アルジーの野望 投稿者: 狂税炉
「第壱話 嫁に来ないか」

 我が輩はアルジーであーる。
 ヌッシーではない。アルジーであーる。
 我が輩,いつもはぬいぐるみを偽って生きておる。
 しかしその実体は……
 ぷりんす・おぶ・ふぃぎゅあー。
 「着ぐるみ王国アルジスト」の正式な王位継承者,プリンス・アルジーであーる。

 そんな我が輩も,今はショーウインドゥの中で,50万の値をつけて飾られている。
 プリンスたる我が輩が,何故売られているのか?
 それには訳があるのであーる。

 実は我が輩は,花嫁を探しに来ているのであーる。
 我が「着ぐるみ王国アルジスト」では,王子が18歳になると人間世界に花嫁を探す
旅に出る事になっているのであーる。
 普通はぬいぐるみの相手を探すのだが,我が輩にはある野望があるのであーる。
 その野望とは

 人間の女の子をゲットする!!

 なのであーる。
 そんな訳で我が輩は,ショーウインドゥの中でゆっくりと,外を歩く制服姿の女子を
物色しているのであーる。(←制服姿というのがポイントであーる)

 ちなみに,我が輩たち着ぐるみ王国の王家の者には,特殊な力がある。
 それは,睨んだ相手を意のままに操る能力であーる。
 我が輩たち「着ぐるみ族」は,人間世界では他のぬいぐるみと同様に,自力で動く事は出来ない。
 したがって,この能力で人間を操る事で,我が輩たちを移動させるのであーる。
 その能力でこの店の店員を操って,我が輩は今,ここにいるのであーる。
 この中にいると,冬でもあったかい環境で,じっくりと外を眺められるのであーる。
 しかも50万という値をつけさせておけば,そう簡単に誰かに買われる事もないのであーる。
 我が輩,頭いいのであーる。

 最終的には,意中の者をこの能力で……
 フッフッフッ…完璧な計画であーる。

 しかし,人間どもの中にも,我が輩の眼鏡に適う者は,なかなかいないものだ。

 例えばあの,蒼髪でツインポニーテールの少女。
 容姿はいいが,どうもその瞳には殺気のようなものが見える。
 おそらく,相当の修羅場をくぐってきているに違いあるまい。
 そのような者は,側近の兵士にこそ必要であれ,花嫁には相応しくないのであーる。

 ん?今度は大きなリボンのスケブを持った少女か。
 ふむ。この子もかわいいのであるが……
 いやはや,プロポーションにやや問題があるのであーる。
 我が輩はもっとこう,何というか…ボンキュボンというのか…
 まぁそうゆー事であーる。

 うむ,あの赤毛っぽい幼なめの少女も同様にパスであーる。
 持っているぬいぐるみの選択には賛同できるものがあるのだが。
 非常に残念であーる。

 おぉ,あの茶髪の娘はなかなかいいぞ。
 どれどれ,もっと良くその顔を見せてオクレ。
 ゲッ!!ギョギョギョ!!
 猫臭いのであ〜る。ダメなのであ〜る。猫は苦手なのであ〜る。
 却下である却下であーる!!

 どうも我が輩は,ネズミ系に作られているせいで猫が苦手であーる。
 勝てない訳ではないのだが,苦手意識とは怖いものであーる。

 しかし……
 もう何カ月になるのであろうか。
 花嫁に相応しい少女は,なかなか現れないのであーる。
 そろそろ店員にかけた術が,解けてしまうのであーる。


 そんな時であった。
 我が輩は,運命の女性に出会ったのであーる!!


 美しい金色の髪。
 どこか寂しげな瞳。
 そこかしこに見える,女性らしい仕草。
 プロポーションも,決して悪くない。

 いいのであーる。決めたのであーる。嫁にするのであーる。
 早速,ゲットするのであーる。

 早速,我が輩は,特殊能力「主の睨み」を行使したのであーる。
 さぁ,こっちを見るのであーる。
 我が輩の目を見るのであーる。
 そうそう。こっちに来るのであーる。
 う〜ん。近くで見るとますます美しいのであーる。

「どうしたんだ?」
「……はい。」
「はい,と言われても困るんだが。」
「……はい。」
「………茜,その物体が気にいっているのか?」
「はい。」

 作戦は成功のようであーる。
 もう彼女は,我が輩の虜であーる。

 しかし我が輩は,思わぬミスを犯していたのであーる。

「茜,諦めろ。50万は高すぎだ。」
「……はい。」

 しまったのであーる。
 変な奴に買われないように,との我が輩の策が,裏目に出てしまったのであーる。
 マズッたのであーる。
 困ったのであーる。

 あぁ,行かないで欲しいのであーる。
 おい,その男っ,彼女からもっと離れるのであーる!!

 こんな時,ぬいぐるみの身がうっとうしいのであーる。
 動けないのであーる。
 追いかけたいのであーる。
 動けないのであーる…
 抱きしめられたいのであーる。
 動けないのであーる……


 その夜,我が輩は泣いた。(←でも,涙も出ないのであーる……)


 だが,諦める訳にもいくまい。
 こんな事で諦める我が輩ではないのであーる。
 我が輩は「着ぐるみ王国アルジスト」の由緒正しき王位継承者であーる。
 くじけないのであーる。
 負けないのであーる。
 続くのであーる!!


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狂税炉           「一週間ぶり復活!!」
ちびみずか 1.2「いままでより,じかんくったね。」
狂税炉           「第2投稿時からずっと同じの書いてたからなぁ。」
ちびみずか 1.2「ネタがなかったって,正じきにいいなよ。」
狂税炉           「……はい……そうですぅ……」
ちびみずか 1.2「で,れんさいなの?」
狂税炉           「連載って言うか…あと1話か2話で終わるだろうから。」
ちびみずか 1.2「そろそろスレッドしょりできるようにしなよ。」
狂税炉           「素直に複数同時進行って言えよ。」
ちびみずか 1.2「うるさいよ,きみ。」

どかっ!!ばしっ!!がっつーん!!

狂税炉           「うーん…目がチカチカするよ〜」
ちびみずか 1.2「……たちなおり,はやくなったね。」
狂税炉           「毎回の事だから。」
ちびみずか 1.2「ひとことおおいよっ!!」

 サッとカメレオンのおもちゃを取り出し,眼前に構えるちびみずか。

ちびみずか 1.2「バージョン1.2の力,見せてあげる!!」

 そう,漢字が使えるようになっただけでなく,特殊能力も身についているのだ!!

ちびみずか 1.2「けいやくのもと,みずかがめいじる。れりぃぃぃぃず!!」

 たちまち,魔法少女物系のステッキに変身するカメレオン。

ちびみずか 1.2「なんじのいるべきせかいへかえれっ!!」

 ブオン!!音をたててステッキが狂税炉を襲うっ!!

狂税炉           「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 しかし容赦なく狂税炉の姿は消え,後には一枚のフロッピーが残った。
 それを,拾い上げるちびみずか。
 そのフロッピーには,「くるぜいろ」というラベルが張られている。

ちびみずか 1.2「こんなの,いらないんだけどなぁ。」
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