折原少年の事件簿(その2) 投稿者:
七瀬留美から殺人未遂事件解明の依頼を受けたオレは、何の手がかりも得られないまま放課後を迎えた。
しかし、オレと助手の椎名はあきらめることなく次の聞き込み開始した。
浩平「よし、次は茜だな。おい、猿渡。里村を見なかったか?」
南 「・・・だれだよ猿渡って?」
浩平「さっきまでいたはずなんだが。なあ、猿渡?」
南 「・・・だから誰なんだよ猿渡って。・・・まったく。里村ならさっき鞄を持って出ていったから帰ったんじゃないのか?」
浩平「なにぃー!追うぞ椎名!」
椎名「みゅーっ。(ええ。早くしないと追いつけないわ!)」
浩平「サンキュー、猿渡。じゃあ、オレ行くからな!」
南 「・・・おまえなあぁぁ!少しは人の言う・・・・」
文句言う猿渡を後に、俺たちは昇降口へと急いだ。

浩平「ふうっ。お、あの哀愁漂う背中は!間違いない、茜だ。おーい、あかねー!」
茜 「・・・何ですか。」
茜は不機嫌そうに顔だけこちらを向ける。
浩平「ちょっと聞きたいことがあるんだが・・・。」
茜 「・・・嫌です。」
浩平「ま、まて。話しだけでも聞け!」
茜 「・・・嫌です。」
浩平「・・・こんな寒い日に頬ばるたい焼きはさぞかし・・・」
茜 「何ですか?」
茜はくるっとこちらを向いた。
浩平「うむ。オレと椎名が聞きたいことはだな・・・。」
茜 「・・・椎名さん?・・・どこにいるんですか?・・・」
浩平「えっ?・・・あれ・・・いない。」
辺りを見回しても椎名はいなかった。

その頃、椎名は。
椎名「みゅーっ!みゅーっ!」
七瀬「ギャーーーッ!離しなさいっ、このぉっ!」
廊下ですれ違った七瀬に被害の詳しい事情を聞いていた。

浩平「ま、まあ、いいか。実はだな茜。最近、七瀬の周りを・・・」
茜 「・・・七瀬さん?」
浩平「七瀬というのはだな、クラスメートで、牛乳部に所属していて、豪快に電話帳を引き裂く・・・」
茜 「・・・知ってます。」
浩平「えっ?知ってる?・・・本当に?」
茜 「はい。」
浩平「・・・そうか。知っていたか・・・。(七瀬、おまえの努力は無駄のようだぞ。)」
茜 「行きましょう。」
茜は浩平に背を向け校門へと向かおうとした。
浩平「へっ?どこへ?」
茜 「たい焼き。」
浩平「い、いや、オレが聞きたいのは七瀬を知っているかどうかではなくてだな・・。」
茜 「・・・たい焼き。」
浩平「・・・わかった。ワッフル追加。」
茜 「何ですか。」
再び茜はくるっとこちらを向いた。
浩平「実はだな、最近七瀬の周りをうろつく不審な・・・」
茜 「・・・七瀬さんの周り?」
浩平「そう、七瀬の周りを・・・」
浩平「・・・浩平。最近、お昼は七瀬さんの所ですね。」
浩平「えっ?」
茜 「・・・中庭、来ませんね。」
浩平「い、いや、ほら、中庭は寒いから教室で食べようって・・・。」
茜 「・・・教室で七瀬さんと一緒に・・・?」
じっと浩平を見つめる茜。
浩平「うっ・・・。」
茜 (じいっーーーーー)
浩平「さ、さあ、たい焼きでも食いに行くかぁ!」
茜 「ワッフルもです。」
浩平「そ、そうだな、ワッフルも食いに行くかぁ!」
茜 「はい。」
しかし、いまだに噂のたい焼き屋は発見されていない。

茜 「・・・ここ、どこですか。」
浩平「・・・ま、また今度だな、茜。」
茜 「・・・たい焼き。」
浩平「今日は諦めろ、茜。さすがに、もう遅すぎる。」
茜 「・・・たい焼き・・・ワッフル・・・。」

その頃、椎名は。
椎名「みゅーっ!ハンバーガー!」
帰り道でテリヤキバーガーを食べながら、今回の事件ついて考えていた。