夜空が綺麗な夜。 一年も終わりに近づき、街はクリスマス一色に染め上がっている。 街角にはライトアップされたクリスマスツリーが立ち並び、ショーウインドウには綺麗に着飾られたマネキン達が今宵限りの夢を謳歌している。 道行く人たちは白い息を吐きながらある者は楽しそうに、またある者は寂しそうに通り過ぎていく。 今夜は聖夜。 キリストなんて関係ない。 彼ら、彼女らにとっての楽しく、美しい、そういう夜だ。 「うーん、こんなもんでいいか?」 「そうだね、いいと思うよ」 一組のカップルが荷物を抱え歩いていく。 どこから見ても幸せそうな表情をして女の子は男に寄り添う。 「ふふ、でも去年はおととしは散々だったからね」 「それを言うなよ・・・」 「もう気にしてないけどね。でも・・・」 「でも?」 「でも忘れないよ。嫌なだけな思い出じゃないから。私たちの大切なステップの一つだからね」 「うーん、俺としては忘れてほしいんだけどな」 「あはは、駄目ですよーだ」 ちょっと意地悪そうに言う彼女を男は大事な物を抱えるように抱き寄せる。 「・・・あったかいな」 「今日は寒いから、暖かくしないと風邪ひくかもしれないからな」 「雪、降るかな?」 「どうだろう・・・空にでも聞いてくれ」 その言葉に少女は空を見上げる。 「うーん、雪は無理かも・・・」 「そうか?」 「うん、そのかわりにほら・・・」 「ん? ・・・ああ」 「すごいね」 「街中でも結構見えるもんだな」 「今日は特別だもん」 「特別か−−−そうかもな」 「空がくれたクリスマスプレゼントだよ」 「・・・そのプレゼントには劣るけどな」 「え?」 男はポケットから小さなリングをとりだす。 「俺から星を一つ」 そっと彼女の手を取り、指へ通す。 それをじっと見つめる少女。 そして満面の笑みを浮かべ 「ずっと一緒にいようね」 輝きに願いを込めて・・・ みんなが幸せでありますように・・・・ http://park.millto.net/~sizumura/