その日、俺と繭は二人でコンビニに買い物にやって来ていた。
「おーい繭、好きなもの買ってきていいぞ」
「みゅっ♪」
俺がそう言うと、繭はうれしそうに店の中をぱたぱたと駆け回った。店員が嫌な顔をして見ているがおかまいなしだ。
ふと、繭がカップラーメン売場の前で立ち止まってじー、とある商品を見ていた。しばらくして、うれしそうに顔をほころばせ、繭がそれを持って走り寄ってきた。
「ん? どうした?」
「みゅ〜! これ買う!」
繭が目をきらきらと輝かせて俺の目の前にそれを差し出した。なんのへんてつもないカップラーメン、それにはこう書かれていた。
『てりやきバーガー味』
「・・・・マジか?」
「うんっ!」
繭は壊れた人形の様にがくがくとうなずく。
しかたなく俺はそれを買い、二人で家へと帰った。
家につくと、繭はさっそくカップラーメンを開け、お湯を注いだ。そしてこたつに向かい合って座る。
3分後、割り箸を持ち、うれしそうに待ちかまえていた繭はふたを開けた。部屋中になんとも言えないにおいが広がっていく。思ったより悪いにおいではないが、それでも遠慮したいにおいだった。
「・・・おい、ほんとに食うのか? やめるなら今だぞ?」
「ほえ?」
繭が「なんで?」という顔で割り箸を割る。そして勢いよく麺をすすりこんだ。
「・・・・どうだ?」
「みゅっ♪」
繭は本当においしそうに麺をすする。俺は興味を引かれたが、そのにおいがどうしても一歩引かせる。それに繭の味覚も当てになるとはいいがたい・・。
「よし、今度誰か他の奴に食わせてみよう・・・」
誰を一番目の実験台にするか考えながら、俺はうれしそうに麺をすする繭の顔をじっと見ていた。
「みゅ〜・・・しあわせ・・・」
うっとりと呟く繭を見ているうちに俺も幸せな気分に包まれていくのだった。
−END−
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実際はそんなに不味くなかったです。(笑)<てりやき味
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