自業自得  投稿者:静村 幸



 とある小春日和の日のこと。
 浩平とみさきは一緒に午後のティータイムを楽しんでいた。
 しかし、なぜか浩平の表情が重い。その口からため息がついて出た。
「はぁ・・・・」
「浩平君、どうしたのため息なんかついて」
「聞いてくれよ、みさき先輩。実は・・・」

 浩平の話はこうだった。
 永遠の世界にいたおかげで留年してしまった浩平は、もう1度3年生をやり直す事になっていた。
 しかし、この頃遅刻が多くなってしまい、このままではもう1年留年してしまうかもしれないというのだ。

「ふーん、そうなんだ・・・」
「ああ、本気でヤバいかもしれないんだ」
「うーん・・・あっ、良い考えがあるよっ!」
「なにっ!?」

 手をぽんと叩いてそう言ったみさきに、浩平は期待に満ちた顔をむける。

「私の家に泊まればいいんじゃないかな?」
「えっ・・・そりゃ確かに先輩の家から学校は目と鼻の先だから遅刻はしないとは思うけど・・・迷惑じゃないのか?」
「他ならぬ浩平君の為だからね。お母さんもきっと了解してくれると思うよ」
「そっか・・・それじゃ頼んでもいいかな?」
「うん、もちろんだよ!」

 こうして浩平はみさきの家でお世話になることになった。
 一度家に帰って由起子さんに了解をとり、用意をととのえると浩平は再度みさきの家へと向かった。

 その日の夜。
 みさきの母が腕をふるった料理をおいしくたいらげ、
(流石に川名家の食事は恐ろしい量だった・・・)
 その後も色々なことを話したり、ゲームをしたりしているうちに就寝の時間となった。
 浩平は客間を貸してもらうことになった。

「それじゃ、明日の朝は私が起こしてあげるよ」
「ああ、頼むよ」

 みさきが部屋を出ていくと、浩平はすぐに床についた。
 しかし・・・その浩平の頭の中はというと・・・

「夜這い・・というのもかなり惹かれるものがあるが、流石に初日からはまずいからな。なーに、チャンスはまだまだたっぷりあるさ。何しろこれから毎日先輩と同じ屋根の下なんだからな」

 ・・・すでに目的が違ってきていた。

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 翌日。
 とたとたと小走りの足音がしたかと思うと客間の戸が勢い良く開いた。
「浩平君、朝だよ!」
「うーん、あと5ミリバールだけ寝かせてくれ〜」
「わけわかんないよ。ほら、起きなきゃ駄目だよ」
 みさきはゆさゆさと布団を揺する。その時、布団の中から浩平の手が伸びてきてみさきの腕をつかんだ。
「え?」
 そしてそのまま布団に引っ張り込む。
「え? え? え? ちょ、ちょっと浩平君・・・」
「みさき先輩・・・俺のこの熱い胸の高鳴りを鎮めてくれ・・・」
「あ、どこさわって、わ、だめだよ、遅刻しちゃう・・・や、お母さんに聞こえ、あ・・・・・・・」

 などとやっている二人は、今にもみさきの母親が客間の戸を開けようとしているのを知るはずもないのだった。

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 その頃学校では。
「んあ〜、折原は今日も遅刻か・・・。これはもう限界だな」


   折原浩平、留年決定。

                        以上。

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