夏の日B 投稿者: 静村 幸
浩平と瑞佳は近くの市民プールへと向かう道を歩いていた。浩平は薄手のナップ、瑞佳は「たくさんの小さな亀」柄の手提げバックを持っている。亀の甲羅の色はもちろんピンクだ。
 市民プールは浩平たちが通う学校から反対方向に、ほぼ同距離ほどいった所にある。
 数年前につくられたそのプールは、きれいで規模も大きく、なかなか評判が良い。二人も何度か遊びにいったことがあった。
 瑞佳は浩平の隣を歩きながらも、顔をプクッと膨らませていた。
「もう、浩平はノックもしないんだもん」
「悪かったって、そう怒るなよ」
「ふーんだ」
「そんなに顔を膨らませるとフグみたいだぞ」
「しらないもん。それに今から泳ぐんだから魚でもいいもん」
「バカ、フグには毒があるから食べるのが大変なんだぞ」
「浩平、言ってることがおかしいよ・・・」
 そんなことを話ながら、てくてくと二人は真夏のアスファルトの上を進んでいく。そして上と下からの熱に二人がだれてきた頃、目の前に市民プールの入り口が見えた。
「お、やっとついたぞ」
「暑かったね、じゃ、さっそく泳ごうよ!」
「おう!」
 待ち合わせ場所を25mプールの前にあるシャワーの前と決めると、二人はそれぞれ着替える為に更衣室へと入っていった。
 浩平はさっと着替えると、荷物を100円ロッカーに押し込み、鍵を掛けようと財布から100円玉を取り出して、投入しようとした。が、その時ちょうど小さな男の子が浩平にぶつかって走り抜けていった。
「うおっ!?」
 つるりと手から硬貨が滑り落ちる。それはそのまま転がってロッカーの隙間に入り込んでしまった。
「し、しまった〜!! くそ、なんとか取れないかな・・?」
 ロッカーの隙間は1cm程しかない。浩平は手を入れようとしたが入らないのでナップから何故か持っていたドライバーを取り出し、それを隙間に入れて掻き出し始めた。
 苦戦すること10分ほど。かすかな手応えと共に掻き出すと、銀色の硬貨が2枚転がり出てきた。
「お、ラッキーだな。これでアイスでも買うか」
 浩平は硬貨を1枚しまい込むと、もう一枚で鍵を掛け、瑞佳の待つシャワーへと移動し始めた。
「少し遅れたな・・・長森はもう待ってるだろうな」
 案の定、瑞佳はすでにシャワーの前で待っていた。しかし、その瑞佳の前には二人組の男が立ち、瑞佳に何か喋りかけている
「? おーい、長森〜」
「あ、浩平!」
「すまん、遅れた」
 浩平は声を掛けながら近づいていく。それに気づいた二人組の男はなんだ、という顔をして立ち去っていく。
「遅いよ、浩平」
「悪かったって・・・・んで、今のやつらは何だ?」
「・・・・あのね、ナンパされちゃったんだよ」
「何!? お前がか?」
「うん・・・」
「・・・・長森! 急いで逃げるぞ! 水辺にいちゃ危ない!」
「え? どうしたんだよ、急に」
「お前がナンパされるなんて天変地異の前触れに違いない!」
「どうしてそうなるんだよ!」

 それから二人はシャワーを浴びて消毒漕に浸かり、準備運動をする。ちなみに浩平の水着はシンプルな黒いトランクス型。瑞佳の水着はピンクを基調とした色の段階がつけられたワンピース型である。

「それじゃまずは25mプールで向こうまで競争するか」
「うん、いいよ!」
 飛び込み台からせーので飛び込む。二人ともなかなかのスピードで泳いでいき、ほんの少しの差で浩平の方が先に到着した。
「俺の勝ちだぞ」
「うーん、くやしいなあ」

「よし、次はウォータースライダーで滑ろうぜ」
「あ、私あれ好きだよ」
 係員の誘導に従って階段を登り、半分に切られたチューブのような水の流れる2つの滑り台に同時に入り込んだ。二人は右に左にと曲がったりしながら最後には腰までの浅いプールへとほぼ同時に勢いよく飛び込んでいく。
 ばしゃーん!
 大きく音を立てて飛び込んだ二人は顔を見合わせる。
「やっぱり面白いね!」
「もう一度滑るか?」
「うん!」
 二人はそんなことをもう2回ほど繰り返すのだった。

「次は波の出るプールだ!」
「いこっか」
 ざっぱーん。

「流れるプール!」
「・・・・・・・」
 ばしゃばしゃ。

「よーし、それじゃ次は・・・」
「ちょ、ちょっと浩平」
「ん、なんだ?」
「疲れちゃったからどっかで休憩しない?」
「・・・そういえば、だいぶ泳いだもんな。よし、休憩ついでに何か食べに行くか!」
「うん!」
 二人は更衣室に戻ると、タオルで水を拭き上着を羽織って、プールの近くにある水着のままでもOKの喫茶店に入っていった。 


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 どうも、静村 幸です。
 今回の話、なんか中途半端な途切れ方してますね・・。
 前回からちょっと間が空いてしまったし、ダメだなぁ・・・。
 しかし、みなさんやっぱりうまいですね。なんか、「こんな下手なやつおいていいのかな?」と考えてしまいます。
 やっぱりもっと腕を上げないと・・。
 次回はもう2人、女の子を登場させるつもりでいます。
なんとか近日中に書きたいと思っていますので。
 それでは。