮に放り投げられた長森>

「ううう・・・バカヤロウ!俺なら二人とも平等に可愛がってやったのにぃ。・・・・・・・さあて、これで憂いは無くなったと♪」
「わあ!一窮君、悪党だよ!」
『ひどいの』
「ふふふ・・・済んだ事は仕方が無いぜ。それよりも水あめ食べようっと」
くんくん
「あ!・・・ホントに水あめの匂いだ。おいしそ〜」
『おいしそうなの』
「二人とも、一緒に食べようぜ。なあに・・・これも作戦のうちだ」
『食べるの』
「一窮君・・・・私馬鹿だから信じるよ」

<数刻後・・・・>

「おいしかったあ」
『全部食べちゃったの』
「旨かったなぁ・・・・(これで二人とも共犯者だな)。」
「でもホントに大丈夫なの・・・?」
「安心していいぜ・・・・あとは最後の仕上げだ」

かきかき

「『遺言だよ。七瀬和尚、ごめんなさいだもん。全部私が悪いんだよ、一窮達を叱らないで欲しいもん。毒を飲んで死ぬもん。・・・・・さよならだよもん。・・・遺産は全部一窮に譲ってほしいもん。  長森より』っと。・・・・・うむ。『だよ・もん』を織り交ぜた完璧な文章だ!ついでに猫のイラストでも描いとこっと・・・・これでよし!」


<それから・・・・・>

がらがら・・・

「ただいまーー!!あ〜〜つかれた。・・・お〜い、今帰ったわよ!」

どたどたどた・・・

「おかえりなさい」
「おかえりなさい、七瀬和尚」
『おかえりなの』

「ほら、おみやげの葬式まんじゅう。・・・・・ん?そういえば瑞佳はどうしたの?」

しーーーーん!

えぐえぐ
『死んじゃったの』
「・・・うぐ・・・責任を取るって言って・・・和尚の部屋にあった毒を飲んで・・・」
「長森のバカヤローー!!」

「はあ?・・・ちょっ・・・いったい何があったのよ!?」
「実は、和尚の部屋にあった人形をあいつの不注意で壊してしまって・・・・責任をとると言って毒を飲んで・・・・これが遺書です」
「・・・・・・・・・」
「あいつも馬鹿だよ・・・・なんでこんなことに・・・(ふふふ・・・これぞ完全犯罪 )<←いいえ、違います!長森の死因はどうなるの?>」
「・・・・・・・・・・」

ばあああこおおおんん!!!!

「ぐぎゃあああああ!!・・・和尚、な、なにするんですかあああ!!」
「・・・・瑞佳がこんな汚い字を書くわけがないでしょ!!これはどう見てもアンタの字だ!それに遺書にイラスト描く奴がどこにいる!」
「し、しまったーー!!盲点だったー!!」
「・・・・さあ、どういうことか、きちんと説明して頂戴。」
「ひ、ひいいい!!・・・お、俺だけじゃないんです。みさき先輩も澪も共犯なんだぁ!」
「澪ちゃん、今日私達お掃除さぼって遊びに行ってたんだよねー?」
『そうなの。アリバイ成立なの』
「ふ、二人とも!そんなのってないだろ!!水あめ三人で食ったじゃないか?」
「えっと・・・澪ちゃん、この人の言ってる意味分かる?」
ふるふる
『なんのことだかわからないの』
「ひ、ひどい!」
「『水あめ』?・・・・あんたアレ、本当に水あめだと思ってたの?確かに見た目も味もよく似ているけど・・・」
「へ?」

ごろごろごろ

「お、おなかが・・・・急に・・・・くるしいよ〜〜」
『イタイの・・・死にそうなの』
「ぎゃあああ!!!・・・うがあああ!!!!!」

<数時間後・・・・>

「あれ?・・・・私どうして・・・?・・・・うぐっ、アタマがずきずきするよ〜」
「目が覚めたみたいね、よかった。・・・ホントに死んじゃったかと思ったわよ」
「七瀬和尚・・・・私いったい?・・・それにみんなは?」
「・・・・三人ともなんとか一命だけは取り留めたみたい。・・・薬とはいえあれだけ食べればねぇ・・・ほとんど致死量よ」
「?みんなどうかしたのですか?」
「仏罰よ。・・・・あんな馬鹿どものことはほっときなさい!・・・・それよりもお茶にしましょう。おいしいお饅頭貰ったの」


哀れ一窮さん達・・・・。まあ、今回はさすがの御仏もお見捨てになったのも当然だ。一命があっただけでも、よしとせねばなるまい。
しかもあれは『屁理屈』というよりも犯罪だぞ!それに長森も可哀相だよ・・・・

     <つづく・・・・・かも>

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「こんばんはです、雀バル雀です。そして・・・・」
「『長森ラストシーンで外を眺めている青髪ポニーテール美少女で〜す。はあ・・・」
「どうしたポニ子?安室のかあちゃんが殺されたのがそんなにショックか?」
「うん。・・・・安室の実家って北谷のどこなんだろう?それになんで大宜味で事件が・・・・・って、それはおいといて」
「うむ。今回の『一窮さん』は前回のSSの前日談なんだ。壊れた人形が『主のぬいぐるみ』なのだよ」
「ふ〜ん。・・・しかし・・あいかわらず苦しい話だねぇ。それに今回の一窮さん、そうとうの悪人だよ」
「うむう。確かにな・・・・。『茜草記』のほうもとまどってるしなぁ、ちょっとスランプかもしれない」
「がんばりなさいよ。・・・それでは感想です!まずは・・」
>変身動物ポン太さん『輝け!男子人気投票』
「一位はシュン君ですか・・・・意外というか当然というか・・・」
「沢口くんも大健闘(笑)でしたね。・・・卒論との併行で書かれたそうで・・・お疲れ様です。」
>ひささん『終らない休日』
「浩平がこれから猫の面倒をみることになるんですか・・・どうなることやら」
「続きが楽しみです」
>神凪さん『アルテミス』
「うわー!今回の話、『やられた!』ってカンジ。遂に最初の犠牲者ですか・・・ハードな展開ですね。まだ登場していないキャラもどういう活躍をしてくれるのか?今後も要チェック!!あと、感想ありがとうございます。・・・・え?雀バル雀ですか?・・・・実は・・・」
「天上ウテナ!私は『世界の果て』を見たんだぁ!!!」
「・・・・だそうで・・・・いまだに『世界の殻』を破れてないみたいです。・・・・あと、メール送ったんですけど届かなかったみたいで・・・・どうしたんでしょう?----- The following addresses had permanent fatal errors -----とかでてるし。ごめんなさいです。」
「うおおお!!世界を革命する力をーーー!!!」

かしゃん!

「・・・・あら?負けちゃったみたい。所詮は黒薔薇のデュエリスだからねぇ〜〜それではまた次回です。さよなら!」
「・・・はっ?・・・俺はいったいなにを・・・・」