剣豪!宮本七瀬(巻之弐) 投稿者:
剣の道を極め、日本一を目指す一人の少女がいた。
その名も宮本七瀬(後の七瀬留美)。彼女は今日も強敵を求めて、さすらいの旅を続けるのであった。

すぱっ!
「ぐふっ!・・・いい小太刀さばきしてるぜ・・・。」
ばたん。
「・・・・・。」
七瀬は浪人風の男を一刀のもとに斬り捨てた。
「・・・・・ねえ?」
「いやあ、こいつは住井ってちんけな野郎なんだが・・・・・。」
「・・・住井って・・・この前、斬らなかった?」
「ああ、『不死身』の住井って言ってな・・・脇役ならでは技だな。」
「わ、技ね・・・・・まあ、いいけどね。」
七瀬はそう言いながら刀を鞘にしまった。
「にゃー。」
「あら、かわいいー♪」
その時、七瀬の足下に一匹の猫が近寄ってきた。
「ん?その猫・・・まさか?」
浩平が猫を見て不信がっていると、背後から七瀬を呼び止める声があった。
「宮本七瀬だよね。蕎麦屋のおやじの依頼により、『猫使い』の瑞佳と『神速』の繭が成敗するもん・・・って、浩平!」
浩平達が振り向くと、そこには猫を引き連れた美少女と、テリヤキバーガーを食べているまだ幼い少女の姿があった。
「み、瑞佳っ?」
「知り合いなの?」
「いや、ちょっとな・・・。」
「・・・ちょっと?こんな所で他の女と一緒だなんて・・・許さないんだもん!繭!浩平は私が相手するから、そっちの女を片づけるんだよ。」
「みゅ〜♪」
七瀬は繭と、浩平は瑞佳と向かい合った。

「しょうがないわね・・・・。『乙女流』宮本七瀬!参る!」
「みゅ〜・・・変な名前・・・。」
「ほっといて頂戴っっっ!」
七瀬は少し涙ぐんでいる。
「はえっ?・・・『神速』の繭・・・行くの・・・。」
その瞬間、七瀬の視界から繭の姿が消える。
「は、速いっ!・・・どこに・・・って、ぎゃーーーっ!」
「みゅ〜♪」
繭は七瀬のおさげにぶら下がっていた。
「離しなさいっ、このぉっ!」
七瀬は刀を振り回すが背後の繭には届かない。
「くっ!・・・これだけは使いたくなかったけど・・・乙女流奥義!『乙女の髪の神秘』!!」
七瀬の叫び声とともに、繭が掴んでいた髪がぷちぷちっとひとりでに切れる。
「ほえっ?」
繭は七瀬のおさげから落ち、地面に尻餅をついた。
「う〜っ・・・ようかい・・・。」
「誰が妖怪かあっ!」
ざすっ!
怒りの七瀬の一撃が繭をとらえる。
「うぐっ〜・・・ほんとだもぅん・・・。」
がくっ。
繭はその場に倒れた。
「まったく失礼ね・・・。」
繭を倒した七瀬はぶつぶつ言いながら刀を鞘に納める。
しかし、繭の言い分はもっともである。
「さて。・・・あっちはどうなってるかしら?」
七瀬は浩平達の方へ目を移した。

「うわーっ!待て!話せば分かるっ!」
「聞く耳持たないもん!」
ひゅん。
次々と猫達が浩平に襲いかかる。
8匹はいる。
「ににゃーっ!」
「うわっ!」
襲いかかる猫達を器用にかわす浩平。
「ちっ!・・・こうなったら・・・よっと・・・これを見ろ!瑞佳!」
浩平の手には1匹の子猫が捕まっていた。
「ああっ!未悠!」
「この猫がかわいければ攻撃をやめるんだ。」
「ひ、卑怯だよ、浩平!」
「ほう。どうなってもいいんだな。」
浩平は愛くるしい子猫の首に手をかけ力を込める。
「ま、待って!・・・分かったよ。」
瑞佳がそう言ったとたん、他の猫達もおとなしくなった。

「・・・・・あいかわらずの外道ぶりね。」
七瀬はそう呟くと、瑞佳のもとへとやってきた。
「ところで、あんた、浩平とは訳ありのようだったけど・・・?」
「・・・浩平とは幼なじみで・・・結婚の約束をしてたんだよ。・・・でも、結婚資金を渡したら・・・結婚式の当日に現れなくて・・・急にいなくなちゃったんだよ。」
その場に座り込む瑞佳。
「・・・・・それって、結婚詐欺っていわない?」
確かに世間一般ではそう呼ばれている。
「いや、悪かった瑞佳。うっかり忘れていただけなんだ。お詫びに、猫好きのお前のためにプレゼントを用意したんだが・・・。」
「ほんとう?浩平!」
瑞佳の顔がぱっと明るくなる。
浩平は瑞佳に三味線を手渡した。
「・・・こ、浩平・・・これって・・・。」
瑞佳の顔がぱっと青ざめる。
「しかも手作りだ。お前のために急いで作ったんだぞ。」
よく見ると三味線は全部で8個ある。
「はふんっ、残酷すぎるよぉ!」
ばたっ!
瑞佳はそう言うとその場に倒れてしまった。
「さ、今のうちに逃げるぞ。」
「・・・・・げ、外道すぎる。」


次回予告!

強敵『猫使い』の瑞佳と『神速』の繭を倒した七瀬だが、遂に最強の刺客『心眼』のみさきが現れる。
そして、七瀬と浩平の愛の行方は・・・。
果たして、七瀬の運命やいかにっ!

次回で終わり!


−−−−− 感想 −−−−−
>しーどりーふさん
ペース速いですね。しかも、詩子のSS・・・なんか、鳥肌立っちゃいました。ここまで出来るもんなんですね。凄いです。

>だよだよ星人さん
こ、声は林原めぐみですか・・・(汗)。まあ、それはおいといて、後編楽しみです♪

>さすらいの虚無僧Eさん
ミステリー、ホラーと次々と新ジャンルを開拓なさってますね(笑)。次はスペースオペラかな(笑)?

>GOMIMUSIさん
すみません!すみません!ああっ俺ってば何てことを・・・量産型にしておけば良かったかな?
「あなたのいない世界で」はハートフルでいいですね。・・・それに引き替え、俺って外道。

>白川鮎さん
どっちが浩平の家に行くかでもめなかったんですかね・・・ああっ!一日おきで交代すればOKですね!
・・・それにしても・・・千鶴さん恐るべしっ!でも、俺は千鶴さんの料理なら食います!この命にかけて!