「おかあさん」 投稿者:
 繭。
 繭は、私に泣きつかない子だった。
 私は・・・本当の母親じゃないから。
 だから、あの子はずっと慰められることを知らずに生きてきた。
 でも、あの男の子と女の子が現れた頃から、繭は少しずつ心を開いていった。
 そして・・・

 「う〜・・・」
 「どうしたの、繭・・・?」
 「・・・・・」
 「なにか悲しいことあった・・・?」
 「・・・・・」
 「そう・・・可哀想にね」
 「・・・・・」
 「繭・・・ほら、おいで」
 「う〜・・・」
 「ほら、繭」
 「う〜っ・・・」
 「本当に悲しいときはね、泣いたって構わないのよ」
 「・・・・・」
 「ほら、繭、おいで」
 「・・・うぐっ・・・うあああああぁぁぁぁーーーーんっ」

 そして、繭が初めて私の膝で泣いた・・・。
 あの日から、私たちは本当の母子になれたのかもしれない。
 たとえ、血が繋がっていなくても・・・心を分かち合えるようになったのだから・・・。
 ごめんね、繭。
 それなのに・・・おかあさんは繭を置いていってしまう・・・。
 ・・・でも、もう大丈夫だよね・・・・繭は強くなったもの・・・。
 それに・・・悲しいとき・・・辛いとき・・・慰めてくれる人がいるものね。

 病室の窓から、あの男の子が走っていくのが見える。

 そう・・・今日は繭の卒業式だものね。
 卒業おめでとう、繭。
 おかあさんはいつでも側にいるからね。

 繭。

 私の愛しい娘。


 −−−−− あとがき −−−−−
 またしても、浩平の活躍により事件は見事解決!・・・ってそりゃ「事件簿」やっ!
 という訳で、「みゅー♪連」組合員(笑)番号No.64獲得記念、椎名(のおかあさん)SSでした。
 さあ、みなさんも「みゅー♪連」に入って、椎名と会長ロプロス様(謎)に尽くしましょう!
 ちなみに、この後、椎名と浩平は、椎名のおかあさんの死の真相を探るため、謎の宗教団体に潜入するのであった!・・・・・だが、それは別の物語である。(笑)