一発劇場!(ONE篇) 投稿者: 雀バル雀
『日曜スペシャル〜戦慄の計画!失踪事件の影に異性人が!?〜』

ちゃららら〜! ちゃららら〜! (←例のテーマ曲)

「神隠し」・・古来から人間がある日突然姿を消すと言う事件は珍しくは無い。
その多くは、遺体が発見されなかった事故や誘拐、あるいは自殺であろう。

しかし、ごくまれに、『その人間が存在したと言う事実』までもが消えるという恐るべき事件が起きていることが、最近の研究により明らかになった。
このような事件はすでに過去の資料にも書かれているという。
この恐るべき事実を最初に指摘したのは十九世紀のイギリスの作家L・H・オーソンである。
彼は自著『存在の揺らぎ』でこう述べている。
 
その話を聞いたのは、セゾンの村の古びた酒屋で出会った農夫の口からである。
ドミニクという男がいてな、陽気な男だったのじゃが奥さんを亡くしてからというもの酒に溺れてのう・・・・毎晩のようにこの店で飲んでおったわい・・。ところが、ある日を境にそいつは消えてしまったんじゃ。・・・そう、『消えてしまったんじゃよ』。その男がいた、という事実を皆忘れてしまったんじゃ。・・ならどうしてそれを覚えているのかって?簡単じゃ、思い出したんじゃよ。ある日突然のう・・・消えてしまった時のようにふっつりと現れたんじゃ。」      
     〜小説『存在の揺らぎ』よりの抜粋〜

この小説はオーソン自身が聞いた話を元に書かれている。
さらに驚くべき事に、オーソンはその消えた男自身からその話を聞いているのだ。
後に彼はこう語っている・・・・

 おそらくこのような事件は頻繁に起こっているのだろう。
 しかし誰も気付かないし。これからも問題にされる事もあるまい。
 その男のように再び現われでもしない限り、そんな事件があったという事さえも 存在しえなくなるのだから・・・

この恐るべき事件の原因は何なのか?
ここで思い出して欲しい・・・・近年頻発する・・・・いや、恐らくははるか以前からあったであろう異星人による誘拐事件の数々。
彼らの高度な技術力をもってすれば記憶の操作などたやすいはず。
我々人類に自分達の存在を疑わせずに誘拐が可能となるのだ!

そしてその恐るべき実態が今夜明らかになる!

ちゃららら〜! ちゃららら〜! (←例のテーマ曲)

<画面に現れる一本のビデオテープ>

我々スタッフが入手した一本のビデオテープ。
その内容は恐るべきものであった!

<モザイクで顔を隠された椅子に座った若い男の姿が映る・・・・声も変えられている>

「・・・・ええ、最初はおかしいな?って思いました。家族や友人達が次々と俺をへんな目で見るんですよ・・・ハイ・・・最後に残ったのは恋人だけだったんです。・・・彼女もやがて俺が誰だか理解できなくなって・・・・・・いいえ、忘れてたんじゃなくて判らなかったんです。それから数日後でした・・・・・いいえ・・前から何度か夢に見ていたんです・・・そこは不思議な場所でした・・・知ってる場所ばかりで・・・まるで夢を見ているようでした・・・・」

これは1年間失踪していた男性が、その期間の失われた記憶を催眠術で引き出している様子である。
彼は99年の三月から1年間の間の全てを失っていた。
記憶のみではない。彼の周りの全ての人間が彼の存在を失念していたというのである。

<画面が再現映像へと変わる>

事件の兆候は失踪から3ヶ月程前にはあったという・・・。
彼は気付いたら「さっきまで別の場所にいたような・・」という気がしてならないという事がたびたびあった。
そしてある晩、異変が起きた・・・

<再び男の独白シーン>

「ハイ・・・そこで再び会いました・・・・あいつとは夢のなかで何度か話したことがあります・・・・・・ええ、いろいろと尋ねてきました・・・・ええ、最初会った時は・・・初めて会ったはずなのに・・・まったく警戒しませんでした・・・・それよりも何処かなつかしい気もしました・・・・・・・・小柄でした・・・子供くらいの大きさで・・・ええ、白い服を着て・・・いました・・・・」

<その独白シーンを熱心に見ている男の姿が映る>

この独白を、超常現象研究家のカンノ・ケイイチ氏に分析してもらった。

 「記憶に多少の混乱が見られますね。おそらく彼は実際に体験した出来事と夢の  内容がごっちゃになっているんだと思います。
  異星人よる誘拐という恐怖が本能的に記憶を操作したか、もしくは異星人によ  る洗脳の影響ですかね・・・・」

<画面が再現映像へと変わる>

カンノ氏の分析を再現してみよう・・・・
  
 彼をターゲットと判断した異星人は、まず彼が居なくなっても怪しまれないよう に周りの人間の記憶を操作する。
 同時に彼自身ともコンタクトを図る。

<寝ている男を白い服を着た小柄な異星人が取り囲んでいるシーンが流れる・・・>

 夜中、彼の寝室に侵入した異星人は彼になんらかの細工を施す。
 男が異星人に警戒心を抱かなかったのは恐らくそのためであろう。
 これは多くの異星人による誘拐事件に共通する事例である。

 そして、彼の存在を全ての人間が忘れた後、彼は誘拐されたのである・・・・

<再び男の独白シーン>

「・・・・あいつはこう言いました・・・『えいえんはあるよ』と・・・・俺 が・・・・・いいえ、・・・別にたいしたことはしませんでした・・・・・いろんな光景を・・見て・・・・・・はい・・・俺が戻ってこれたのは・・・・たぶんあいつの・・・・・ザアアアア」

ここでこの映像は終っている。

<再び再現映像・・・異星人が男にモニターでさまざまな風景を見せながら、何かを説明している。>

 男は宇宙船もしくは異星人の母性にて、地球の未来についてさまざまな啓示を与 えられた。
 「地球の美しい自然を守るように」「争いを止めて、来るべき異星人との交流に 備えられる社会体制を整えなさい」
 といったメッセージを異星人から与えられた例は多い。
 
 『永遠はあるよ』というメッセージの真意とは何であろうか?
 
<宇宙から見た地球が、画面一杯に映る。>

ららら〜ら〜ら〜・・・(←壮大なイメージのBGM)

今我々は社会に絶望してはいないだろうか?巷では人類終末を描いた小説や映画が大ブームである。もしかしたら我々はどこかで終末を望んでいるのではないだろうか?。

『永遠はあるよ』・・・それは我々人類に、「希望をもって未来に進みなさい」という彼らからのメッセージではなかろうか・・・・・

<そしてカメラが引いていって、地球の姿が小さくなる。・・・それにあわせてテロップが流れる・・・・>
ら〜ら〜ら〜〜〜〜〜・・・・(←同時にBGMも小さくなってゆく)
     
        FIN.

・・・・この番組の本、矢甥健一著『戦慄の計画!失踪事件の陰に異星人が!?』を抽選で十名の方にプレゼントします。奮ってご参加ください。



(番組終了後・・・・・スタッフルームにて・・・)

「いや〜矢甥ちゃん良かったよ!・・・・しかしあのビデオからよくここまで脹らませたもんだねぇ・・・あれって知り合いの精神科医からもらったってヤツでしょ?」
「ああ、そいつが『冗談で患者に催眠術かけてみたら、面白いコトになった』って見せてくれたんだ。それをカンノ先生に見せてみたら、いつもの誇大妄想が始まって・・・・まあ、あの人のおかげで番組がつくれるんだけどね。俺が言うのもなんだけど、こんないいかげんな番組放送していいのかなぁ?」
「安心しろよ。こんなの本気で見てるヤツなんていないって」

(しかし・・・・後日、アメリカFBIにて・・・)

「・・・どうだいスカリー?」
「モルダー・・・あなたコレ本気にしてるの?」
「もちろんだよ!・・・・しかし日本のTV局はすごいなぁ。こんな番組がつくれるなんて・・・」
「・・・(私には、ただ大げさに煽っているだけにしか思えないんだけど・・・タイトルと内容もなんか違うし・・・・)」
「さっそく調査に行くぞ、スカリー!・・・この世には科学では説明出来ない事があるんだ!」
「・・・・・確かにね・・・」
    
   <おわり>

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「こんにちはです、雀バル雀です。そして・・・・」
「アシスタントの『長森ラストCGに出てくる青髪ポニーテール美少女です・・・・はあ・・・」
「どうしたポニ子?」
「『ポニ子』じゃないもん・・・なにコレ?・・・」
「・・・・・・・ううう〜・・・なんとなく書きたかったんだ・・・」
「・・・・・こんなの書いているヒマがあるなら、はやく『茜草記』の続き書きなさいよ。」
「はい・・・・では感想です。まず・・・・」
>変身動物ポン太さん『輝け!男子人気投票!』
「ううう、今回の長森、いじらしくてかわいいなぁ」
「長森さんはいつでもカワイイけどね。しかし髭のワザって・・・」
>まねき猫さん『雨月物語』
「この回からしか読んでないのですが・・・おもしろそう。最初から読んでみたいっス」
  『雨の日の思いで』
「優しい雰囲気ですね。」
「そういえば里村さんと長森さんってどういう間柄なんでしょうね?」
「う〜ん・・・長森は友達だと思ってるんじゃないかな・・・」
>杉村さん『夜想曲』
「最後にこんなどんでん返しがあったとは・・・住井と茜っていうのは意外な組み合わせですね」
>ニュー偽善者Rさん『ONE里見八猫伝』
「これも新章にはいってからしか読んでいないのですが・・・う〜以前なにがあったのか気になる〜」
>千乃幸さん『忘れ物と約束』
「はじめまして・・・えぐっ・・・・よかったなぁ、繭」
「あらあら・・・泣いちゃだめでしょ。・・・繭の視点から見たエピローグ、意外に少ないんですよねぇ」
「あの感動が蘇りました・・・みゅーー!!」
>神津さん『冷たく暗いその・・』
「はじめましてです。ご謙遜なさってますが、すごく良かったですよ」
「みさき先輩とシュン君ですか・・こちらも意外な組み合わせ」
「私はいまだに『シュン』というキャラが掴みきれていないので書けないんですよね・・・・参考になります」
>神凪さん『アルテミス』
「毎回予想を上回る面白さ!ますます深まる謎、圧巻です・・・・・ってこらあ!」
「・・・・・・・」
「ホントに穴に入るなァ!・・・・いいかげん出てきなさい」
「・・・・・・」
「・・・・ったくもう。それでは今回はここまでです、さようなら・・・・」
「・・・・・(ぼそり)さよなら・・・」