次はどこに行くんだっけ・・・
そうか食堂だ。
MINMESでオレは心底疲れていて、足取りが重かった。
・・・
そこは大きな部屋だった。
何の飾りつけもない、灰色の壁。
ただ無意味に広いだけの空間には、テーブルが規則正しく並んでいた。
浩美「ここが・・・食堂?」
イメージしていたものとは、かなり違っていた。
浩美「普通、人がいるものじゃないか?」
・・・誰もいない。
食べてる人どころか、作っている人までも。
浩美「お〜いっ!!」
・・・応答なし。
浩美「誰かいないのっ!!」
女性「・・・あなた・・・少し騒がしいです」
浩美「え!?」
女性「勝手が分からないと言うのも頷けますが、あなたの場合度を超えています」
浩美「は、はぁ」
突然現れた女性に説教されてしまう。
女性「反省してください」
そのうえ、反省までさせられる。
・・・って茜じゃないのか!?
浩美「あの・・・」
女性「・・・何ですか」
どう見ても茜だ。
胸のところにクロスがある司祭服がよく似合っている。
まさか・・・オレに気付いていないのかな。
浩美「訊ねたいことが・・・あるんですけど」
女性「・・・どうぞ」
浩美「里村茜さんですよね?」
女性「違います」
即答だった。
・・・違う?
そんな、ばかな。
浩美「茜っ!茜だろ。・・オレだ、浩平だよ」
女性「・・・私は茜という名前ではありません。私の名は鹿沼葉子(かぬまようこ)」
冗談を云ってるようには見えない。
茜・・・ではないのか。
浩美「葉子さんですか・・・。あ、私は折原浩美って言います」
葉子「・・・先ほどと違うようですが」
浩美「ははは・・・」
葉子「・・・・・」
気付かれたか?
・・・それ以上詮索してこないから、たぶん大丈夫だろう。
葉子と名乗った茜に似ている女性は、カウンターからトレーを取り出していた。
一瞬、左手の甲が見て取れた。
『A−9』という烙印。
葉子「あなたの分もあります」
浩美「あ、どうも」
トレーを受け取り、葉子の正面に座る。
浩美「・・・他の人たちは?」
葉子「いません」
浩美「それって・・・Aクラスは私たちだけってこと?」
葉子「はい」
!?
オムライスに何やら奇妙な液体をかけていた。
浩美「あの・・・それは?」
葉子「・・・これですか。・・・練乳とシュガーパウダーを合わせたものです」
・・・茜だ。
間違いない。
そうかっ!・・・いまブームの洗脳というやつだ。
茜は葉子という人物だと思い込まされている。
浩美「一つ訊いていいですか?」
葉子「・・内容のある質問を期待します」
浩美「ワッフルは好きですか?」
葉子「・・・好きです。・・・これで良いですか?」
浩美「は、はぁ」
どうすれば、元に戻せる?
・・・・・!!。
そうだよな。
愛するものの口付けで正気を取り戻す・・・というのが相場だ。
浩美「葉子さんっ!!」
葉子「・・・今度は何ですか」
浩美「少しの間、目をつぶっていてもらえませんか?」
秘技、シリアスフェイスを使用する。
この真剣な顔で見つめられて断ることは出来ないはず。
葉子「・・・嫌です」
ぬおぅ。
・・・さすがは茜、一筋縄ではいかぬか。
なら、これでどうだぁ!
浩美「そこを何とか・・」
秘奥義、ハイパーシリアスフェイス!
オレにこの技を使わせるとは・・・
葉子「・・・わかりました」
ふふふ・・・
茜、正気を取り戻してくれ。
素早く席を立ち、葉子に近づく。
そして、まさにキスをしようとした瞬間・・・
長森「なにしてるの、浩美?」
浩美「えっ!!!・・・お前、何でここに?」
長森「お腹すいたからだよ。・・・って里村さんじゃない?」
おいおい、また瞬間移動か。
葉子も突然の乱入者に驚いているようだった。
しかし、長森。
B棟へ戻らなくていいのか?
Moonな日々−U−(中編)へつづく
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では、感想です。
澪『感想なのなの』
・偽善者Zさま
浩平犯科帳 あいかわらずお七が良い感じです(笑)まだ第一部なんですよね、すごいです。
吾が輩はハムスターである 楽しく読まして頂きました。次回作に期待します。
ところで、し〜どり〜ふさん元気ぃ?
・いけだものさま
澪が可愛いですね。ハーモニカの練習あるのみ・・・ですね、澪くん。
澪『なの』
・まてつやさま
セイント○ールのラストは結婚して終わり(心を捕まえて)だったような・・・。そうなるとC子が可哀相かな。
・11番目の猫さま
茜と詩子の泣きじゃくるシーン・・・感動です(泣)
では、みなさんさようなら〜。
澪『お元気で、なの』