・あらすじ
　ある昼下がりのおやつの時間。澪はチョコレートパフェを食べようとする。
　しかしっ、食べられまいと、チョコパフェが逃げ出したのであった。チョコパフェが生きようとする目的は？　また、追いかける澪との決着は？
　では、第二幕をどうぞ〜☆
　なお、澪は話しをすることが出来ます。ご理解下さいませ。


　タッタッタッタッ…………
　戦いの場は居間から廊下に移されていた。廊下を滑るように逃げるチョコパ。細長いスプーンを手に持ち、後を追う澪。
「待つのぉ〜！」
　待てと言われて待つやつはいない。チョコパは玄関脇の階段を見つけ、上に進路を変える。
「はあはあはあ……。くっ、なかなか執念深いお嬢ちゃんだ…」
　器（グラス）の上部、つまりチョコの表面から気泡が漏れる。階段を２段飛ばしでジャンプしているためか、その表情には疲労が見え隠れしている。
　………!?
　おかしい……。後ろから足音が聞こえないのだ。諦めた？　…いやそうは考えにくい。
「どうした？　罠なのか―――」
　後ろを振り返った、その刹那。チョコパに戦慄が走った。
「な……っ！　そ、そんな、ばかな……っ」
　澪はチョコパのすぐ後ろに立ち微笑んでいた。無邪気な笑い。そう――チョコパを食べることに何一つ躊躇がない、そんな雰囲気の笑みだった。ゆっくりと、固まっているチョコパに手を伸ばす。
「ふふふ」
「………はっ！！　しまった…」
「ふふふ〜♪」
　―――シュウッッッゥ！！！
　スプーンが唸る。その瞬間、澪の背後に稲光が輝く！
「………ちっ！」
　シャッッ！
　チョコパがウエハースを飛ばし、澪のスプーンの軌道を微妙に変化させる。
「ほええ？」
　―――空振り。チョコパの脇、数ミリをかすめて空を切る。
　スタタタタタタタタ………
　直後素早く移動を開始するチョコパ。階段を上がり２階の廊下を走る。
「なぜ……？　いつの間に背後まで近づいたと言うのか…。気配は感じ取れなかった」
「惜しかったの〜」
「ウエハースを捨てるしかなかった……。ウエハースを捨てなければやられていた。………ふっ。たいしたお嬢ちゃんだ、このボクをここまで追い詰めるとはね…」
「待つの〜、待つのぉ〜〜〜」
　楽しげに追う澪。苦痛の表情を浮かべるチョコパ。その鬼ごっこは３回戦目に突入した…。

　『澪のお部屋なのっ』と書かれたドアを素早く開け、中に身を滑らすチョコパ。どうやって開けたか、いささか疑問ではあるが―――ま、とにかく開けたわけだ。
「袋のねずみなのっ！」
　続いて中に入る澪。その部屋の中は……ベランダへ続く窓が開かれ、穏やかな風が吹き込んでいた。ピンクのカーテンがそよぎ、机の上にあるノートのページをめくる。
　辺りを見渡すが、チョコパの姿は忽然と消えていた……。
「ほえ〜なの」
　とてとて…、とベランダに向い歩き出す澪。
「うにゅ〜〜〜」
　そこにも姿が見えない。
　まさかっ！？、と澪が急いで部屋の中に視線を戻す―――案の定、皮肉にも部屋から脱するチョコパの姿がそこにあった。
「じゃっ、お嬢ちゃん。縁があったらまた会おう！」
　澪が廊下に出た時には、すでにチョコパの行方を知るすべを失っていた…。


　……
　………
「フルパ姫ーっ！　フルパ姫ーーーっ！！！」
　若い騎士の青年が大声で叫ぶ。黒がねの甲冑に身を包み、手には白銀の盾と血のりが付いた禍禍しい剣を持っていた。
「――フルパ姫っ！！　………くそっ」
　近衛騎士団――彼が所属していた、王族直轄の騎士団。だが、もう彼一人を残すのみとなっていた。
「おのれぇーっ！　ワッフル飛竜騎士団めっ！！　よ、よくも…フルパ姫を………」
　焼け野原と化した大地をさまよう。
　憎しみ…。怨み…。来月婚姻の儀を迎える予定だった青年チョコパ……。
　決死の瞳が、遥か南の国――サウス王国を見据える。
　ザッザッザッ………
　愛しの姫を取り戻すため、チョコパは歩みを進めた。

「はっはっはーっ！　フルパ姫よ。ご機嫌はいかがかな？」
　近衛兵に両腕を抑えられたフルパ姫。それを舐めるように見取るサウス王とが対峙する。
「………サウス様、よだれが垂れてます」
　サウス王の側で紅茶をいれる少女が指摘する。
「カネア、おまえは下がっていなさい」
「……はい」
　ティーセットが乗った机とともに、王室から出る。
「さぁて、フルパ姫。敗国の姫がどのような処遇を受けるか……知っておろう？」
　下卑た笑みが王室に響く。
「………。いつか必ず我が怨みを晴らす者が現れることでしょう。その時までの栄華ですっ！　サウス王っ！！」
「むははははーーーっ！　我がワッフル飛竜騎士団は無敵だ、返り討ちにしてくれるわっ！」
　そう言った後、クイッ、と首で近衛兵らに合図を送る。…その合図を見て、両腕を抑える二人の男が姫の服に手をかける。
「や、やめなさいっ…………やめて、チョコパぁぁぁぁぁぁあああ！！！」
　………
　……


「どうやら無事逃げられたようだな…」
　チョコパは無事上月家の脱出に成功していた。
　ふと頭をよぎる前世の記憶……。
「フルパ姫………」
　生きる意味。
　フルパ姫との時限を越えた再会を求めて…。そして―――サウス王に一矢報いるために…。
　チョコパは足を一歩踏み出した……。


　　つづく･･･


・次回予告！
　チョコパは無事フルパ姫に再会できるのか？
　そして……主人公（？）の澪はそれを阻止できるのか？
　上月家の食卓（おやつ編）第三幕、乞うご期待！


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むっはは〜☆　お久しぶりです、みなさんっ！
澪『おひさなの〜』
おやつ編第二幕いかがでしたでしょうか？
澪『…………』
ん！？　どしたの、澪りん？
澪『澪の影薄いの……(T_T)』
……そ、そうだね。書式も前回とかなり違うしね…。ま、大目に見てくださいな（＾＾；；；
てなわけで、みなさんまたね〜〜〜☆
澪『なのなのぉ〜♪』