彼女にとってのそれは永遠の世界 投稿者: 静村幸

 その時から、「私の中の風景」は変わらなかった。
 いくら時間が流れても、私にとって世界はあの時から同じ。
 いつまでもいつまでもその姿のままの――永遠の世界。

「先輩、どうかした?」

 私の横で一緒に歩いている、あの人の声がする。
 あの人の手はしっかりと私の手を握ってくれている。
 あったかい手。
 この手が私をつれだしてくれた……。

 じっと、その手へ顔を向ける私に、あの人はいぶかしげな様子だ。
 私は、すっと顔を上げる。
「――ねえ、浩平君」
「ん、何?」
「腕、組もっか?」
「え!」
「だめかな?」
「いや……そんなことはないけどな」
「だったら、ね」
 あわてる彼の姿を思って、私は少し笑った。
 そして、「えいっ」とあの人の腕をつかまえた。
 ずっとずっと、側からはなれないように。