海と私たちの物語(後編)  投稿者:幸せのおとしご


 海に行った、私こと、茜、浩平、詩子、澪、の4人、
詩子と澪と1時期、分かれた私と浩平はかき氷を食べに
行きました。
 そんなところから、話は続きます。

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「それではどうぞ…」
「おっ、おう」
 私がかき氷を乗せたスプーンを浩平に差し出して、浩
平の口に届こうとするその時。

 さっ

 何かが私の前を通り過ぎました。

 ぱくっ

「目の前に薄い胸があります」
「ひっ、ひどいよ茜ぇぇ」
 ふと声をしたほうを見ると詩子が泣いてます。思わず
口に出してたみたいです。ということは、今、目の前を
横切ったのは詩子だったんですね。
 またもや、私たちの少しどきどきしたムードがぶち壊
しです。
 詩子、わっふるおかわり決定です。

 そして、浩平の方を見てみると浩平は口を開けたまま
の姿勢で止まってます。
 ちょっとまぬけです。

「おい、柚木っ」
「何?折原君?」
 どうやら浩平が正気に戻ったみたいです。
「なんだ、おまえはっ」
「柚木詩子ちゃんだよっ」
「そういうことじゃなくてだなっ」
 浩平が少しエキサイトしてます。さっきのシーンは私
と同じで浩平も期待していたんですね。
 …ちょっとうれしいです。
 今度わっふるおごりますね。

「じゃ、どういうこと?茜とラブラブってしたかったの
?もう、折原君たらえっちなんだからぁ」
『えっちなのぉ〜』
「そっ、そういうわけじゃなくてだな」
 浩平、しどろもどろです。
「じゃっ、どういうわけ?」
 にやにやと詩子が聞いてます。
「うっ」
「こういうことでしょ、澪ちゃん」
『はい、あーんなのぉ』
 タイミング良く澪がスプーンを差し出します。
「うんもう澪ちゃんたら、かわいいんだからっ」
 そう言うと、ぱくっ、と詩子がそれを口に入れます。
そして、こっちに向き直ると。
「こういうことしようとしてたんでしょ?」
『もう、お顔が真っ赤なのぉ』
 スケッチブックをこちらに見せてから、頬っぺたにに
両手を当て、いやいやするように顔を振ってます。
「はぁ、二人のあつあつの雰囲気に当てられっぱなしだ
ねぇ、邪魔になるといけないしなんかここらへんの温度
が熱いから、海に入りにいこっ澪ちゃん」
『そうするのぉ』
 だぁぁぁぁ
 二人がダッシュで海に向かっていきます。そして、二
人は現れたときと同じように唐突にいなくなりました。
「………」
「………」
「…えっと、かき氷でもかたずけるか」
「そっ、そうですね」
 もう、このどうしようもない雰囲気を打破するのは無
理そうなので、私もかき氷を片付けるのが良いと思いま
した。
 そして、スプーンをお皿に差し込むとかつんとした音
が、かえってきました。
何の抵抗もなかったのをおかしいと思って見てみると私
のかき氷がなくなってます。
「ぐわっ、あいつ等」
 浩平の方を見るとかき氷もきれいになくなってました
。何時の間に食べられたんでしょうか?私は怒るより感
心してしまいました。
「どうする?出るか?」
「はい」
 もう、出るしかないみたいですね。私はもうひとつか
き氷を頼んでも食べきれませんから。残念ですけど甘い
ものを残すのは私のプライドが許しませんから。


 そして私達は店を出ました。
「さてと、どうしようか茜?」
「浩平に任せます」
「そんじゃあ、とりあえずあそこの岩場まで歩いてみる
か?」
「はい」
 さんさんと照りつける太陽の中、焼けるような砂浜の
上を二人で歩く。こうゆうのも良いかもしれません。そ
う思い私はうなずきました。
 そして、歩きだそうかと思った時。
「うん、そうしようかっ」
 びちょびちょに濡れた、詩子が何時の間にか隣にいて
そう言います。
うんっうんっ。
 澪も水滴をちらしながら隣でうれしそうにうなずいて
います。
「…嫌です」
 また、いきなり現れた二人に向かって思わず本音を言
ってしまったようです。
「あっ、茜酷いよー」
『一緒に遊びたいのぉ』
 詩子と澪が悲しそうな顔をしています。
「冗談です」
 ちょっとだけと心の中で付け加えて、私はそう言いま
した。

 そういうわけで、私たちはみんなで遊ぶことになりま
した。
 浩平と二人きりじゃないとはいえ、楽しい時間は時間
がたつのが早いものです。
 すぐに、帰る時間になってしまいました。

 夕暮れのホーム。
 真っ赤な夕日に照らされて、私たちの影が長く伸び
ています。
「わぁ、折原君焼けたねー」
「そういう、柚木や澪も焼けてるぞ」
 三人ともこんがり小麦色に焼けています。
 そして、浩平は私のほうを見ました。
「茜は、焼けてないなー」
「…はい、私はもともと、あんまり焼けないんです」
 私は、肌が赤くなるだけですぐもとの肌に戻るんです
。焼けるのは嫌です。けど少し、みんながうらやましい
気もします。
「まぁ、茜がコギャルみたいに真っ黒なのも想像つかな
いしなー」
「私も、そんなの嫌です」
 と、私が苦笑しながらそう答えた時。
 ぷるるるるるるる、という音が鳴り響きます。
「電車が参ります。白線の内側にお下がりください」
 と、アナウンスが流れた後、がたんっごとんっと、
ゆっくりとしたスピードで電車がホームに到着しまし
た。

 プシュー、という音とともに電車の扉が両側に開きま
す。と同時に、詩子と澪は電車に乗り込んでいきます。

 電車が来て少したちました。でも、私はずっと白線の
ところに立ったままでいました。
「どうしたんだ、茜?電車出ちゃうぞ」
 私のほうを浩平が不思議そうに見ています。
 ぷるるるるるるる。
 電車発車のベルがなります。
「ほらっ、茜」
そう浩平が呼びかけます。
「…はい」
 私はそう返事をすると、一歩電車に踏み込みました。

 たっ。

 ぷしゅぅぅぅぅぅ。
 がたん、がたん。と揺れながら電車が発車します。

「…茜」
「…電車、行ってしまいましたね」

 1度は電車に乗り込んだ私でしたが、電車が発車する
ほんの直前、思わず浩平の手を取ってホームに降りてし
まいました。
 なぜかって、まだ、帰りたくなかったですから。
 浩平ともっと一緒にいたかったから。

 でも、こんなことをするなんて、夏は私をも大胆に
するみたいです。

 そして、電車のほうを見ると詩子が顔を出して私た
ちの事を呼んでいる声がします。
 でも、それも少しづつ小さくなって聞こえなくなり
ました。

「茜、電車に乗り遅れたな」
 この言葉を聞き、はっとして浩平のほうを見ると、
笑いながら浩平が私のことを見ています。
 浩平はこんなことをした、私をぜんぜん怒ってない
みたいです。
「…はい」
「そんじゃあ、まだ遊び足りないし遊んでいくか」
 浩平も私とおんなじ気持ちだったみたいです。
「はい。それじゃあ行きましょう」
「おう」

 そして、浩平と二人手を繋いだまま夕暮れの海に向
かって歩き出します。
「浩平、…やっと手繋ぐこと出来ましたね」
 恥ずかしいので私は下を向いてそう言います。ちょ
っと顔が熱いです。
 すると浩平はぎゅっと私の手を握ってくれました。

 …うれしいです。

 私たちの海の物語
 浩平、ここからは二人で紡いでいきましょうね。


(おわります)

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こんちわっ、おとしごです。
この前の投稿からかなり間があいてしまいました(^.^;

内容が、少し強引な展開と思った人は正解です(笑)
思わなかった人は良い人です(爆)
実は後編の途中にもう1話分あったのですが、諸事情で
カットしました(核爆)
まぁ、気ががあればHPで公開するかもしないかも(^^;

でも、茜を書くのがこんなに難しいとは思いませんでし
たよ。
茜ファンの人、俺の茜はこんなんじゃなーいとか思って
も笑って見逃して下さい。

適当に書きなぐったのでいまいち何か良く分からない内
容になってしまいましたが、読んでくれたみなさまあり
がとうございました。

それでは、また


http://www2u.biglobe.ne.jp/~otosigo/