あした 投稿者: 幸せのおとしご
浩平が帰ってきた。
「長森ずっと前から好きだったんだ。もう一度俺と付き合ってくれっ。」
「うん!」
うれしかった
浩平が帰ってきたことがそして浩平が私のことを
好きでいてくれたことが。

そして、放課後
私と浩平は2人ならんで歩いていた。
いつも見慣れた風景
浩平がいない間もずっとそこにあった光景
でも、昨日いろあせてどこか現実味のなかった日常も
隣に浩平がいるだけでこんなにも明るく見えるものなんだ

私たちはそのまま、家には帰えらずに自然と公園に足が向かっていた。

夕暮れの公園のベンチに私たちは並んで座っている。
私はこの一年ずっと浩平を待っていた。
帰ってきた浩平に話したいことはいっぱいいっぱいあったはずだ。
でも、いざとなると言葉はなかなか出てこない。
それは浩平も同じなのだろう。
私たちは口数も少ないままベンチに座っていた。

私はなんとなく、ベンチに座りながらキー、キーと物悲しげな音を立てながら
風にゆれているブランコを見つめていた。
ブランコの物悲しげな音、風にゆれる頼りない姿を見ていると
ふと浩平が本当にそばにいるのか不安になり浩平の方に顔を向けた。
すると浩平は私の方をやさしげな表情で見つめていた。

多分私は凄く頼りない表情をしていたのだろう。
私の表情を見た浩平はやさしく肩を抱いてくれた。

わたしは、こつん、と浩平の肩に頭を乗せながら

「ねぇ、浩平、これからはずっとそばにいてくれるよねっ?
 今までよりもっとそばで私を見ていてくれるよね?約束だよ」
と思わず言っていた。すると浩平は
「ああっ、これからはずっと一緒だ。おまえがずっと笑っていられるぐらな」
そう答えてくれた。
「うん、私は浩平がいてくれたらそれだけで笑っていられるよ。
 家にはバニ山バニ夫もいるしねっ」
「ぐわっ、まだ覚えてたか・・・」
なんか浩平は少し照れくさそうだ。
そして
「長森、明日どうしようか?空いてるならどこかに行かないか?」
そう聞いてきた。

明日、私はそのなにげない明日という一言を聞いて
なんだかとてもうれしくなった。
昨日までは1人で浩平を待つだけで明日なんて感じられない日々だった。
でも、今日からは浩平と2人の明日があるとわかったから
2人で同じ季節をずっと一緒に歩いて行けると思えたから

だから私はこう言ったんだ
「うん、浩平2人でどこかに行こっ、私は浩平と一緒にいられるなら
 毎日でも空けとくよっ!」
「ははっ、大げさだな長森〜、よしこれからは今までの分を取り返すぐらい
 ずっと一緒にいようなっ」
「うんっ」

2人の影が少しずつ長くなってきた。
あたりの景色が橙色に染まる。
夜の帳が落ちるまでまだ少し時間がある。
それまで2人の姿はずっとそのままだろう。


あせることはない2人の時間は今、始まったばかりなのだから


(おしまい)

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どうも幸せのおとしごです
浩平が帰って来た日の長森との帰り道のお話です
どうでしょうか?

読んでいただければ幸いです。
読んでくださった方ありがとうございます。

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(ちょっとだけ感想)

>まねき猫さん
「雨の日の思い出」
茜はこういうことを考えてたんですねねぇ。「嫉妬した?」って言う茜に僕は
もうまいりました(爆)これからも思い出を作って行けるといいですね

>ニュー偽善者Rさん
「ONE総里見八猫伝彷徨の章 第二幕」
遅れ馳せながら彷徨の章開始おめでとうございます。記憶を探す浩平、浩平を
探す瑞佳達、2人はいつ会えるんでしょうね。それに浩平が見たみさおのと夢が
なんかいいですね(^^)これからに期待です

>静村 幸さん
「夜想曲」
倒れた茜を住井が助けるお話ですか。やっぱり住井って良いやつですよねぇ。
うんうん、そういうところもとても良かったです。

>雀バル雀さん
「一窮さん その一」
虎と格闘してもへこたれなかった一窮がワッフルで撃沈ですか(笑)
やっぱり茜のワッフルは最強ですね。最後の懲りてない一窮はお約束ですね(^^)