上月家の食卓(おやつ編) 第一幕 投稿者: スライム
注、この作品中の澪は話すことが出来ます。ご了承下さいませ。


澪ママ「澪ちゃーんっ! おやつよ〜」
台所で洗い物をしながら、澪を呼ぶ。
時計はちょうど午後3時を告げていた。

とたとたとた・・・・・

澪「おやつなの〜♪」
2階から下りて来る澪。
急いで居間へ向かう。

澪「ほえ? チョコパフェなのぉ〜♪」
わーい、わーいっ、と大喜びする。
幸せを絵に描いたような喜び方だ。
澪ママ「どう? お母さんが作ったのよ」
澪「美味しそうなのっ」
澪ママ「でしょう? 苦労したんだからぁ」
澪「ありがとなの〜」

わくわくっ、と細長いスプーンを握り締め、チョコレートパフェを見つめる澪。
喫茶店顔負けの出来ばえだった。
澪「いただきます〜なの」
軽くお辞儀をして、スプーンを伸ばす。
しかし・・・・・

すたたたたたたたた・・・・・・

チョコパフェがテーブルを走る。
いや、滑るという感じに近い。
澪「ほえ〜?」
あっけに取られる。
食べようとしたチョコパフェが、冗談抜きで逃げ出したわけで、驚くのは至極当然だった。
チョコパ「・・・ふっ。お嬢ちゃん、悪いけど食べられるわけにはいかないんだよ」
テーブルの反対側まで移動したチョコパフェが、今度は語り出す。
澪「待つの〜」
チョコパフェが喋るという異常事態を完全に無視して、ただ獲物を追いかける。
澪ママ「澪ちゃんっ! お行儀悪いわよっ。ちゃんと座って食べなさい!」
台所から注意が飛んで来る。
澪「だって、だってぇ・・・・・うにゅ〜なのぉ」
チョコパ「まあ、座りなよ」
まるで自分の家かのように、偉そうに言うチョコパフェ。
澪「・・・・・・」
黙ってイスに座り、1mほど先のチョコパフェを見る。
それを確かめ、ゆっくりと話し出す。

チョコパ「この世に生を受けた以上、何か偉業を起こしたい。・・・それが男ってもんなんだよ」
澪「ほえ〜」
チョコパ「ボクらチョコパフェの命はせいぜい30分。だから・・・この常識を覆(くつがえ)したいと思ってる」
なのなの、と相づちを入れる澪。
チョコパ「お嬢ちゃんみたいな可愛い娘に食べられるのは、チョコパ人生においては幸せな方かもしれない。でも、ボクにはまだやるべきことがあるっ」
斜め45°にグラスを傾け、びしっ、と指(パイナップル)さす。
チョコパ「・・・ということなんだ。分かってくれたかい、お嬢ちゃん?」
うん、うんっ、と頷く澪。
澪「それじゃあ、いただきますなの〜」
再びスプーンを伸ばす。
チョコパ「お、おいっ! 分かってないよ、ぜんぜん。キミは儚い命の、このボクのささやかな願いも訊いてくれないというのかい?」
う〜ん、と一瞬悩むが、すぐに・・・
澪「やっぱり冷たいうちに食べるのっ」
・・・そう言って立ち上がる。
チョコパ「・・・・・!?」
殺気を感じ取り、テーブルから降りるチョコパフェ。

とたたたたたたた・・・・・

チョコパフェが床を走る。
澪「逃がさないの〜」
執拗に追いかける澪。
チョコパ「はぁはぁはぁ・・・」
澪「・・・ふふふ。もう逃げられないのっ」
部屋のコーナーに追い詰められたチョコパフェ。
その息(?)は荒い。
チョコパ「待って! は、話せば分かる・・・」
澪「食べれば分かるの〜♪」
その時・・・
澪ママ「誰と話してるの? 澪ちゃん」
・・・一瞬気が逸れた。
その隙を逃さず、コーナーから脱する。
澪「しまったの」

すたたたたたたたたっ・・・・・

素早く距離を離すチョコパフェ。
チョコパ「・・・・・・どうやら和解は無理なようだね」
澪「待つの〜っ」
チョコパ「おっと」
居間から廊下に場が移される。

逃げるチョコレートパフェ。
追いかける澪。
果たして決着はいかに?
次回、乞うご期待っ!



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本当に久しぶりなスライムです。
またしばらく投稿出来ないと思いますが・・・(^^;
澪『なのぉ〜』
この「上月家の食卓」は、いちごうさんとこのチャットに載せたのをまとめたものです。
まとまった量になったら、またSSとして書き込むつもりです。
澪『なのなの☆』
では、またお会い出来る日まで・・・・・
澪『むはむはっ(さよなら〜)なのぉ〜』(^^)/~