「おやこ」 投稿者:
「みゅ〜っ♪」
「あら、あら。ご機嫌ね。繭」
「学校は楽しい?」
「うんっ♪」
おにいちゃんとおねえちゃんの学校へ行ってしばらくしてから、私は元の学校に戻った。
相変わらず、授業は何をやってるのかわからない。虐める子もいる。
でも楽しかった。
新しい友達もできたからかな?
「よかったわ。…みゅ〜が死んでから、元気がなくて心配したのよ」
「!!」
みゅ〜が………死んで………から?
「……」
「どうしたの?ご飯食べないの?」
「…いらない…」
「…繭?」
……。


「みゅ〜………」
…忘れていた。
みゅ〜のこと。
あんなに大切な友達だったのに。
………。
…私は酷い子だ。
自分が楽しければ、大切な友達も忘れてしまうなんてっ!!
「……うっ……」
布団に隠れて、みゅ〜のことを思い出す。
このまま眠って、目を覚まさなければ、みゅ〜のところに行けるのかな…。

コンッ、コンッ。

「…繭?」
「……」
「…入るわよ?」
おかあさんが、部屋に入ってくるのがわかる。
でも……今は、顔を見たくない。
こんな私なんかに見せてくれる、やさしい笑顔なんて。
「繭…どうしたの?おかあさん、何かいけない事、言った?」
「……」
…おかあさんは悪くない。
悪いのは……私……。
「ねえ、繭…。以前、話した事があったわよね?『ほんとうに悲しいときは泣いたって構わない』…って」
「……」
「…そんな時は………おかあさんがいつでも側にいるから…」
そういって、おかあさんは布団の上から私の頭を撫でてくれた。
…やさしく。
「……うっ……うぐっ……うあああああぁぁぁぁーーーーーんっ」
布団から飛び出して、おかあさんに抱きつく。
暖かい膝の上に。


「…そう」
わたしが泣きやんで、話し終わるまで、おかあさんはずっと頭を撫でてくれた。
「…繭は忘れてなんかいないわ」
「でも…」
「今はちゃんとみゅ〜の事、思い出せるでしょう?」
「…うん」
「ほら。忘れてなんかいないのよ。…ちょっと、心の引き出しにしまってだけなの」
「心の…引き出し?」
「そう。人はね……悲しいことだからと言って、忘れることなんか出来ないのよ…」
そう言ったお母さんの瞳は……少し悲しそうだった。
まるで、今の私のように…。
「でも、いつまでもその事を思っていると、泣いてばかりいることになるでしょう?」
「…繭は自分が死んだら、自分の大切な人にいつも泣いていて欲しい?」
「…ううん…」
「だから、しまっておくの。その人の為に。…大切な思い出としてね」
「……」
「だから、忘れてなんかいないのよ。いつでも、思い出して……大切な人に逢えるから」
おかあさんがやさしく微笑む。
もう、さっき見せた悲しそうな瞳じゃない。
いつも、私に見せてくれるやさしい瞳だ。
「……」
いつでも……逢える……。
「ご飯…食べるでしょう?」
「…うんっ♪」





お墓にお花を添えて、手を合わせる。
…おかあさん。
私はもう24になりました。
思えば、おかあさんと本当に『母娘』として暮らしたのは、一年ぐらいの短い間でした。
でも、その間に大切なことを、いっぱい教えてもらったような気がします。
たくさんの、あふれる愛情とともに。
私もおかあさんが教えてくれたように……この子に接したいと思います。

「おかあさんっ!はやくいこうよっ!!おとうさん、まってるよっ!!」
「はい、はい。…でも、待ってるのは、おとうさんじゃなくてチョコレートパフェじゃないの?」
「もう〜…。おかあさんのいじわる〜っ!!」
「ふふっ…ごめんなさい」

短い時間でしたけど、今日はもう行きます。


おかあさんとは………いつでも逢えるから。





−−−−− 感想少量 −−−−−

>いけだものさん
「いざ、お見舞いへ (中編)」こっ、これにアレ使ったんですかーーーっ!!(^^;;;でも、本物の茜が笑ってるところが可愛いです♪
よしっ!!ミルク粥は予想通りっ!!(爆)前編の感想メールはこの後に発送しますが、見てから書いた訳じゃありませんので。(^^;

>神野雅弓さん
「〜果てしなき想い そして・・・〜」初めまして〜♪次々とキャラが現れるあたりなんか、SSとういうより、どこぞのチャットのようで笑えました。(笑)

>奈伊朗さん
「繭のとくべつなみゅー(5)」おおっ!!奈伊朗さんではないですかっ!?お久しぶりです〜♪(^^)/…って、俺も久々なんですが。(爆)
「色傘姉さん」(笑)「埋めてません!」(爆)「信じ難い噺ですが、世紀末ですからそんなこともあるかも知れません」(爆)(爆)
明日も読みに来ます♪

>うとんたさん
「永遠縦断ONEクイズ 第3話」初めまして〜♪「初めてあなたと出会ったあの日あの時あの場所から=転校してきたとき」(笑)ようやくクイズですね。(爆)楽しみです♪

>PELSONAさん
「パッヘルベルの・・・」すみません。わかりません。(核爆)
「全國大食い選手権」前にも思ったんですが……あまりに短いのって、まとめません?ほら、ポン太さんみたいに。(−−;;;
「全國甘味王選手権」同上。(爆)

>WTTSさん
「一方その頃…広瀬(第15投稿)」むふふ〜…すでに立派なSS作家さんですね♪(^^)茜って、普通に見ればそうですよね。(^^;真希ちゃんて努力家♪FC会員の愛を感じます。(笑)

>かっぺえくん
「変わり行く『いつも』−後編−」詩子の日常が上手く書かれてますね♪流石ですっ!!愛かな?(笑)
お疲れさまでした。HPには遊びに行きますんで、今後も変わらぬお付き合いを。(^^)/

>北一色さん
「ONE英雄伝説3〜パタポ星域の会戦〜」初めまして〜♪「鉄壁サトムラ」(笑)なんか、みょ〜に納得できます。(爆)