ばれんたいんでー 投稿者:
バレンタインデー。
恋する乙女達がそれぞれの想いをチョコレートに託す真実の日。


「・・・バレンタインデーですね。」
お買い物に来たけど、どこのお店もすっかりバレンタインデー、一色。
・・・繭は誰かにあげるのかしら?
私も、ちゃんと主人にチョコレートを買っていかないとね。
結婚してかなりたつのに、今更と言う気がしない訳でもないんだけど・・・。
あの人に告白した時のように、チョコレートを手に頭にリボンをつけて、『私と一緒に食べて♪』なんて、あげたりして〜〜〜〜〜っ♪
・・・・・・・。
はっ!?わ、私ってば、何を・・・。(ポッ)
・・・でも、一応、リボンも買って行こうかしら♪

ポロンッ・・・・・。

「・・・・・わかります。」
「?」
華穂が振り返ると、白いギターを弾いて、茜が立っていた。
「あの・・・どちら様でしょうか?」
ポロンッ・・・・・。
「女はいくつになっても乙女・・・私の全てをあなたにあげます・・・さすがは人妻・・・。」
ポロンッ・・・・・。
まるで、『花とうめ』を手にした夢見る少女のように、ちょっと赤くなりながら語る茜。
「・・・・・・・・はぁ?」
茜がなぜいるのか、まったく分からない華穂。(注:繭ママです)
「では、私は用事がありますので、これで・・・。」
ポロンッ・・・・・。
茜はギターをひと弾きすると去っていた。
「・・・新手の勧誘かなにかかしら?」
後に残されたのは、よくわかないと言った顔をする華穂だけだった。



そして、バレンタインデー当日。
「繭はチョコレートを誰にあげるの?」
「お父さんだもんっ♪」
夕食前の母と娘の会話。
ほのぼのである。

がらっ。

「ただいま〜。」
「みゅ〜っ♪お父さんが帰ってきた〜〜〜♪」
ばた、ばた、ばた・・・・・。
チョコレートを手に、玄関へと一目散に走る繭。
「あら、あら♪」
そんな繭の後ろ姿を見て、華穂はやさしく微笑むのだった。
う〜ん・・・実に、ほのぼの。
ここで終わっておいた方が、いいような気がするぞ。なんとなくだけど。

「お父さん!お帰りなさい〜♪」
「だたいま、繭。」
繭の頭に手を置きながら、笑顔で応える照八。(注:繭パパです)
「お父さん、はい!チョコレートっ!!」
満面の笑みで照八にチョコレートを渡す繭。
「おおっ!ありがとう、繭♪」
照八は、そのチョコレートを嬉しそうに受け取った。
「みゅ〜っ♪私と一緒に食べて♪」

どがらがらがらがっしゃあぁーーーーーんっっ!!

轟音とともに、派手に転び、玄関をぶち壊す照八。
「・・・・・。」
むく。
だだだだだだっ・・・・・。
照八は、無言で立ち上がり、居間へと走り出した。


「お帰りなさい、あなた。」
照八を笑顔で迎える華穂。
「華穂おおおおぉぉぉーーーーーっ!!きっ、君は繭に何を教えたんだねぇぇぇーーーっ!?」
「えっっ!?」
照八の剣幕に動揺する華穂。
「繭が、チョコレートを渡して、『私と一緒に食べて♪』なんて言ってたぞぉっっ!!」
「そ、そんなっ!?私はなにも・・・。」
「君しかいないだろうがあああぁぁっ!!」
「何を言うんですかっ!?あなたっ!!」
「君が私に告白した時のセリフじゃないかっっ!?」
「そんな!!私は何も言ってませんよっっ!?」
・・・・・・・・・・。

その日、椎名家のご近所では、深夜まで夫婦喧嘩の声が聞こえたという・・・。



バレンタインデー。
恋する乙女達がそれぞれの想いをチョコレートに託す真実の日。
だからと言って、必ず想いが届くとは限らない。


ポロンッ・・・・・。
「・・・・・いい事をした後は、気持ちがいいです。」


白いギターを携えて、幸せ運ぶ渡り鳥。
今日も、新たないけに・・・もとい、真実探す乙女を求めて、日本全国津々浦々。
嗚呼、渡り鳥茜ちゃんは、愛という名の夕日の中に消えてゆく・・・。



「ほえ?一緒に食べてって、二人で食べるって意味じゃないの?」



−−−−− あとがき −−−−−

 雫 「ちょっと、今回は、あまりのペースに感想が書けません。」m(_ _)m
ポロンッ・・・・・。
 茜 「・・・DNMLなんか作ってて、最近のSS読んでないですしね。」
 雫 「ぐはっ!ロ、ログは取ってるんだけど・・・。」(−−;;;
ポロンッ・・・・・。
 茜 「じゃあ、あとがきもとっとと終わりにしましょう。」
 雫 「・・・・・・・はい。では、また〜っ!!」(^^;