願いを込めて 投稿者: 神楽有閑
「さーさーのーはーさーら、さら〜♪」
「みさき、ご機嫌だね」
『楽しそうなの』
「うん、ご機嫌だよ♪」
 今日は七夕、雪ちゃん、そして後輩の澪ちゃんと一緒に、七夕の飾り付けをしていた。 
「やっぱり、こういった行事は大切にしないとね。」
「うん、そうだね」
 ”うんうん”と、側で元気よく頷く澪ちゃんの気配を感じながら、私も頷く。
「みんな、短冊にどんな願い事を書いた?」
 雪ちゃんの質問に、澪ちゃんがスケッチブックに書き込むのを思い浮かべながら、
二人のやりとりを肌で感じていた。
「みさき、澪ちゃんが何を短冊に書いたか教えたいから、手を触るけどいい?」
「うん、いいよ」
 私が返事をすると、澪ちゃんは私の手を触る、小さいけど温かい手・・・
私は目が見えない、澪ちゃんは喋れない・・・でも想いを伝えることは出来るんだって、最近になって私は気が付いた。
 しっかりとした想いは、どんな方法でも相手に伝わると言うことを・・・
『あのね』
『演技が巧くなるように』
『お寿司が、沢山食べられますように』
『パフェが、おなかいっぱい食べられますように』
『もう少し、背が伸びますように』
『なの』
「かなうといいね」
 澪ちゃんの手を優しく握りながら答えると、澪ちゃんは嬉しそうに私の手を握り返し、
そして、”うんうん”と頷くのが判る。
「ところで、みさきは何を書いたの?」
 私が答えるより先に、雪ちゃんは私の書いた短冊を手に取った。
「わっ!だめだよ」
「いいじゃない・・・みさき、なんて書いてあるの?」
「やっぱし、読めない?」
「ちょっとね・・・あっ、手随分汚れているよ。」
「頑張って書いたから。」
「そう、頑張ったんだね。あたしが飾り付けようか?」
「ううん、これだけは自分で飾り付けたいから、雪ちゃん手を貸して。」
「いいよ、ちょっと手を触るね」
 雪ちゃんは私の手をそっと掴み、ゆっくりと動かし何かに触れ指した。
「いま、みさきが触っているのが笹の所ね、ココに結びつけるの」
「うん、ココだね」
「笹は押さえて置くから、みさきは短冊を結びつける事を考えてね」
「うん」
私は思いを込めて短冊を笹に結びつけた。
「これでいいかな?」
「うん、これだけしっかりと結びつけたら大丈夫」
”さらさら、さらさら”笹が夜風に揺られ、静かに葉音を奏でる。
「風流だね」
「うん、そうだね」
『うんうん、風流なの』
 光を写さない瞳の奥に満天の星空を思い浮かべ、私は心の中で呟いた。
「ちょっと汚い字だけど、ちゃんと読んでね・・・私のたった1つの願い」
 
     ・・・風に吹かれ笹の葉が、さらさらと葉音をたてる・・・
    ・・・夜風に乗せて、笹の葉音は願いを天の川へと運んでくれる・・・
     ・・・願いは星空を渡り、想いと共に天の川を渡る・・・
   ・・・さらさら・・・笹の葉音と一緒に、願いは星神に届く・・・
          ・・・短冊に込めた想いと共に・・・

               〜浩平君が、帰ってきますように〜

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神楽「はろはろ〜♪謎の電脳士の神楽だよ♪」
 舞「はろはろ〜♪ネコミミメイドの舞ちゃんだよ☆」
神楽「さて、今回はちょっとした日常の様子を書いてみました。」
 舞「時期ネタだから、なんとしても今日中に上げないといけないからね」
神楽「旧暦なら、後一月の余裕があるぞ」
 舞「いくら旧暦の行事ネタだからって・・・世間一般では今日が七夕なの」
神楽「甘い!幼稚園なんかではそうかもしれないが、世間では旧暦に祝うのが
   一般的だ」
 舞「・・・・開きなる前に、もう少しペースを上げましょうね」
神楽「うっ、反論できない・・・みなさん遅筆の神楽を温かく見守ってね♪」
 舞「・・・こんなぐーたらなヤツですが、感想お待ちしております。m(_ _)m」

                                                                   おわり

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