【47】 雪と私たちの物語
 投稿者: 幸せのおとしご <uni@mvf.biglobe.ne.jp> ( 謎 ) 2000/3/20(月)22:20

 冬の高い太陽から暖かな日差しが降りぎ、あたりは澄
んだ冷たい空気に覆われています。
 そして、じゃっぁじゃっぁと、時折過ぎ去っていく心
地良い音たち。
 周り一面見渡す限りの白い世界。
 その純白の世界に色とりどりの色彩がちりばめられて
います。私もそんな模様の一つになんでしょうか?
 私はピンクを基調にした少し派手なウェアーを着てい
ます。
「こんな服、普通じゃ着れませんね」
 浩平と一緒にウェアーを買いに行った時、少し派手で
嫌だったんですが、浩平がこれでも全然派手じゃないと
無理に買わされたウェアーでしたが、思ったより悪くな
いです。周りの人たちを見て全然派手じゃないなと思い
ました。
 私達は今冬休みを利用して雪山にスキー旅行に来てい
ます。私はスキーが初めてなので少しドキドキしていま
す。
「おーい茜、なにやってるんだ早くこいよ」
「おっそいよぉ、あっかねー」
『なのなのぉ』
 少し離れたところから、浩平、詩子、澪が私を呼んで
います。
 ざくざくざくっと雪を踏みしめるようにして一歩一歩
浩平たちのもとへ私は歩き出します。でも、スキーのブ
ーツってどうしてこんなに歩きずらいんでしょう。硬く
て歩きづらいブーツに少し辟易しながら私は浩平のもと
に何とかたどり着きました。
「…お待たせしました」
「おっ、来たな茜、とりあえず行くぞ」
「そうだね」
『うんうんっ』
 浩平の言葉に相槌を打つ詩子の隣で澪も元気にうなづ
いています。
「…嫌です」
「おい、スキーしに来たんだろ?」
 私の一言に浩平がそう言います。
「私すべり方がわかりません」
「なんだぁ、そんなこと?簡単だよ。ねー澪ちゃん」
『か〜んたんなのぉ』
 詩子も澪もにこにこ顔です。
「スキーだけにスキーがすきーっ、なんてねー」
「なんてなのぉ、って思いっきり寒いのぉ」
 詩子の左側に立っている澪が軽い突っ込みを入れてい
ます。
 なんか澪がたどり着いてはいけない世界に行ってしま
ったような気がします。だってあの浩平ですら、さぁぁ
と血の気を引いた顔をしてますから。
「ちょっと、すべっちゃったかな」
「すべっちゃったのぉ」
「でもぉ、すべるのなんてかぁんたんだよねっ」
「なのなのねぇ〜」
 二人はすでにハイテンションです。両手をぶんぶんと
振り回して喜んでます。事態は手がつけられなくなりつ
つあります。
「柚木、澪おまえ等先にすべってこいよ。俺は茜に少し
教えてから行くから」
 浩平はすごくうれしいことを言ってくれました。二人
だけのスキーレッスンって感じです。心の中でびしっ、
と親指を立ててしまいそうです。そんな浩平には私の内
部で1ワッフルです。
 すると詩子は、ふぅ仕方ないなぁと言う顔で軽くうつ
むきゆっくりと頭を振ります。
「もーう、二人だけのスキーレッスン?邪魔者は消えな
くちゃいけないの?」
 いやんいやんと顔を振りながら、澪も全身で『もぉ、
いやんなのぉ』と表現してます。
 でも、二人だけのスキーレッスンなんて、詩子と同じ
ことを考えてたなんて、私は少しショックを受けてしま
いました。別に詩子が嫌というわけじゃないんですけど
ね。
「仕方ない、この二人のせいで雪が融けちゃうと困るか
らいこっ」
『ふぅ、しかたないのぉ』
 澪もさっきの詩子と同じように仕方ないなぁというよ
うに軽く頭を振って答えます。
 …澪はこんなことするような子じゃなかった気がする
んですが…。もしかして詩子がうつったんでしょうか?
などと私が思ってるともう二人はリフトに向かって走っ
て行きました。
「そんじゃ、邪魔者もいなくなったしはじめるか」
「はいっ」

 私達は少し歩いてゆるい斜面を板を担ぎ歩いて登りま
した。スキーをする前に結構疲れてしまいそうです。
 ある程度の高さまで上ったところで、スキーの板のは
めかた、簡単な転び方などを浩平から軽くレクチャーを
受け。がちゃっ、がちゃっと実際にスキー板に足をはめ
ました。
「浩平、用意が出来ました」
「よしっ、そんじゃー軽くすべるか、俺が下で待ってる
からとりあえず、そこまですべってこいよ」
 そして、浩平はすっと、少し下の方に降りて行きまし
た。そこで、浩平がOKのサインを出してます。
 遂にこの瞬間がきました。私のスキー初挑戦の始まり
です。
 確か足を八の字にして内股に力を入れて腰を落とすん
でしたよね…。さっき言われた通に体制を整えるとずる
っ、ずるっと板がすべり始めました。なんか少し感激で
す。
「おっ、うまいうまいそのまま俺のところまで来れるか
?」
「はい、頑張ります」
 浩平が誉めてくれたので少しうれしかったです。私は
浩平のもとに向かってすべっていきました。

「おーい、茜。そこらへんで止まれぇ」
 でも…、あっ、あっ、止まれないです。あまりスピー
ドは出ていないのですが、なかなか止まりきれません。
もう少しで止まれると思いつつも浩平にぶつかりそうで
す。
 私は少しパニックになりながら浩平に突っ込んでいき
ます。そこで目をぎゅっ、とつぶってしまいました。
 …ぽふっ。
「大丈夫か?」
 …その声に目を開けると私は浩平に抱きかかえられる
ような格好で支えられています。
 少し上の方を見ると浩平と目がばっちりと合ってしま
いました。少し照れます。
「…」
「…」
 考えてみると事故とはいえこんな公衆の面前で抱き合
ってるんですよね。ドキドキです。考えるてみるととな
んかぽー、としてきました。
 もしかすると、これがスキーの醍醐味なのかもしれま
せんね、などと私が幸せな一時に浸っていると。
 ばふっ。
 急に後ろから何かが抱き付いてきました。
「/□☆×」
 私は声にならない悲鳴を上げました。




(つづきます)

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こんばんわ、おとしごです。
これは、海の話の続編だったりします。
知らない人は知らないと思うので気にしないでOKです(笑)

2話があるかどうか不安ですがまたでーす。


HPです
http://www2u.biglobe.ne.jp/~otosigo/

そんなわけで少し感想です♪

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(感想)

>丸作さん
「SWEET LIFE VOL.02 」

ハーレムでむふふですね(笑)
羨ましすぎるぞ浩平
こんなことがあったら、みーんな俺の正室だっ(爆)
みんなを落ち着かせて年上が正室と言い放つ先輩に
気がつくと美味しい位置にいる茜っていうのが
凄くわかるなぁと思いました。


>WTTSさん
「バッドEDテーマ 3」

あいかわらず、替え歌うまいですね
元歌ギャバンと見たときは少し懐かしいと思ったけど・・・
EDは知らなかった(泣)

>たとえシュンが本当にホモな奴だったとしても
>どうでもいい

何故かこのフレーズがお気に入り(笑)
ランナーのテーマに乗せるとばっちりでした


>みのりふさん
「Blessing 」

卒業SSですか。なんか良いですね。こういうの。

でも、詩子っていい奴だったんですねっ。
俺が書くと変な奴でしかないから気づきませんでした(笑)
それに茜と浩平いくらムードが盛り上がってても
キスしようとするなんて。大胆ですよねぇ。


>ひささん
「はんばーがーしょっく 」

どっかで見たSSでした(^.^)
うーん、懐かしいですねぇ。
俺的にはこの店の店員みたいな人がいたら
そのセンスとガッツに思わずハンバーガー買いますね(笑)