校内ミスコンテスト(その8) 投稿者:
その日、学校は戦場と化した。
校長が掲示板に「校内で最強の女性に『ミスONE』の称号と賞金50万を与える」との掲示をしたためである。
ある者は名誉のため、またある者は金のため、次々と熾烈な争いに身を投じるのであった。

「・・・なんか知らないけど、折原には勝ったわ。」
「これで、私が『ミスONE』よっ!!」
七瀬は正気を取り戻し、浩平の屍を見て校長室に向かった。

しかし、校長室へ向かう途中、一人の美しい女生徒が立ちはだかった。
「そうはいかないよ。七瀬さん。」
「・・・誰?なんで私の名前を知ってるの?」
七瀬の前に立ちはだかったのは、ギターを背負った中性的な美少女だった。
「僕は氷上シュン。君のことは親友から聞いているよ。」
「男みたいな名前ね・・・。」
七瀬の言葉を気にした風もなく、その美少女は背負っていたギターを手に持ち、構えをとる。
「さあ・・・始めようか。」

第八戦「シュンVS七瀬」

七瀬の木刀がシュンの頭を狙う。
ごすっ。
・・・・・シュンは防御もせずに木刀を頭に受け、倒れた。
「・・・僕は体が弱いんだよ。」
どうやら、ギターを振り回す体力は持ち合わせてなかったようだ。

WINNER 七瀬!!

「これで、私が『ミスONE』よっ!!」

だが、七瀬の決めゼリフの前に、新たな敵が立ちはだかる。
「私を忘れてもらっちゃ困るわね。」
ばきっ。
「広瀬!?」
名前を呼ぶより先に、七瀬の木刀が広瀬の頭に決まる。
「・・・ふう。これで、私が『ミスONE』よっ!!」
だが、だが。
「んあー。待ちたまえ、七瀬君。」
ずばっ。
だが、だが、だが。
「私は3年の川名さんの恩師にあたる・・・・。」
どがっ。
だが、だが、だが、だが。
「わたし、みあっていうの」
げしっ。

まとめてWINNER 七瀬!!

「・・・こ、これで、私が『ミスONE』よっ!!」
七瀬はようやく校長室の前に辿り着き、ガッツポーズをとった。
・・・・・最強の敵がまだ残っているとも知らずに。

「ちょっと、いいかな?」
「まだいるの!?」
七瀬が振り返ると、そこには他校の生徒が立っていた。
「私を倒さないと、優勝できないのよ。・・・そうそう、私は柚木詩子。よろしくね。」
「よろしくねって・・・あんた、この学校の生徒じゃないでしょう?戦ってどうするの?」
「えっ?優勝するとお金がもらえるんだよ。私は5万円だけどね。」
七瀬は腕組みをしてしばらく考え込んだ。
「・・・・・・・・・・なるほど。そういうことね。」
七瀬は理解したようだが説明しよう!!
詩子は賞金を払うのが惜しくなった校長が雇った、プレイヤーキラーなのであった。
別名は犬である!!
「いいわ。・・・やってやろうじゃないっ!」

第十三戦「七瀬VS詩子」

「はあっ!」
木刀での鋭い突きが詩子を襲う。
「はいっと。」
しかし、詩子は突き出された木刀を何気なくつかんで引っ張った。
「うわっ!」
七瀬は木刀を奪われてしまった。
「なら・・・はあああっ!七瀬ウェイブッ!!」
七瀬が廊下の床に拳を叩きつける。
・・・・・・・だが、何も起こらない。
「あ、そこいら辺にいた連中なら片づけておいたわよ。」
こともなげに言う詩子。
「くっ!」
「・・・ふふっ・・・武器もない、味方もいない・・・これで、あなたは猿同然だね。」
ぷちっ。
何かが切れる音がした。
「さ・・・。」
「さ?」
「猿っていうなああああぁぁぁっ!!」
七瀬が詩子に拳を打ち下ろす。
とっさに詩子はかわすが、詩子が立っていた場所は・・・・・床が抜けていた。
そう、不可視の力も弾き飛ばす、あの恐るべきパワーだ。
「あんた・・・殺すわ。」
しかも、驚くべき事に七瀬には理性が残っている。
まさに、最強猿モード!!
「うらああああぁぁぁっ!!」
七瀬の正拳ラッシュが詩子を襲う。
詩子はかろうじてガードはしているものの、どんどん後ろに押されていく。
「ひょいっと。」
数メートル押された所で、突然、詩子が横にかわした。
「えっ?」
突然かわされた七瀬は、そのまま前に突っ込む。
・・・前は降りの階段になっていた。
「ひええええぇぇぇーーーっ!!」
ごろんっ、ごろんっ、ごろんっ・・・・・。
「だーーーいじょーーーぶーーーっ?」
あまり心配してなさそうに叫ぶ詩子。
「・・・・・きゅううううぅぅぅ。」
七瀬は目をまわしていた。・・・・・やはり、所詮は猿か。

WINNER 詩子!!

しかあぁしっ!!
まだあるんかいっとつっこむ声が聞こえてくるようだがまだある。

校長室のある棟とは別になっている棟の屋上。
「・・・どうやら、終わったようね。」
フェンスの上に立ち、七瀬と詩子の戦いを一部始終見つめていた、謎の少女の姿があった。
謎の少女は、手に持っていたバレーボールを高々と放りあげる。
「ひ〜〜〜の〜〜〜た〜〜〜ま〜〜〜・・・・・。」
「スパイクゥゥゥゥーーーーッ!!」
謎の少女はフェンスの上から飛び上がり、スパイクを放つ。
放たれたボールは、突如燃え上がり、校長室の前にいる詩子へと向かっていく。
どうやら、ボールには発火装置が内蔵されていたようだ。

「さてと・・・それじゃ報酬でも貰って帰ろうかな。」
詩子は校長室のドアに手をかける。
がしゃんっ!!
「!?」
廊下のガラスが割れる音に振り返る詩子。
だが、その瞬間、腹部に燃えさかるボールが衝突する。
詩子は弾き飛ばされ、校長室のドアにしたたかと後頭部を打った。
「うっ・・・。」
意識が遠のく中、詩子はボールの飛んできた方を見た。
フェンスの上に立つ、その人物を。
「・・・そ・・・そう・・・まだ・・・あなたがいたのね・・・。」
がくっ。
詩子はそう呟くと、意識を失った。


数日後。
「浩平ーーーっ!ぱたぼ屋のクレープ食べて帰ろうよっ!」
「おっ、いいな、長森。・・・でも、今月はちょっと厳しいんだよな・・・。」
「大丈夫だもん!佐織がおごってくれるんだよ。」
「そうか?なら、行くかっ!!」
「うんっ!」
「・・・そういえば、あいつ、最近、妙に金まわりがいいよな?」
「う〜ん・・・なんだか、臨時収入があったとか言ってたんだよ。」


『校内ミスコンテスト』完!!


−−−−− あとがき −−−−−

うぐっ・・・眠い・・・すみません、感想は、次回に感想ONLYで。