雪の終わる季節 投稿者:
「みさきーっ!」
「あっ、雪ちゃん。」
「ねえ、私も部活終わったし、なんか食べにいこうか?」
「ごめ〜ん!今日は約束があるんだよ。」
「ほほう。私の誘いを断るなんて・・・さては男だな?」
「ゆ、雪ちゃんっ!」
「うりうりうりっ!」
「あーん、雪ちゃんがいじめる〜っ!」
「ま。冗談はこのぐらいにして・・・浩平君だったっけ?よろしく言っておいてね。」
「誰も浩平君だなんていってないよ〜っ!」
「いーから、いーから。」
「もーーーっ!」

階段を上がり屋上に出る。
屋上の風は少し冷たい。もうすぐ春なのに。
この学校ともあと少しでお別れだ。
フェンスに寄りかかり、下を見下ろす。
みさきの家が見える。
みさきとつき合って何年になるかしら。
みさきは変わったわ。いい方に。
いつも、笑ってはいたけど・・・心では怯えていた。
だから、私はみさきの力になってあげたかった。
そう。みさきが光を失ってから。

みさきが楽しみにしていたドラマの最終回。
みさきが考えていたのとは違う結末だった。
でも、それはそれで面白かった。
みさきにも教えてやろうと思って電話をかけた。みさき、楽しみにしてたものね。
でも・・・電話に出たのは別人だった。
ううん。みさきには違いがなかった。
ただ、私の知っているみさきじゃなかっただけ。
その時になって初めてわかった。
光を失うということが、どういうことなのか。
「最終回面白くなかったね。みさきが考えてくれた話しの方が面白かったよ。」
そして、わたしが口にしていたのは、考えていたのとはぜんぜん違う言葉だった。
・・・・・みさきが光を失ったのを知らないふりをして。

あの時から。
あの時から、みさきの力になろうと思ってきた。
でも、みさきのためじゃなかった。
私が昔のみさきを取り戻したかっただけ。
私のため。
だから・・・私じゃ駄目だった。

みさきは昔の笑顔を取り戻した。
でも、それは私のための笑顔じゃなかった。
もう、私はみさきの側にいなくてもいいのかもしれない。
「お役御免・・・って・・・か。」

がちゃ。
後ろで屋上の扉が開いた。
「よう。大福じゃないか。」
「誰が大福よっ!誰がっ!!私は雪見っ!!アイスなんかと一緒にしないでよねっ!」
まったく、失礼な奴。
「あんた、まだ学校にいたの?」
「おい、おい。クラスメートをあんた呼ばわりとは酷いじゃないか。」
「あんたなんかあんたで十分よっ!」
「日本語になってないぞ。」
うるさい奴ね。
「お前、まだ学校に残ってたんだな。」
「あんただって、まだ残ってるでしょうが!」
「まあな。・・・で、今日は川名は一緒じゃないのか?」
何気ない一言。
別にいつもみさきと一緒にいるわけじゃない。けど・・・いまはその言葉が胸に痛い。
「そういえば、あいつ明るくなったよな。
でも・・・それは、私の力じゃない。
「なにいってんの、みさきはいつも明るかったでしょうに。」
そう・・・本当は明るくなんかなかった。
「俺にはあんまりそうは見えなかったけど?」
それは・・・私じゃ・・・駄目だったから。

「・・・・・あ・・・。」
「あ?」
「あ・・・あんたなんかにっ!あんたなんかに何が分かるっていうのよっ!」
「お、おいっ、なんだよいきなり・・・。」
「私はみさきの幼なじみよっ!ずっと、一緒にいたんだからっ!!ずっと・・・。」
目頭が熱くなる。
視界がゆがむ。
なんで、こんな時に・・・こんな奴の前で・・・。
・・・泣いてなんかやるもんか。
「・・・・・。」
でも・・・止まらない。
涙がこぼれそうになる。
「・・・・・深山。」
「なっ!」
突然、抱きしめられた。
「な、何するのよっ!」
「・・・なあ・・・つらいんだったら泣けよ・・・こうすれば見えないからさ・・・。」
「つらくなんかっ!・・・つらくなんか・・・ないわよ・・・。」
・・・あったかい。
「俺が子供の頃・・・知り合いのお姉さんが言ってくれたんだ・・・『本当につらいときは泣いたってかまわない』・・・ってな。」
「う・・・。」
みさき・・・私の幼なじみ・・・力になってあげるって・・・思ってたのに・・・でも・・・でも・・・。
「う・・・うわああああぁぁぁーーーっ!!」


雪。
雪は好き。
真っ白で・・・やわらかくて・・・儚い。
ずっと、雪を見つめてきた。
だけど、雪の終わる季節がきた。
でも、それは喜ぶべき事。
雪が終われば春が来るのだから。

雪の終わる季節。

それは輝く季節の始まり。


−−−−− あとがき −−−−−

 雫 「ふいーーーっ!シリアスは難しいな〜〜〜。」
 ? 「・・・なあ。」
 雫 「なんだ?」
 ? 「俺、名前出てないんだけど・・・。」
 雫 「お前なそ『大福男』で十分だっ!深山先輩に抱きつきおって・・・。」
大福男「なっ!なんだよそれっ!!・・・って、ああっ!!名前が大福男になってるぅ!!」
 雫 「じゃ感想行ってみよ〜♪」
大福男「ま、まてっ!このままかっ?本当に大福男のまま・・・。」


−−−−− 感想 −−−−−

>スライムさん
「Moonな日々」は大作になりましたね〜♪
今回はギャグがあまりなっかったようで・・・シリアスなラストになのかな?

>偽善者Zさん
「浩平犯科帳」今回のお気に入り♪髭さんの「いや、かまわねえよ」(なんとなく・・・)
「ディープ・インパクト」...3番かりません。(TT)

>だよだよ星人(仮)さん
ありがとうございます♪・・・でも、もう違うの書いてたりして。(^^;)

>もうちゃん@さん
うむー・・・過激だ・・・すごすぎる。(^^;)
このままつっぱしって下さい。(笑)