ほわいとでー 投稿者:
ホワイトデー。
恋する乙女達の想いに応えると言うどう考えても陰謀の日。


「ホワイトデーか。」
暇つぶしに商店街を歩いて見たが、そんなイベントがあるとは知らなかった。
長森にはいつもお世話になってる上に、今年も妙に気合いの入った義理チョコも貰ったことだし、まあ、お返しぐらいはしておいたほうがいいかも知れんな。
長森のことだ。そこいら辺に捨ててある猫でも拾って届けてやれば、涙を流して喜ぶはずだ。ただだし。

デケ、デン、デンッ。

「うんうん。分かるよその気持ち。」
「・・・はぁ?」
浩平が振り返ると、青いエレキギターを弾いて、詩子が立っていた。
「柚木か・・・って、何故ここにいるっ!?」
デケ、デン、デンッ。
「ホワイトデーのお返しを何にするか迷ってるんでしょう?・・・ここはひとつ、派手な物を送って、彼女のハートをガッチリキャッチしたいってことだよねっ。よっ!憎いよ、この色男っ!!」
デケ、デン、デンッ。
まるで、太鼓持ちのように一気にまくしたてながら語る詩子。
「・・・・・いや。全然違うぞ。」
確かに全然違う。
「じゃあ、私が変わりに選んであげるねっ♪あ、あのお店がいいんじゃない?」
ズルズルズル・・・。
「ま、待てっ!人の話をちゃと聞かんかあぁっ!!」
浩平は詩子に引っ張られて、かわいいファンシーショップに入って行った。


「あっ!これかわいい〜〜〜♪」
「・・・・・。」
「ねえねえ、これ買って♪」
首にネックレスをかけて浩平に見せる詩子。
「なんで、オレがお前に買ってやらなきゃならないんだっ!!」
「折原君っておかしなこと言うね?」
「オレかっ?オレがおかしいのかっ!?」
二人がファンシーショップに入って、既に一時間が過ぎていた。
その間、二人はすっとこの調子である。
「だって、折原君、彼女がどういうのが好きだとか教えてくれないんだもん。」
「・・・はぁ。」
もともと何か買ってやろうなどど思っていなかった浩平には、いい迷惑である。
しかし、詩子がこの調子では、説明をしても聞くはずがない。
「・・・長森の奴は猫が好きだったな。」
浩平は、観念して、何か適当な物を買ってとっとと帰ろうとした。
「じゃあ、これなんかがいいんじゃない?」
詩子が指さしたのは猫のブローチ。値札には5,800円と書いてある。
買おうと思っていたゲームソフトを諦めれば、なんとかなる値段だった。
「・・・わかった。それでいい。」
「じゃあ、決まりだね♪すみませ〜ん。コレとコレ下さい。」
詩子が店員を呼んで、注文する。
「はい。ありがとうございます。ラッピングはいたしますか?」
「こっちはいいです。こっちの方は綺麗に包んで下さい。」
「では、消費税が入りまして29,190円になります。」
「・・・・・はい?」
浩平は目が点になっている。
どうやら会計には、詩子が首にかけて見せたネックレスの値段も入っているようだ。
「じゃあ、私は用事があるから、またね〜♪」
デケ、デン、デンッ。
詩子は、すっかり忘れていたエレキギターをひと弾きすると去っていた。
「・・・・・待たんかああああぁぁぁーーーーーっっ!!」
後に残されたのは、財布の残りが810円となった浩平だけだった。



そして、ホワイトデー当日。
「ほら、長森。・・・これをやる。」
浩平は綺麗にラッピングされた小箱を瑞佳に差し出した。
「えっ!?」
突然の出来事に瑞佳は驚いている。
どう考えてもホワイトデーのプレゼントだ。
「わ、わたしだよっ!!わたしなんかでいいの!?」
「いらないんだったら捨てるぞ。」
脇を見てぶっきらぼうに言う浩平。照れてるらしい。
「そんな、勿体ないんだよ!貰う!貰うよっ!!」
慌てて浩平の手から小箱をひったくる瑞佳。
「・・・えへっ・・・えへへっ・・・♪」
大事そうにその箱を見ながら、妙な笑いをする瑞佳。
「変な笑い方をする奴だな・・・。」
「そ、そう?・・・だって嬉しいんだもん♪」
にこにこしながら、歩く瑞佳。
今なら、4トントラックに轢かれても笑っていられることだろう。
「ねえ?・・・開けていい?」
「・・・・・好きにしろ。」
ガサガサ・・・。
「わあっ!猫のブローチだよっ!!ありがとうっ!!浩平っ!!」
「ま、まあ、長森には普段から世話になってるからな・・・そ、そのお礼だ。」
何故かどもりながらそう話す浩平。
「あっ!!今月、いくら誘ってもパタポ屋に行かなかったのは、もしかして、これのせい!?」
「ま、まままっまあ、それもあるとだけ言っておこう。」
何故か歯切れも悪い浩平。
一瞬、浩平の頭には苦い思い出が蘇ったのであった。
「浩平・・・。」
瑞佳がそっと呟く。
「なんだ?」
「・・・・・ありがとう。」
「・・・・・き、気にするな。」

二人の顔は夕日に染まって真っ赤だった・・・。



ホワイトデー。
恋する乙女達の想いに応えると言うどう考えても陰謀の日。
だからと言って、必ず想いが伝わらないとは限らない。



デケ、デン、デンッ。
「いい事をした後は気持ちがいいよね♪」


青いエレキギターを携えて、幸せ運ぶ若大将。
今日も、新たな報酬・・・もとい、素直になれない若人求めて、世界せましと駆け巡る。
嗚呼、若大将詩子ちゃんは、ヨットに乗って青い海に消えてゆく・・・。



ポロンッ・・・・・。
「・・・・・出番・・・ないです。」




−−−−− あとがき −−−−−

 雫 「という訳で『渡り鳥茜ちゃん』シリーズ第四弾をお送りしました。」
大福男「いや、全然、渡り鳥茜ちゃん出てないぞ?」
 雫 「・・・・・・・さあっ!感想GO!!」
大福男「・・・ネタ切れだな?」


−−−−− 感想 −−−−−

>雀パル雀さん
「由起子・・・・その愛」ぐわはっはっはーーーっ!!由起子さん、面白すぎですーーーっ!!(爆笑)そうですか。瑞佳が朝起こしに来るのは、こんな深い訳が・・・。(笑)う〜ん、。瑞佳がどんな光景を見たのかものすごく気になります。(爆)
「ごめんね・・・」最初、先に後編のあらすじをちらっと見たとき、あらすじをギャグにしてあると思ったら、まんまでびっくりしました。(笑)女の友情は美しいですねっ♪(爆)


>ニュー偽善者Rさん
「いい仕事しまっせ!乙女鑑定人-4-」乙女の道は瑞佳が一歩リード?(笑)やはり心が入ってないと駄目か。(笑)
「ONE総里見八猫伝彷徨の章 第一幕」記憶喪失ですか。第二部のタイトルからすると、この章が終わるまで記憶は戻りませんね?(爆)
遅くなりましたが「大蛇の章」完結おめでとうございますっ!!住井がすごく気になるんですけど。(笑)


>パルさん
「貴方のための贈り物」ちゃんと、みさき先輩の事を考えてる浩平がいいですね♪でも、手紙で明日出かけようって・・・自分でポストに入れたのかな?(笑)

>ブラック火消しの風さん
「人の想い No.3」このシリーズすっごくいい感じですね!しかも、いい所で終わって・・・続きが気になるーーーっ!!

>GOMIMUSIさん
「D.S」ぬおっ!!早くもact2!?序盤のルウの攻撃描写。凄いです。シュン(?)も謎を振りまいて消えるしっ!!次回期待ですっ!!」

>WILYOUさん
「さわやかな朝だねっ」目覚ましの数も凄いが、音も凄いです。(笑)繭のブラの中を見るのは許せませんっ!!(爆)

>神凪 了さん
「アルテミス」すごいお話ですねっ!毎回、楽しみです。個人的に、第二話の住井視点が好きでしたので、またあれば嬉しいです。(笑)ちょっと「MOON.」側の配役が分かりずらいかな?不可視の力を使う者に謎の人物がいるから混乱しちゃって。

>天王寺澪さん
「NEURO−ONE 24」ちゃんと覚えてます。(笑)っていうか、待ってました。(←煽ってる(爆))今回は詩子がいい感じですね♪住井も。(笑)繭を助けたのは七瀬だったんですか?不可視の力があるって一体・・・?最後の詩子、むちゃくちゃかっこいいですっ!!続き、楽しみにしてま〜す♪

>いけだものさん
「やんちゃ猫」実に浩平らしいですね♪きっと、こんな事になると用意周到なんでしょうね。(笑)それにしても・・・瑞佳のお母さん、大物。(笑)

>PELSONAさん
「何故乙女を目指すのか」七瀬・・・それはきっと違うと思うぞ。(笑)でも、浩平は納得(?)してるし。(笑)

>ひささん
「ホワイト・レイン」不器用な浩平がすごくいい感じですね♪やはり貰って嬉しいプレゼントは『気持ち』だと思います。ただだし。(爆)


大福男「では、感想も終わった事だし、俺の説明を・・・。」
 雫 「すみません。時間がなくて、最新のもまで感想を書けませんでした。」m(_ _)m
大福男「え?ってことは・・・・。」
 雫 「では、またです〜♪」
大福男「またかいいいいぃぃぃーーーーーっ!!」