思いよ届けなの 投稿者: 幸せのおとしご
浩平が永遠の世界に行って数ヶ月
浩平の帰りを待つ澪
これはそんな澪の、ある季節の1日のお話

『先輩・・・まだ、帰ってこないの』
スケッチブックを小脇にしっかりと抱えながら
あの別れの季節より少し暖かくなりそして少し日も延びてきた。
澪は帰り道を歩いている。

浩平がいなくなってから澪は演劇に打ち込んでいた。

浩平に自分の思いは伝えた。
あの日浩平と結ばれた日に思いは伝えられたと澪は思う。
『でも、まだまだ伝えたいの』

『伝えたいことがあるの』と何時も言っていた。

そう、大事な思いは伝えられたはずだ・・・
でも、そんなことだけでなく、普段の何気ない出来事
今日はどうだった、そのときにどう思った、
澪はそういうことをもっと伝えたかった。
浩平に・・・

だが、その浩平がいない今、澪は伝えたい思いだけが
増えて心が消化不良のまま。


そんなことを考えながら歩くと家が見えてきた。
そして”ぴんぽーんぴんぽーん”とただいまの合図を鳴らし
玄関をくぐる
家の奥からお母さんの「おかえりなさ〜い」と言う声が聞こえる。

そして、「今日澪にはがきが届いてるわよぉ」
と言った。

はがき?誰からだろうと澪は思い
取りに行き見てみる。
それは深山先輩からのはがきだった。

今時はがきというのは珍しい
しかし、口の聞けない澪と近況報告を伝え合うために
深山先輩は、良く手紙をくれるのだ。

内容は今やっている劇団の話や
また一緒に演劇をやりたいとか
澪の次の演劇を見に行くとか
そんな取りとめも無い事だった。
しかし、それでも言いたいことは良く伝わってくる。

そのはがきを見た澪は不意に思った。
『これで伝えられるかもしれないの』

そう思うや否や澪は急いで自分の部屋に駆け込み
はがきを書き出した。

えっとたしか最初は前略なのぉ
と思い澪ははがきを書き始める


****************

前略 折原 浩平様

お元気ですか?澪は元気なの
毎日毎日演劇の練習で大変なの

今は雪見部長も卒業して新しい部長に代わったの
そして、部員も入ってきたの
みんな良い人なの


・・・でも駄目なのぉ
先輩じゃないと駄目なの

まだまだ伝えたり無いの
はがきじゃうまく書けないの
もっともっと先輩に伝えたいの
だから早く帰ってきて欲−−−
先輩が帰ってくるまでず−−−ってるの

かしこなの

********************


最後の部分が少し涙でにじんでしまった。

そこで澪はうん、っと一つうなずき

『明日このはがきを出しに行くの』

と決意した。

あて先も書けず
届くかさえわからない
私の思いを乗せたこのはがきを


(完)
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どうもぉ、お久しぶりのおとしごです。
うー、えーと、とりあえず澪SSです。
澪SS始めて書いたんですけど、やるな澪っ、難しいぞ(^^;;
それにはがきの文章の末尾に「なの」って有るのもどうなんだろう。

本当は澪で『なのなのぉ♪』って感じの澪SSが書きたいのにぃ(爆)
ぐはっ、力不足です。

そんな感じです。
それではぁ

(ちょい感想)

>いけだものさん
「雨の日」
茜が可愛いぃ♪結構洒落になってない(笑)冗談を言う所や
相合傘な所とかねっ。「...どうかしましたか?」と
さりげなくとぼけて、失敗している茜が一番のお気に入り。

>偽善者Rさん
「来ない彼女とそばの君」
茜を待ちつづける浩平。そして謎の少女との会話。
そして、これが永遠の世界へ旅立つきっかけになるんですね。
ちょっと、物悲しい話ですね。

>ひろやんさん
「Something there」
こういう風にいくつかのシーンを繋げているのも、なかなか面白いですね。
繭との会話のシーンと浩平の心情が、程よくミックスされて良かったです。
でも、浩平の一人称って、私、書けないなぁ・・・

>神楽有閑さん
「つなぎ止める想い」
前回の先輩の「暗闇の中の光」のときも良かったけど。
神楽有閑さんの書く、こういう話うまいですね。
澪の思いが伝わってきてとても、グーでした。

(追伸)
ホームページをこっそりと開設しました。
良かったらお越しやすぅ

http://www2u.biglobe.ne.jp/~otosigo/