詩子「うら〜、もっと飲め〜!」
澪『のむの』
茜(・・・こくこく)
浩平「おい!おまえらなんでこんな昼間っから酒飲むんだ」
詩子「いいじゃないの、ここだったらタダで飲めるんだから」
浩平「・・・金とるぞ、コラ」
学校帰りにちょっとあそんでっていい?
詩子がそう言うのに素直に「いいよ」と答えたのは間違いだった。
詩子が家に上がるとすぐ冷蔵庫をあさり、この有り様だ。
まぁ、澪も茜も可愛いし、詩子もよくみれば可愛い顔だとも思わなくもない。
ある意味、両手に花。
いや、おまけに頭にまで花が咲くほど俺は幸せかもしれない。
そう思えばこのさわがしさも・・・我慢できないほどでは・・・。
ばりーん!!
詩子「あれ?金魚ばちが勝手に落ちたわよ」
茜「・・・詩子の腕が当たったからです」
がしゃーん!!
澪『コップが勝手に割れたの』
茜「・・・肘が当たってました」
・・・前言撤回。
浩平「うっ、うっうっ・・・・」
茜「泣かないで下さい浩平」
浩平「ママ、だって・・・だって」
茜「気持ち悪いです」
もう永遠の世界に逃げたいよ〜。
みさお〜、助けてくれ。
・・・そして俺は永遠の世界に旅立った。
そんな俺の耳に茜の声が聞こえてくる。
茜「泣かないで下さい浩平。今晩、浩平のために何か作ってあげますから」
俺は三途の川を半分まで渡ったスワンボート1号を必死にこいでこっちの世界に帰ってきた。
浩平「なに!!!!!!」
口の横にできたよだれの筋をぬぐいながら俺は起き上がる。
詩子「お!浩平起きたな!目覚めのキスだ!」
茜「・・・嫌です」
詩子の顔が迫ってくる。酒臭い。
俺は再びスワンボート1号をこぎ始めた。向こうに見える光を目指して・・・。
キーコキーコキーコ・・・。
浩平「海は広いな大きいな・・・行ってみたいな黄泉の国・・・」
茜「・・・川です」
いつもながらみごとなつっこみが入る。
おかげで俺はまたこの世界で生きることになった・・・。
その夜は茜が言った通り、晩飯を作ってくれることになった。
浩平「で?何を作ってくれるんだ?」
茜「近所に住んでる年増で寸胴で偽善者な今年2○歳のおばさんがくれたキノコで何か作ります」
浩平「そうか、でもキノコには気をつけろよ。巨大化したり、1UPするやつがあるからな」
茜「スーパーマ○オですか?」
澪『一回死んでも大丈夫なの』
浩平「いや、そうじゃなくて、毒キノコだったら・・・」
茜「大丈夫でしょう。あのおばさん、いい人そうだったし」
浩平「・・・そうか」
茜はあのピンクのエプロンと三角巾をつけ、料理に取り掛かった。
居間では澪と詩子がクッション投げをしていた。
平和な光景だ。俺はそれをやさしい眼差しで見守っていた。
だが。
・・・・・・がん!
由起子さんお気に入りの花瓶に当たり、そしてそれが宙を舞う。
・・・永遠とは簡単に手に入るものだ。
俺はまたスワンボート1号に乗り込んだ。
茜「・・・できました」
意識が戻った俺は鼻の下にぶら下がる鼻水を処理し、起き上がる。
そこに広がるキノコ料理の数々。
浩平「うまそうだ〜」
詩子「これだったら、料理の○人に出れるよ!」
澪『おいしそうなの』
茜は少し恥ずかしそうにしている。
そんな姿がいい。とってもいい。可愛すぎる。
・・・俺はスワンボート1号とみさおに手を振った。・・・さようなら。
浩平「では、さっそく食べるとするか」
四人「「「『いただきます』」」」
茜「四種類のキノコがあったのでそれぞれ違う料理を作ってみました」
四人は四人とも違う料理に箸をつけはじめた。
浩平「そういえば、キノコの名前でセイカクハンテンダケっていうのをこの頃よく耳にするな」
詩子「そうそう、あれのせいでいろいろ恐い事件が増えてるみたい」
浩平「恐いな・・・、もしこれがそのキノコだったらどうする。・・・なんてな」
茜「すでい恐」
・・・あれ?
浩平「茜・・・、今なんて言った?」
茜「んせませ話くまう」
浩平「・・・なんて言ってるのかわからん」
詩子「あ!よく見て読者のみなさん」
澪『はんたいからよむの』
なるほど!反対から読むと意味が通じるよ金○一君。
待てよ・・・そうなると他のキノコも・・・?!
そう思って前を見ると・・・。
・・・詩子が椅子の上で逆立ちしていた。
浩平「どうした詩子!中国雑○団にでも入るのか?」
詩子「知らないわよ。体が勝手に・・・って、あ!澪ちゃんが・・・」
なに!澪まで?!
・・・俺が振り返ると澪の色が反転していた。
澪『いろがはんてんしたの』
浩平「・・・あとで『ぺいんと』で治してやるからな」
俺の目から涙がこぼれおちる。
浩平「それにしても澪、顔が黒くて、頭が黄緑色だぞ・・・」
茜「?かすでんな夫丈大は平浩」(浩平は大丈夫なんですか?)
そうだ、その通りだ。俺にはまだ何も起きていない。
俺にもそのうち何かが・・・って前が見えないぃ!!
詩子「きゃー!!浩平の服が上下反対に!しかもそのせいで変な物が見えてるよ」
茜「すまてえ見が前・・・」(・・・前が見えてます)
澪にもスケッチブックで叩かれる。
澪『みえてるの!』
浩平「待ってくれ!誤解だ!!」
前を隠せないまま、前が見えないまま、足に絡まる上着を引きずり、
頭にズボンとパンツをかぶり、猛烈な勢いで三人に突進して行く!
詩子「きゃー!変態近寄らないで!!」
茜「すで嫌・・・」(・・・嫌です)
澪『へんたいなの!』
数分後、詩子の思いっきり振ったモップが急所に的中し、俺は永遠の世界に旅立った。
浩平「遊びに来たぞ、みさお」
みさお「おにいちゃん、なんで内股なの?」
浩平「いや・・・いろいろあって」
みさお「おにいちゃん、何?そのアヒルのボート」
浩平「白鳥だって・・・」
数日後、そのキノコは・・・
『ゲンゴハンテンダケ』
『ジョウゲハンテンダケ』
『カラダノイロハンテンダケ』
『イフクハンテンダケ』
・・・ということがわかった。
ちなみに茜はキノコをくれたその2○歳のおばさんにはその後、
一回も会うことができないという。
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はい!しーどりーふです。
この頃、シリアスものばかりでこういうの書くのも久しぶりのような気がします。
続きものにして四話完結にすればよかったかな?(キノコ一つ一つで区切って)
でも、途中で続かなくなるからなぁ、どうせ。まぁいいか、もう書いちゃったし。