Magician's Blade (Episode:2) 投稿者: スライム
長森「じゃ」
長森が廊下側の席で鞄を置く。
オレも窓側一番後ろの、自分の席に座る。
入れ替わり担任の髭が教室に現れ、場が整然とする。
しかし、すぐに男連中のざわめきが静けさをかき消した。
・・・なんだ?
ざわめきの原因を確かめるため、教卓に目を移す。
すると、髭の隣に見覚えがある女の子が慎ましげに立っていた。
髭「んあー、静かにっ」
  「こらっ男連中、うるさいぞ。そこそこっ! ウェーブをするなっ」
騒然とした教室を必死で静める髭。
髭「んあー、先週の終わりに話した通り、転校生くんだ」
う〜ん、しかしどこかで見た顔だな。
髭「じゃ、自己紹介をどうぞ」
女の子は髭のいた教卓の中央に移動して、口を開く。
女の子「七瀬 留美です」
・・・ん!?
今朝ぶつかった女じゃないかっ!
長森の方を見ると、うんうん、と頷いていた。
七瀬「え〜と、親の急な転勤でこちらに移って来ました。とっても楽しそうなクラスで安心しましたぁ」
なんてことを可愛げに言うもんだから、教室はまたがやがや言い出す。
髭「静かにしろっ! おい中崎と南森っ、そろってチャーム(魅惑)の呪文を唱えるんじゃないっ」
七瀬「それではよろしくお願いします」
にこっ、と笑って会釈する。
それに対して歓喜の声をあげるものもいれば、魔法の詠唱をしているものもいる。
髭「んあー、席の方だが・・・折原の後ろが空いてるな。すまんが折原、廊下から机と椅子を持って来てくれ」
そう言って髭はHRの締めにかかる。
髭「では授業の準備をするように。以上」
そして教室を出て行く。

オレは、はぁ、と溜め息をつきながら廊下に机を取りに行く。
そして自分の机を最後尾にして、その前に彼女の机を並べる。
七瀬「あの」
   「ありがとう。机持って来てくれて」
浩平「いやぁ、今朝は凄い剣幕だったな」
七瀬「・・・え!?」
   「・・・・・ぐぇっ」
途端に訝しげな表情に変わる。
七瀬「・・・えっと、折原君って言ったっけ? よろしくね」
こほん、と咳払いをして、そう言う。
浩平「おまえの席、こっちだから」
七瀬「あっ、入れ替えたんだ・・・」
浩平「そーいうこと」
その刹那。
魔法学総論の巳間が姿を現した。
巳間「席に座れ。始めるぞ」
それが授業開始の合図だった。

黒板の文字を写していると、目の前にある後頭部が目に入る。
それをぼーと見ていると、不意にその頭が視界から消える。
巳間「え〜と、七瀬さん。いきなりで悪いけど、次のページの3行目から読んでくれるか?」
七瀬「はい」
真新しい教科書のページをめくる七瀬。
ちっ、オレの教科書より綺麗だ・・・・・負けたぁ。
自慢じゃないが、オレの教科書の綺麗さには定評があった。
・・・・・まあ、ただ単にあまり開いていないだけだが。
七瀬「えと、禁呪の規定について。国際魔法条約(International Conventions on the Magic)、通称ICM第9条第1項に、発動の如何にかかわらず、その使用を禁止する魔法(禁呪)の規定が為されている。禁呪項目は主として、人の精神・人権・環境を著しく阻害する魔法が対象となる。1998年4月現在、その数は69に及ぶ」
巳間「うん、そこまででいいぞ。簡単に黒板にまとめるぞ」
おお〜、と静かな歓声が教室を包む。
確かにアナウンサーのようだったな。
良く言えば、すらすらと間違いなく読んだと言えるが、逆を言えば、感情がこもっていない読み方だった。
ガタッ、と七瀬が席に着き、後頭部が戻って来た。

はぁ、しかし暇だ。
魔法の練習でもしてるかな・・・
浩平「我ここに契約を望む。・・・・・聖なる御神の使い、中級三隊力天使ヴァーチューズよ、我が声に応え、その力を我が前に示せ。・・・リフォーム(物質変換)っ」
小さな声で呪文を唱えた。
・・・・・。
ぐきぃっ!!
もの凄い音がした。
七瀬「ぐ・・あ・・・」
七瀬の首が直角に折れ曲がっていた。
謎の女生徒「七瀬さんっ、どうしたの?」
七瀬「うぐっ、ううん、なんにも・・・」
謎の女生徒「先生ーっ、七瀬さん、泣いてますぅーっ」
巳間「おい、何事だ?」
七瀬「な・・・なんでもありませんっ・・・」
うーん、冗談で唱えた魔法が成功するとは。
しかし一瞬とはいえ、七瀬のおさげが石化するとは思わなかった。
やっぱりオレ、魔法の才能があるなぁ。
・・・・・・。

しばらくして、授業終了のチャイムが鳴る。
巳間「今日はここまで」
委員長「起立!・・・礼!」
ふぅ、やっと終わった。
七瀬「ちょっと、来てくれる?」
後ろを振り向き、そう言ってくる七瀬。
浩平「ああ」
オレは覚悟していたので、黙って七瀬の後に続き廊下へ出た。


... To Continue

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はぁ、疲れたよ〜っ
澪『なのなの』
もう寝よ。
澪『おねむなの』
感想はこの次書きます。では。
ぐー・・・・・。
(−_−)゜ZZZ・・・