髭の憂鬱(後編) 投稿者:
「はぁーっ・・・。」
ショーウィンドウを見つめ、ため息をつく髭。
髭はすっかり校長の使いっ走りなっていた。
校内に進入する不審者を追い払ったり、卒業式に乱入する者がいないか監視させられたり、怪しげな宗教団体に入信させられたりしていた。
しかし、目の前の「アレ」のためにはボーナスが必要だった。
「んあー・・・安くならないなぁ。」
「そうですね。」
「ああ。」
「かわいいですね。」
「ああ。」
「・・・・・なあ、里村?」
「はい。」
「いつからそこにいたんだ?」
いつの間にか茜が隣に立ってショーウィンドウを見つめている。
「さっきからです。」
「そうか。」
神出鬼没の茜に驚かないのはさすがに髭である。
二人ともショーウィンドウを見つめてため息をつく。
「欲しいのか、里村?」
「はい。」
素直に頷く茜。
「そうか・・・だが、いくらかわいい生徒でもこれだけは譲れないな。」
「早い者勝ちですね。」
「勝負だな。」
「勝負ですね。」
ガシッ。
髭と茜は拳と拳をあわせ、その目には炎がのぼっていた。

『・・・・・。』
「あれ、澪ちゃんじゃない。どうしたの?」
二人からちょっと離れたところに立っていた澪に詩子が声をかける。
『近づけないの』
澪は茜達を指さす。
「茜?何言ってるのよ・・・あか・・・っ!」
茜に声をかけようとした詩子であったが、茜の気迫に息をのんだ。
「・・・二人でチョコレートパフェでも食べて帰ろうか?」
『それがいいの』

茜は髭が立ち去った後もショーウィンドウを見つめていた。
「浩平・・・はやく帰ってきて。」

つづく。

−−−−− あとがき −−−−−
後編なのに終わっていない・・・なぜだーーーっ!
やはり、前回、書き込みの際に染之助・染太郎を思いついたせいか・・・。
というわけで、最終回「髭の憂鬱(続後編)」に続きます。

−−−−− 感想 −−−−−
>よもすえさん
いいですね!お昼を食べるのに茜がみんなに声をかけるところ好きです。
「道具屋・住井」(爆)

>しーどりーふさん
面白いです。あっちの世界に行ったり来たり・・・大笑いしました。
「詩子でぽん」はもうおまけの域を越えてますね。(笑)

>白久鮎さん
感想ありがとうございますぅ〜。
もしかして、感想ONLYで一番難しいのはタイトルかもしれませんね。(笑)

>偽善者Zさん
あれほどのハムスターでも字は読めないんですね。(笑)

>GOMIMUSIさん
少年の登場・・・次はクライマックスかな?
続きがすっごく楽しみです!

>だよだよ星人さん
「スペシャルルーミングサンダー」・・・あれ?・・・まさかな・・・「ルミーケンボルト」・・・や、やっぱりアレか?・・・「カーザーナックルミー」ぐはっ!アレだーーーっ(爆)
オレも単行本出してきて読もおっと!(笑)

>まてつやさん
「嬉しいときにも涙がでるんだね」がグッときました。