Moonな日々(前編) 投稿者: スライム
  1日目
THE END OF STORY

ごとんっ
車が大きく揺れる
一体どのような道を走っているのか。
閉ざされた中からは確かめられない。
FARGO宗団・・・。
その修行施設へと向かうトラック。
総勢20名ほどの入信者が無言で顔を向き合わせ、揺られている。
ごとんっ
全員の腰が浮く。無言のまま。
・・・「他の奴とは違うわね、あなた」
話しかけてきたのは、すぐ隣にいた女の子だ。
浩平「え?」
問い返す。
・・・「顔を見れば、すぐわかるわよ」
浩平「どんな顔をしているの、私」
・・・「不自然な化粧をした顔よ」
   「FARGOに入信しようなんて連中がこんな顔をしてるわけないもの」
   「見なさいよ。この不自然な化粧」
と、手鏡を差し出してくる。
浩平「あなたは?」
・・・「巳間晴香(みまはるか)」
   「あなたの同志ということになるわね」
浩平「同志・・・」
  「確かに俺、いや私は男だ・・・。同じなの?」
晴香「もちろん同じじゃないわよ。よく似たものだってこと」
よく似たもの?
女装に?
晴香「ときたま私たちみたいのがまざっているのよね」
  「それでどうしようと言うの?」
浩平「FARGOを壊滅させるの・・・」
晴香「壊滅?見た目通り、恐いことを思いつくのね」
浩平「そう?」
Piroo・・・・oo!
唐突にけたたましく電子音が、沈鬱な空気を裂いた。
晴香「携帯ね・・・」
・・・「うわっ!も、もしもしっ!?」
正面にいた長森が慌てて電話に出る。
長森「うん、これから乗り込むところだよ。・・・大丈夫だよ、澪ちゃん」
  「わかってるよ。絶対壊滅させて帰るから!」
  「じゃあもう切るよ」
晴香「あなた以上にわかりやすい奴も居たもんだわね・・・」
浩平「そうだ・・・え〜と、そうみたいね・・・」
・・・バカ。ばれないように気を付けろよ。
しかし、澪とどうやって電話してるんだ?
・・・
トラックが停止した後、ようやくエンジンの音がやむ。
晴香「着いたようね」
トラックを降ろされたここは、すでに建物の中だった。
入信の適性検査の順番が回ってくるのはまだ先のようだった。
浩平「おい、長森っ」
小声で話しかける。
長森「浩平。・・・何?」
浩平「違うだろ!俺は、じゃなくて私は浩美(ひろみ)。折原浩美よ」
長森「あ、ごめん。・・・えっと浩美」
浩美「で、さっきの電話は?」
長森「あ、うん。澪ちゃんと七瀬さんも準備OKだって。先に乗り込んだ里村さん   も無事だって云ってた」
晴香「何、あんたたち知り合い?」
浩美「まあ、仲間かな」
長森「こちらは?」
長森が俺に目配せをする。
俺は黙って頷き、
浩美「敵の懐で行動するんだから、仲間は多いほどいい。そう思わない?」
ちなみに俺の仲間は捨て駒と同意語だ。
長森「私、長森瑞佳です。よろしくお願いします」
浩美「私っ、折原浩美って言います。ヒロぴ〜って呼んでね!」
ここで七瀬なら・・・
七瀬「呼ぶかっ!気色悪いわ!!」
・・・ってな感じで、つっぱりが飛んでくるんだが。
晴香「・・・なんかあんた。足手まといになりそうな気がしてきたわ・・・」
うっ。呆れられてる。
律儀につっこんでくれる七瀬のありがたみがわかった気がする・・・。
晴香「巳間晴香。晴香、でいいわ」
・・・
晴香「やっと私たちの番みたいよ」
向かってくる係員の方へ俺は歩み出た。
長森「大丈夫?気づかれないようにね」
晴香「無理だと思うけど・・・」
ふたりの声を背に、係員の後を歩き始める。
やがてひとつの無機質な扉の前に辿り着いた。

   つづく(のか!?)

次回予告! はたして浩平(浩美)は無事FARGOに入れるのか?
      彼らの企みの正否は?
      そして夏休みの課題がまだ終わっていない私の運命やいかに?(泣)
      乞うご期待!!

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長くてすいませんです。
本当、SSって難しいものですね。
えっと、前回の感想を頂きまして大変嬉しゅうございました。
これからも感想を頂けましたら光栄でございます。
では、感想です。(一部ですいません)

・GOMIMUSI様
 『追憶』の歌詞
 CDを聞きながら読まして頂きました。すごいです、の一言です。
 ONE of 〜
 澪とチョコパフェのところが・・・とてもいいです(泣)。

・雫様
 いち髭ファンとしてとても続きが楽しみです。
 髭あってのONEですからね。(・・・。)

・白久鮎様
 感想だけでもいいと思います。いいですよね先生? 髭「んあ〜」 

・火消しの風様
 シュンとは・・・難度Sですよね。
 本当に感心しています。
 なんとなくMoonの少年に似てますよね。(雰囲気が)

では、これにて失礼致しまする。