隠れた想い 1 投稿者: スライムベス
それは、七瀬の一言から始まった。
おそらくこのような体験は、オレの人生においてもう一度あるか疑わしい。
そんな出来事だった。


「ねえ、折原。ちょっといい?」
6時間目終了のチャイムの余韻が残る中、七瀬は小声でそう言ってきた。
オレは黙って七瀬について行く。
思いつめたというか、精気がないというような表情。
・・・・・朝から変わらず。
七瀬に呼ばれて廊下に出る回数はこれで5回目だ。
いいかげん用件を言ってもらいたい。
「えっとね、実はね・・・・・」
そわそわして、落ち着きがない。
「あー、もうっ。やっぱり言えないっ!」
おいっ。またかい・・・。
5回目ともなると、さすがにオレも冗談を言ったりする気力が薄れていた。
「あのなぁ、七瀬。オレもう帰りたいんだけど・・・」
「あ、待って。・・・・・頼みがあるんだ・・・」
「やだ」
直感的に厄介事だと悟ったオレは、素早く先手を打つ。
「って、まだ何も言ってないのに」
「どうせこんな感じだろ。朝下駄箱を開けると、そこにストリートファイトで破った相手から果たし状が!っとか・・・」
「違うわっ!!」
「おー、いつもの七瀬に戻った」
しかしそれは一瞬だけで、すぐに元の気まずい空気が戻る。
「・・・違うのよ。明日、私が乙女であることを証明するのよ・・・」
小声でつぶやくが、途中からよく聞き取れない。
「決心がついたわ!」
「リベンジ受けるのか?」
頬が少しぴくついたが、構わず話す七瀬。
「折原。・・・私と付き合って!」
「どこに?」
「そういう意味じゃなくて、私の彼氏になって欲しいの」
下を向いて、顔を真っ赤にしている。
「へ? 彼氏!?」
もしや・・・・・告白なのか?
七瀬がオレに?


その衝撃の告白は、オレの思考を止めるだけではなく、周りの時間も凍結させた。
・・・・・それほど意外な一言だった。
でもこれは、序章に過ぎない。
長い長い一日が、訪れようとしていた・・・。


 つづく

####################################

一応、七瀬救済SSのつもりで書き出しました(^^;
澪ベス『なのなの』
続きは近いうちに載せます。
では、また。
澪ベス『さよならなの』