夏の日A 投稿者: 静村 幸

 プールへ行くため瑞佳の家まで歩いてきた浩平は、玄関先に取り付けられているインターホンを押した。
 ぴんぽーん。
「おーい長森、きたぞ〜。用意はできてるか〜?」
 大きな声で中に呼びかける。するとすぐにトタトタと足音がしてドアが開いた。
「浩平、はやすぎるよ・・・。ほんとに10分でくるんだもん」
 顔だけ出して瑞佳が言う。
「行くと言ったら俺はくるぞ。ところで用意は?」
「まだだよ。すぐにやっちゃうからちょっとだけ待っててよ」
「おう」
 バタンとドアを閉じてまたトタトタと足音が、今度は遠ざかっていく。
 そのままの状態で浩平は待った。
 1分・・・。
 2分・・・・・・。
 3分・・・・・・・・・。
「暑いな・・・まだか・・・」
 じりじりと光が浩平の上に降り注ぐ。首筋や額には汗が浮き出てきている。
 4分・・・・・・・・・・・。
 5分・・・・・・・・・・・・・・。
「おい、まだなのかよ・・・もう我慢できん」
 浩平はそう言うとドアのノブに手を掛けた。そして扉を開け、中に向かって呼びかけた。
「おーい、長森。まだか〜?」
 しかし、しばらくたっても返事がない。しかたなく浩平は瑞佳の部屋まで行くことにした。
「おじゃましまーす」
 かって知ったる・・・というほどではないが、よく知っている家の中を進んでいく。
 そして階段を上り、2階の瑞佳の部屋の前まで来ると、浩平はノックもせずにドアを開いた。
「おい、長森、まだか・・・よ・・」
「・・・・え?」
 扉の向こう。そこで瑞佳はちょうど着替えをしているところだったようだ。
 つまり下着姿である。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
 驚いて扉の方を見た瑞佳も声が出ない。たりたりと浩平は汗が頬を滑るのを感じた。
「・・・・・・・」
 そのまま無言のまま、浩平はゆっくりと扉を閉じた。
 そして数秒後・・・・。
「こ、浩平〜!」
 ドアの向こうから正気に返った瑞佳の声が聞こえてきたのだった。


   **********

 どうも、静村 幸です。
 夏の日Aをお届けします。しかし今回の話は・・・・。
 書き終わってから自分につっこみを入れてしまいました(笑)
 次はちゃんとプールについていると思います。近日中には書きますので。
 それでは。