髭の憂鬱(番外編) 投稿者:
注:番外編ですので髭は出てきません。茜ちゃん軍団創生秘話(笑)です。

本編が古くなったので本編のあらすじ。
髭は商店街で見かけた『あれ』を手にする為、ボーナス欲しさに校長の犬となった。
だが、『あれ』を狙う者は髭一人ではなかった。
ようやく手にしたボーナスを握りしめ、商店街に向かって爆走する髭の前の次々と刺客が襲いかかる。
髭と同じく『あれ』を狙う、茜が放った『茜ちゃん軍団』であった。
数日間に及ぶ激しい死闘の末、遂に茜ちゃん軍団を退けた髭であったが、時すでに遅く、『あれ』は売れてしまった後であった・・・。
・・・・・ふうっ。確かこんな感じだったかな。では、番外編どうぞっ!


澪は廊下を歩いていると、前から歩いてくる茜を見つけた。
ぱたぱたっ。
茜に向かって走って行く澪。
「こんにちは。上月さん。」
挨拶を交わす茜。
澪も挨拶をするためにスケッチブックを開く。
ぱらぱら。
だが、その手がぴたっと止まった。
(?)
スケッチブックの一番新しいところに何か書かれてある。

『茜ちゃん軍団に任命します。』

(・・・?)
澪の字ではない。
それ以前に意味が分からない。
「よろしくお願いします。」
不思議がっている澪に構わす、茜は頭を下げた。
(???)
「お願いします。」
ずいっと茜が澪の顔に近づく。
(う、うん)
『わかったの』
よく分かっていないが、茜にお願いされ頷く澪。

澪は茜ちゃん軍団の一員となった。


七瀬は窓際の席で本を読みながら、時々外に目をやり軽いため息をついていた。
ご存じ、乙女にしかなしえない技である。
何度かめに外に目をやったとき、窓の外に茜が立っていた。
からからっ。
「こんにちは。七瀬さん。」
茜は外から窓を開け、七瀬に話しかけてきた。
「珍しいわね。あんたから話しかけてくるなんて。」
七瀬は本を閉じ茜に話しかける。
「今日はいいお話を持ってきました。」
「いい話?」
「はい。茜ちゃん軍団に入って下さい。」
「茜ちゃん・・・軍団?」
七瀬は言葉の意味がよく理解できない。
「・・・なにそれ?嫌よ。そんなものに入ってどうしようって言うのよ。」
七瀬はそう言って読みかけの本を再び開いた。
「・・・・・そうですか。」
茜は寂しそうにうつむく。
「乙女のステータスともいえる茜ちゃん軍団に入れば、七瀬さんの乙女としての地位はゆるぎないものになると思ったんですが・・・残念です。」
ぴくっ!
七瀬の体が茜の呟きに反応する。
「ちょ、ちょっと待ってぇ!」
「はい?」
「・・・ま、まあ、あんたの頼みじゃ断れないわね・・・入ってあげるわ。」
「ありがとうございます。」
七瀬は乙女の地位を固めた事に満足すると、再び本を読み出した。

「・・・・・・・・・・っ!」
突然本を投げ飛ばし、窓に手をかけ外を見る七瀬。
すでに茜の姿はない。
「・・・ここ・・・3階・・・よね?」

七瀬は茜ちゃん軍団の一員となった。


瑞佳と繭はハンバーガーショップに来ていた。
「なんにしよっか、繭?」
「てりやきっ♪」
無邪気に喜ぶ繭。
「じゃあ、てりやきのセット2つ・・・あれ?里村さん?」
カウンターには茜が立っていた。
「お飲物は何にしますか。」
「オ、オレンジで・・・・・アルバイト?」
「そんなものです。」
はっきり答えない茜。
「ご一緒に茜ちゃん軍団のご加入はいかがですか。」
「あ、茜ちゃん軍団?」
さりげなく言われた言葉の怪しさに驚く瑞佳。
「今、加入されますとてりやきバーガーがもう一つ貰えてお得です。」
「みゅーっ!入るっ♪」
繭は手をあげて喜ぶ。
「ま、繭っ!駄目だよっ!そんな、物につられて何だか分からないものに・・・。」
「さらに、この猫じゃらしもつきます。」
ぱたぱたっと瑞佳の前で猫じゃらしを左右に揺らす茜。
「そ、そんなもので・・・。」
瑞佳はあきらかに動揺している。
「・・・猫じゃらしで戯れる愛らしい猫たち・・・さぞかし可愛い事でしょうね・・・。」
「・・・・・(想像中)・・・・・。」
瑞佳の目が遠くなり、きらきらと輝く。
「みゅ〜♪」
繭は3個目のてりやきバーガーを食べている。瑞佳の分だ。
「・・・・・はっ!・・・ほ、欲しくなんかないもんっ!」
瑞佳は正気に戻ったようだ。
茜は瑞佳の前で猫じゃらしを左右に揺らす。
ぱたぱたっ・・・。
「くっ・・・。」
ぱたぱたぱたっ・・・。
「くくっ・・・。」
ぱたぱたぱたぱたっ・・・。
「・・・・・・・にゃっ!」
瑞佳は猫じゃらしに飛びついた。
だが、茜が猫じゃらしを持った手を上にあげて届かない。
「・・・茜ちゃん軍団に入りますか?」
「・・・・・入る。」

瑞佳と繭は茜ちゃん軍団の一員となった。


みさきは学食でお昼にしようとしていた。
「今日は何にしようかなぁ〜♪」
「・・・川名先輩。」
突然、みさきは背後から声をかけられた。
「わっ!・・・えーと、その声は茜ちゃん?」
「はい。」
「びっくりしたよぉー!・・・なぁに?」
「今日は勝負を申し込みに来ました。」
「勝負?」
怪訝そうな顔をするみさき。
「はい。どちらが多くお昼を食べられるかの勝負です。」
「う〜ん、おもしろそうだね。何となくだけど。」
「負けた方が二人分のお昼代を払います。」
「えっ!いいのっ!本当にっ!!」
みさきは思いっきり嬉しそうだ。
「はい。」
「やった〜っ!久しぶりに銀シャリがお腹いっぱい食べられるよ〜っ!」
「いつの生まれですか・・・。」
茜のツッコミはみさきに効かなかった。

「・・・茜ちゃん。本当に食べてる?」
みさきは41杯目のカレーを食べながら茜に聞く。
「本当です。」
周囲の人間の「おおぉーーーっ!」と言う声が、それが事実だと証明していた。
かしゃん。
茜は平然と空になった41杯目の皿を置いた。
「うっ・・・。」
みさきは手が止まっている。
「食べないんですか?」
「ううっ・・・。」
みさきは顔がひきつっている。
「どうしました?」
「うううっ・・・わたしの・・・負けだよ・・・。」
みさきは泣く泣く敗れた。
「じゃあ、支払いはお願いします。」
茜は席を立ち上がった。
「・・・あの・・・茜・・・ちゃん?」
立ち去ろうとする茜をみさきが力無い声で呼び止める。
「あの・・・実はね・・・言いにくいんだけど・・・。」
「何ですか。」
「実は・・・・今月は貧乏なんだよーーーっ!」
手を前で合わせて泣き出すみさき。
「払えないんですか。」
「う・・・うんっ。」
「・・・しょうがないですね。茜ちゃん軍団に入れば割り勘にしてあげます。」
「入るっ!入るよっ!」
ぱっと目を輝かせて喜ぶみさき。
だが、割り勘だから41杯分は支払わなければならないのだが。
「では、口直しにワッフルでもご馳走します。」
茜はテーブルの上にワッフルの入った箱を置いた。
「っ!」
ばたんっ!
みさきは後ろに倒れてしまった。

みさきは茜ちゃん軍団の一員となった。


詩子は自分の部屋にいた。
「めずらしいわね。茜が私の部屋に来るなんて。」
詩子は椅子に座ってくるくると回っている。
「そうですか?」
茜はベットに腰掛けていた。
「ところで・・・詩子。」
「なに?」
「詩子は・・・私の事・・・好きですか?」
突然うつむき、頬を染めつぶやく茜。
がしゃん。
椅子から転げ落ちる詩子。
「な、な、な、何急にいうのよ!」
動揺する詩子。
「私のこと・・・嫌いですか?」
詩子を見つめる茜。
目が潤んでいる。
「す、好きよ。・・・・・あ、茜は?」
「・・・・・・・好きです。」
静寂。
詩子は立ち上がり、茜の両肩に手を置く。
「・・・茜。」
「・・・詩子。」
見つめ合う二人。
詩子は茜の肩に置いた手に力を入れ、そのままベットに押し倒す。
「・・・・・・。」
茜は抵抗しない。
詩子の手が茜の上着のボタンをはずしていく。
「・・・・・詩子。」
か細い声で詩子を呼ぶ茜。
「大丈夫。私に任せて・・・。」
詩子の手が茜のスカートの中に入る。
太股を這い、徐々に上へと上がっていく。
「茜・・・可愛いわよ・・・。」
詩子はそうつぶやきながら、顔を茜の唇へ近づいていく。
「詩子・・・・・私は友達として好きだと言ったんですが。」
「・・・・・・・え゛。」
今まさに、詩子の唇が茜の唇に触れようとした瞬間、詩子の動きが石になったように止まる。
「詩子・・・・・そういう趣味があったんですか。」
「や、やあねえっ!冗談にきまってるでしょうがーーーーーっ!!」
詩子は冗談にしては動揺しまくっている。
「思わず誰かに話してしまいそうです。」
服を直そうともせず、つぶやく茜。
「ちょ、ちょっと待ってっ!そんなことが澪ちゃんの耳に入ったらガードが堅く・・・・・。」
冗談の割にえらく真剣な詩子。
「大丈夫です。1つだけお願いをきいてくれれば誰にもいいません。」
茜は詩子の話しを遮る。
「な、なにっ?私と茜の仲じゃないっ!なんでも言ってよっ♪」
笑ってはいるが、詩子の頬はぴくぴくっとひきつっている。
「では、茜ちゃん軍団の軍団長をお願いします。」
「分かったっ!何だかよく分からないけど分かったわっ!この詩子さんに任せなさいっ!・・・だから・・・ねっ?ねっ?」
「わかっています。」

詩子は茜ちゃん軍団の軍団長となった。


かくして、最強の茜軍団は誕生した。
この後、茜ちゃん軍団と髭との間で壮絶な死闘が展開されるのであった。

−−−−− あとがき −−−−−

・・・・・つ、疲れた・・・寝ます。すみません、感想は今度にします。