いつまでも続くと信じてた。 あの日のままの、変わらない“ふたり”で永遠にいられると信じてた。 …でも…現実が“ふたり”であることを否定したから…、残酷な天使のささやきに耳を 貸していた― “ふたり”は“二人”なんだよ。だってキミはあの日のキミじゃないんだか ら― 悲しみを知る雨に打たれていた姿を、彼女はすがりつくように見つめていた。 薄れ行く存在に彼女は気付いているのだろう。何故なら兆候が無くはなかったからだ。 もう一人の幼馴染はとうにその存在を忘れてしまっているし、ましてや両親すら覚えてい ない。 そして最後になって彼女の心からも消えてしまう。…ただ、どうして今までその刻が来 なかったのかが分からなかった。 どうでもいいことだよ。だってキミは消えてしまうんだからね。 そうだ。これですべてが終わり、“ふたり”でいられる“永遠”の世界へと旅立てるの だ。ボクが自分としていられる世界で、いつまでも“ふたり”― 「なんで…どうして“ふたり”でいられないの…」 誰かにナイフを突きたてられた様、胸に痛みが走った。 …いつからだろう。“ふたり”の間に不意に沸き起こる苦しみは、一体いつから感じる ようになったのだろう。小学校にあがった頃から？違う、もっと… 『なぁ、おまえの好きなヤツって―』 …そうか。修学旅行の最後の夜、みんなで夜更かししていて下らない事を話していた時だ。 そのときはなんともなかったけど、翌朝彼女と目が合ったときに…その痛みは…急に… 襲ってきた。 そう、その瞬間からキミはキミでいられなくなったんだよ。 胸によぎる痛みはほんの少しだけ増したような気がしたが、すぐに薄れていった。 「ねぇ…どうして答えて…くれないの…」 周りの景色が雨にかき消されて行くように今この存在も消えようとし、その姿が、涙を 浮かべた彼女の瞳を通して見えた。しかしあくまでボクは見えない。 「…もう…ダメなんだよ…。あの頃のままの…ふたりじゃいられな―」 これでずっと“ふたり”でいられるのかと思いながら、晴れ渡る空の果てに広がる“永 遠”に昇華される逝く自分の姿を眺めていた。いつまでもあの日のままの“ふたり”でい られる世界を夢見て― …それでも彼女がその存在を忘れる事は無かった。むしろ追い縋るように求め続けてい た。 “えいえん”はそこにあった。 あの日と変わらない“ふたり”のままですぐ目の前にあったのだ。 …ただ…ボクがその在り方を拒みつづけ、安らぎの天使のささやきから逃げ出した。 “ふたり”はいつまでも“ふたり”なんだよ。だってその気持ちはあの日の ままなんだから― “ふたり”が“二人”になるのを通り越して“独り”になった彼女は、同じように“え いえん”にその助けを求めようとしていた。 今更何を言っても聞こえるはずないと思いながら、ボクは…あの日の彼女が消え逝く瞬 間…そっと…心にささやきかけた― …えいえんはね…もう…何処にもないんだよ…。 それで彼女の刻が…戻ってくれる事を…ただ信じて… だって― ▼後書き うみゅうみゅ〜〜〜 昨日の今日だというのに性懲りもなくまた書きました（笑） しかも主体が“幼馴染”と、かなり厄介なSSです。 コンセプトは『何故彼が“えいえん”を求めなければならなかったのか？』 作中一切語られない個所をつつくのが私のSSの傾向で、 （実際、葉っぱのSSはそれを貫いてます＜まだひとつで、且続いてる…） 今回はその辺に力を入れてみました。 私の考えるところでは『幼馴染のパラドクス』だとおもうのですが ホントのところはどうなんでしょうね。 …次こそみさき先輩！かどうかは分かりません（汗） ＜インスピレーションの問題だな、きっと… ▼感想ですぅ ＞セリス さん ＞「…普通ほうきで黒板を掃きながら物思いに耽ったりはしないと思うんだが…」 何故っ？何故知ってるんです？私もよくやってましたよ、↑な事（笑） なんか哲学的ですよね、『自分は一体何なのか？』って。 でもって、やっぱりみさきさんの返答が的を射てると思います。 自分は他人と同じではなく、自分なんだということが大切なんですね。 ＞睦月周 さん 今度はシンデレラ!?う〜んやり手ですねぇ。 …という事は、澪だと『人魚姫』かな？ いや、その裏をかいて… ＞時の影 さん 点々（掛けてたのかな？）と散りばめられたカタカナがいい味出してますね。 ＞初めの台詞には”対”となる文のは無いのですね？ 多分…無いんじゃないかな？（笑） あ、いや、今回のがそれなのかも…やっぱりワカンナイや（笑） で、瑞佳SS楽しみにしてます。 う〜む、これが感想なのか？疑問だ… 私事だけど、最近IMEがつまらん学習をしてます。 変則的に変換するのが悪いのか？http://www.alphatec.or.jp/~snowbell/