我が輩はアルジーであーる。 我が輩,いつもはぬいぐるみを偽って生きておる。 しかしその実体は,ぷりんす・おぶ・ふぃぎゅあー。 「着ぐるみ王国アルジスト」の正式な王位継承者,プリンス・アルジーであーる。 実は,我が輩は嫁を探しに人間界にやって来たのであーる。 そして,ついに見つけたのであーる!!あの娘を!! 「第惨話 さよならは別れの言葉じゃなくて」 我が輩,やれるだけのことはやったのであーる。 我が輩につけられた値段も,もう当初の1/10にまで落とさせたのであーる。 ここまで,8カ月もかかってしまったのであーる。 しかし,もう我が輩と彼女の間に壁はないのであーる!! さぁ,あとは愛しのマイハニーが我が輩を買いに来るのを待つのみであーる♪ ♪は〜〜やく来るのであ〜〜〜るぅ♪ 心ウキウキ,胸ワクワク♪自作の鼻歌まで飛び出る勢いであーる♪ (注 ↑バニ夫じゃないんで、声は出ません@作者) 日が暮れたのであーる。 きっと,明日は来るのであーる♪ 次の日も暮れたのであーる。 きっと,明日は来るのであーる。 次の日も暮れたのであーる… きっと,明日は来るのであーる… 次の日も暮れたのであーる…… きっと,明日は来るのであーる…… 次の日も暮れたのであーる……… きっと,明日は来るのであーる……… …………………。 あれから,ケッコー長い月日がたったのであーる……… 来ないのであーる…… 一体どうしたのであろう…… 確かにあのとき,我が輩の支配能力「主の睨み」はあの娘の心を 捕らえたはずであーる。 もう彼女は,我が輩が欲しくて欲しくてたまらないはずなのであーる…… 一体どうしたのであろう…… ……もしや彼女の身に何か……… う〜〜〜〜〜 ……こんなとき,駆けつけられないぬいぐるみの身体が鬱陶しいのであーる。 月日が流れたのであーる。 いつの間にか春になったのであーる。 彼女と出会ってから,二度目の春であーる。 舞い散る桜の花びらが,わびしい我が輩の心をあらわしている様であーる…… はぁ…………… 知らずにため息が出るのであーる…… (注 ↑当然ですが、息なんてしてません@作者) 彼女は今頃,どうしているのであろうか…… ………………。 諦めるであーる……… もう,これ以上待っても,彼女はもう来ないであーる…… 別の嫁を探すであーる…… そんな日であった。 「………よかった。まだ売り切れてなかったみたいです。」 「だから言ったろ。こんな変なの買う奴はいないって。」 「……かわいいです……」 !!!!!!!!!!!!!!!!! 現れたのであーる!! あの彼女であーる!! 我が輩の妻となる少女であーる♪ 「4万円か……確かにずいぶん値下がりしてるが……コレが4万か……なぁ,茜…」 「嫌です。」 「はぁ……分かったよ。しょうがない。男折原,覚悟を決めるよ……」 「嬉しいです。」 (まぁ,1年も待たせちまったからな。仕方ないか。) 俺は茜に引っ張られる様に,店内に入っていった。 ドキドキドキドキ 来るのであーる。来るのであーる。 いよいよ彼女に抱かれるときが来るのであーる。 あぁ,その時が待ち遠しいのであーる。 「えっと…あそこに飾ってあるデカイぬいぐるみ下さい。」 「えっ?…あぁ,あのぬいぐるみですね。少々お待ち下さい。」 店員の手が、我が輩にのびるのであーる。 ケハケハケハ(←奴の笑い声) くすぐったいのであーる。 もっとてーねーに扱うであーる。 ――5分後―― そこには,綺麗にラッピングされ,かわいいリボンをつけられた我が輩がいたのであーる。 しかし,ここの店員も乱暴なのであーる!! いくら「箱」が無いからって,直に包装紙でぐるぐる巻きにすることはないのであーる!! 我が輩,おもちゃじゃないのであーる!! それに,狭くて苦しいのであーる…… ――ぎゅっ―― ?????????? 「かわいいです。」 「コレがか?包装紙の塊じゃないか。」 「………そんなこと無いです」 う………いつになく茜の目つきが厳しい……(汗) 抱きしめられてるであーる!! 至福の時であ〜るぅ…… ずっとこのままでいて欲しいであ〜る…… 幸せな時であった…… その時は,こんな時間が永遠に続かないか,と願ったものであーる。 ところが…… 家に帰るや否や,我が姫はこんなことを言い出したのであーる!? 「ちょっと手直しします。」 「ん?何を直すんだ?プラモじゃないんだぞ?」 「ほら,ここの縫い目が少しほつれてます。」 「あ、なるほど。まぁ、一年以上放ったらかしだからな。そりゃ傷むだろ。」 「すぐ直してあげます。」 「ふぅん,茜は裁縫も得意なのか。」 ???? 何をするのであるか? へ?針なんか取り出して,何をするのであるか? ……… ぐさっ !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ヒーであーる!! 痛いであーる!! ギャーであーる!! やめるであーる!! 「おぉ!!たいした手並みだ。茜はいい奥さんになるぞ。」 「はずかしいです……(ポッ)」 ぐさっ!ぐさっ!ぐさっ!! ぐぇぇぇぇぇぇぇであーる!! 痛いであーる!! ギャーであーる!! やめて……くれで……あー…る…… あぁ………意識が…遠のいて…ゆくであーる…… さよなら……我が…愛し…のハニー…… アルジー,ブラックアウト。 その後,かろうじて命だけは取りとめた我が輩は,あまりに帰りが遅いと人間界にやって 来た「着ぐるみ王国アルジー」の特別捜索隊の手により,無事救助されたのである。 (注 特別捜索隊:人間界でも自力移動が可能な選ばれたぬいぐるみ達で組織されている。) 我が輩が消えた後には,彼女に怪しまれないよう,我が輩と瓜二つのモノホンのぬいぐるみ が置かれたそうである。 その後,我が輩は国に帰り,両親の決めたぬいぐるみと結婚することになったのである。 こうして,我が輩のラブロマンスは幕を下ろしたのである…… かくして王子の野望は、見事玉砕してしまいました。 教訓。 己の分をわきまえるべし!!ぬいぐるみが茜を落とそうとは万年早い!! あ、そうそう。 そういえばあの後、こんな会話がありました。 「なぁ,茜。あのぬいぐるみさぁ,何か雰囲気変わってないか?」 ストロベリーワッフルをかじりながら,俺は言った。 「そうですか?」 例のブツに、お手製メイプルシロップをかけながら,茜が答える。 「何というか……命が消えた…みたいな…」 「そんなことないです。」 「まぁ,茜がそう言うならいいけどさ。」 影で何が起きてたのかは知らないけれど,茜は今日も元気です!! アルジーの野望 完 ################################## /* 狂税炉 「ハハハ…無理やり終わらすんじゃなかった……」 ちびみずか 1.2「ひどいできだね。」 狂税炉 「もはや何も言うまい。」 ちびみずか 1.2「とりあえずおわらす,ってこころいきだけはみとめるけどね。」 狂税炉 「まぁ,苦情が来ても読むのは一月以上あとだし♪」 ちびみずか 1.2「にげるき?」 狂税炉 「来たくても、来れないんだも〜〜ん♪」 ちびみずか 1.2「………えいえんにいくんだね。」 狂税炉 「怖いこというなよ。絆が無いから帰ってこれないって(笑)」 ちびみずか 1.2「なら,わたしがおくってあげるよ。」 と言うや否や,みずかは例のカメレオンを取り出した。 狂税炉 「え゛?」 ちびみずか 1.2「めいやくのもと,みずかがめいじる。れり─────ず」 狂税炉 「あっ!こいつ,呪文の内容変えやがった!!」 (以前は「契約のもと〜」と言ってました) ちびみずか 1.2「うるさいっ!!なんじのいるべきせかいにかえれ!!」 ぶおん!! みずかが,カメレオンが変化した魔法のステッキを一閃する!! ……………………… 狂税炉は跡形もなく消え去った。 代わりに残ったのは,「くるぜいろ」と書かれた一枚のフロッピーのみ(2DD)。 それを拾い上げると,にっこり笑ってみずかが言った。 ちびみずか 1.2「いっかげつくらい,かえってこなくていいからね(はあと)。」 狂税炉の残した追伸テキストファイル #「シンさんが、アルジー第2話の感想で『期限』について書かれておられましたが、 あれは、嫁探しの期限であって、永遠とは全く関係ありません。 分かりにくい表現&本文でしっかり説明してなくてスイマセンでした。」 */