前編のあらすじ

平和のため、名誉のため、そして私欲のため・・・
ＦＡＲＧＯ宗団に乗り込んだ浩美（浩平）、瑞佳。
二人は偶然晴香という仲間を加え、入信の適性検査の順番待ちをしていた。
先に偵察に入った茜。
外で待機する七瀬と澪。
・・・それぞれの欲望が渦巻く。
果たして彼らは無事ＦＡＲＧＯを壊滅させることが出来るのか？

１日目　　ＴＨＥ　ＥＮＤ　ＯＦ　ＳＴＯＲＹ　、　ＡＮＤ　ＰＲＥＬＵＤＥ

倉庫を出、通廊を歩いてゆく。
やがてひとつの無機質な扉の前に辿り着いた。
ノブもないその両開きの扉は、エレベーターを彷彿とさせた。
男「入れ」
浩美「え・・・？」
どうやって開けるのか、と訊こうとした瞬間、扉が自動で開いてゆく。
なにに反応して開いたのだろうか。
オレも男もなにひとつ身動きしていない。
まるで人の意志に反応したかのようだった。
中に入ってみる。
中はまさしく狭く、エレベーターの様相であった。
・・・眼を閉じて。
声。低く、そして包み込むような柔らかさを持った声。
それが狭い室内にくぐもって響いた。
だがその話し手の姿はない。
・・・眼を閉じて。
声が繰り返す。
・・そう・・そのまま・・・
・・そのまま、落ちてゆけばいい・・・
落ちる・・・。どこへ・・？
・・心の中に・・・

浩平「みさお！？・・・みさおっ！！！！」
父兄参観日のはずだった。
ぶかぶかのスーツを着て、父親を演じたオレ。
夕日がまぶしい病室で、一つの生命の火が途絶えた・・・
浩平「みさおっ！・・・・お願いだよ。返事をしてくれよ・・・」
そして、えいえんの約束だけがその場に残った。

・・はぁ、はぁ。
眠っていたのか？・・オレは。
！？
左手の甲が焼けたように痛い。
浩美「なにこれ・・」
実際焼けていた。
『Ａ−１３』・・・そう読めた。
・・おめでとう・・・
再び声。
・・ＣｌａｓｓＡに配属されたことだ・・・
浩美「何者なの、あなたは」
・・無意味な質問だ・・・
・・キミが探求すべき真理はべつの方向にある。
浩美「人の手にこんなもの勝手に焼きつけておいて、自分の正体は明かせないって言うの？」
・・キミはもっと賢い子のはずだよ・・・
・・かつてこの場において女装をしてまで来るものなどいなかった・・・
ちっ！・・・バレてたのか。
・・もしその答えを必要とするならば、探し求めればよい・・・

再び係員の男に連れられて、トラックから降りた場所へと戻ってくる。
まだ晴香と長森のふたりは戻ってきていないようだった。
しばらく待つ。
・・・。
長森「こう・・・浩美（ひろみ）っ」
長森の声に振り返る。
晴香も一緒だった。
長森「どうだった？・・・気付かれなかった？」
浩美「しっかりバレた」
晴香「予想通りね」
長森「・・これ見てよっ」
手の甲を見せる。
浩美「ん！？・・どれどれ・・」
スカートをめくって中を確認する。
長森「こーへいのばかばかばかばかーっ！！」
どべしっ！
浩美「ぐっ！・・・・・・・・猫ぱんつはやめろ」
ばきっ！　ぐぎっ！！
・・・晴香まで参戦してやがる。
晴香「どうやら、適性によって格分けされたみたいね」
・・・さらに話を勝手に進めてる。
ふたりの手の甲を見てみる。
晴香の手の甲には『Ｃ−２１９』、長森の方には『Ｂ−７３』の文字が焼き付けられていた。
浩美「・・Ｂカップの７３か」
ぼがぁぁぁっ！！
長森「Ｂカップの７３じゃないもん。もっとあるもんっ」
浩美「・・・最近七瀬に似てきたな。反応が・・・」
晴香「どうやら居住区も、分け隔てられてるみたい」
・・・オレら無視してるよ。
まあいいけど。
浩美「離れるわけか。ここで」
晴香「とにかく別れた後、どうにかして一度連絡を取り合うのよ」

ふたりと別れ、オレはひとり別棟へと連れられてゆく。
ここがＣｌａｓｓＡの居住区、Ａ棟ということらしい。
そして宛われた部屋に入る。
簡素な、ベッドしかないような部屋。
この部屋を拠点として今日よりＦＡＲＧＯを潰しにかかるのだ。
そしてそいつは、そのベッドの上に座っていた。
少年だ。
シュン「キミに会えて嬉しいよ」
いきなりナンパか！？
そんなにオレって可愛いのかぁ？
浩美「あの、ここ、私の部屋らしいんだけど」
シュン「そうだね。そう聞いてる」
浩美「もしかして・・・相部屋？」
シュン「そういうことになるね」
まあ、いいか。
こいつも晴香同様、仲間（＝捨て駒）とすれば。
浩美「じゃあ、よろしく」
シュン「こちらこそ」
簡単に挨拶を済ませ、寝床につく。
今日は長い間トラックに乗っていたので、かなり疲れていた。
瞼（まぶた）が重い。
限界だった。

　Ｍｏｏｎな日々（後編）へつづく

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ども、ども、スライムです。
澪『なの、なの、澪なの』
ふぅ、思ったより長くなりそうな予感・・・。
後編で終われるか不安ですね。
澪『なの』
まあ、終わらなかったら『悪ある〜（３ｒｄ）』につなげるかっ！
澪『なのなの』
では明日朝からバイトなので、このあたりで失礼します。
澪『おやすみなの』